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2011年10月06日
身体活動計を用いた健康づくり 群馬県中之条町での取組み
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運動や身体活動を増やすことが、生活の質を高め、健康寿命を延長し、心疾患や脳血管疾患、骨粗鬆症、がんなどの発症の危険性を低下することはよく知られているが、どのような運動をどれだけ行えば良いのかは、実はよく分かっていない。
東京都健康長寿医療センター研究所の青幸利氏らは、2000年より群馬県中之条町で、高齢者の日常的な身体活動と心身の健康に関する学際的研究を行っている。
中之条町は人口1万8000人で、2007年時点の高齢化率が29.1%(男性25.7%、女性32.3%)の高齢化の進行している典型的な地方の町。調査は65歳以上の全住民約5,000人を対象に、10年以上にわたり行われている。
高齢者を対象として保健指導では、ウォーキングなどを日常生活に取り入れることが勧められているが、調査では、日常身体活動の量と質の両方が高齢者の健康増進に密接に関連していることがあきらかになった。1日1万歩あるくことで、必ずしも健康になれるわけではなく、むしろ「中強度(最大酸素摂取量の50%前後)の身体活動」を増やしていくことが重要だという。
高齢者のライフスタイルは1人ひとり違うが、男性では1日の歩数よりも中強度活動時間のほうが健康度との関連が深く、女性では逆に歩数が密接に関連している傾向もみられた。
男性は1日歩数の平均は7000〜8000歩程度でもよいが、中強度の身体活動を増やすと健康的だという。中強度の身体活動は歩行、床そうじ、子どもと遊ぶ、介護、庭仕事、洗車、運搬、階段の上がり降りなどが相当する。
研究では、1日の歩数が7000〜8000歩以上で中強度の活動を1日に15〜20分以上の人は、食生活の面でも魚介類、大豆食品、牛乳・乳製品を十分にとっており、調味料を控えた薄味の食事を好むなど、生活スタイルが理想的な人が多くみられたという。
また、日常身体活動の強度と総量については、気象の要素の影響も大きい。特に降水量と平均気温の影響が大きく、降水量が増加するにつれて、身体活動は減少し、1日の歩数は平均気温17度前後をピークに、これより気温が高くても低くても減少する傾向がみられるという。
高齢者の日常身体活動を増やすための介入を計画する際は、微小気候の季節変化を考慮するべきだと、青氏は指摘している。青氏らは、中之条町の研究成果にもとづいて、活動量計を活用したオーダーメイドの予防医学システムの開発・運用もはじめている。
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