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2010年10月04日
「生活習慣改善」できている人は治療目標値の達成率が高い
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高血圧や脂質異常症、2型糖尿病などの生活習慣病の治療では、検査で医師が治療経過をチェックすることが重要で、動脈硬化症や脳卒中や心臓病などの合併症を予防するために、それぞれの学会が治療目標値を定めている。目標値を達成するために、食事や運動の改善指導や薬物療法が行われ
しかし、同財団の「生活習慣病改善プログラム」に登録されている患者2755人のデータを解析したところ、生活習慣病の治療を受けている患者で、治療目標値まで検査値が下がっている人の割合が十分ではないことが判明し
対象となった2755人(男性1279人、女性1476人)は、平均年齢 68.4歳。治療内容は、高血圧 2260人、脂質異常症 1664人、糖尿病 830人だった。
また、改善プログラムで生活習慣チェックを行った1467人のうち、食事と運動の両方あるいはどちらかの項目がすべて良好な「生活習慣良好群」と、1項目でも不良項目のある「生活習慣不良群」に分けて比較した。
その結果、「生活習慣良好群」での目標値達成率は、(1)血圧 44.5%、(2)脂質(コレステロール・中性脂肪)値 56.6%、(3)糖尿病の指標であるHbA1c(JDS)の6.5%未満達成率は30.3%という結果になった。一方、「生活習慣不良群」では、(1)38.0%、(2)52.4%、(3)16.6%で、(1)〜(3)のすべてで目標達成率が低いことがあきらかになった。

男性85cm、女性90cm という腹囲基準によって、「腹囲基準未満群」と「腹囲基準以上群」にわけて比べたところ、(1)は59.0%と36.3%、(2)は66.1%と54.2%、(3)は38.8%と26.0%となり、こちらも「腹囲基準以上群」は「腹囲基準未満群」に比べて目標達成率が低かった。

今年8月に、同財団が生活習慣病患者を対象に実施した、「生活習慣病改善指導の実態と、その受け止め方に関する患者さんアンケート調査」によると、自身の検査値を知っている患者の割合は、血圧は97.0%、脂質(コレステロール・中性脂肪)は74.0%、血糖は78.0%だった。
しかし、自身の治療目標値を正確に知っている患者の割合は、血圧64.3%、脂質40.0%、血糖49.7%にとどまった。
同プログラムの中央推進委員長である篠山重威・京都大学名誉教授は、「健康長寿の実現のため、血圧、脂質、血糖の厳格な管理によって脳卒中や心筋梗塞など脳心血管疾患を予防することが重要な臨床課題となっている。一方、生活習慣病の治療目標達成率が
日本心臓財団の「生活習慣病改善プログラム」は、高血圧・脂質異常症・糖尿病など生活習慣病の治療を実施している医師のために研究プログラムで、改訂版を2009年4月に開始した。患者の検査値と各学会の治療目標値を比較、生活習慣のチェック、治療経過、施設全体での管理目標達成率などの統計処理を支援する内容。同財団では、治療計画や生活習慣改善などについて、医師と患者のコミュニケーション改善にも役立てたい考えだ。
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