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2006年04月10日

後発(ジェネリック)医薬品で、糖尿病の医療費が安くなる場合も

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 後発薬は、先発薬(新薬)の特許有効期間である20〜25年後に、先発薬と同じ成分で製造される。薬効は先発薬と同じだが、研究開発費が少なくて済むので、薬価は20〜70%程度に安くなる。

 後発薬メーカー38社でつくる医薬工業協議会(医薬協)の試算では、国内の2004年度の薬剤費のうち、すでに後発薬がある先発薬の売上げは2兆3,537億円だった。すべてが後発薬に切り替われば、薬剤費をおよそ1兆円減らすことができるという。

糖尿病の薬の場合

 実際に後発薬を使うとどのくらい安くなるかは、先発薬との価格差、病状や治療内容によって差がある。糖尿病は治療が長期に及ぶ病気で薬を服用する期間が長いので、服用している薬に後発薬がある場合は、それに切り替えたときの患者負担への影響は大きい。

1錠あたりの薬価が69.1円の先発薬を1日3錠服用している場合
 1日薬価は208円、診療報酬では21点。月間負担は3割負担の方で6,720円になる。
 あるジェネリック医薬品を使うと、1錠あたりの薬価47.3円で、1日薬価は142円、診療報酬では15点。月間負担は3割負担の方で4,800円になる。したがって月間差額は1,920円。

 合併症の治療や、高血圧、高脂血症などの余病の治療をしていて薬の併用が多い患者では、年間の医療費の差が特に大きくなる場合がある。今後は病院近くの薬局でも後発薬の処方を求める患者が増え、後発薬を扱う医療機関や薬局が増えるという予測がある

後発薬の利用が増えない理由

 医薬協の資料によると、後発薬の海外での医薬品市場の占有率は米国で53%、英国で55%、ドイツで41%と高いが、日本では2004年度で16.8%に過ぎない。医療の側に後発薬への不信感が残っているためで、「大手の製薬会社のように安定的に供給できる体制がないのでは」、「同じ薬剤でも需要の多い含有量の製品しか用意していない」といった声が多かった。


ジェネリック医薬品での処方をお願いするカード
日本ジェネリック研究会発行
 そこで厚生労働省は今年の3月に、(1)製品を5年間は継続して製造販売し、在庫も確保する、(2)注文に迅速に対応するための全国に販売体制を整えるという内容の「安定供給要件」を定めた。さらに、今後5年以内に先発薬にある規格に合わせて全規格を揃えることを後発薬メーカー側に義務づけた。

 安い後発薬を利用することで自己負担を減らしたい患者向けに、その要望を医療機関に提示するためのカードも、日本ジェネリック研究会などが配布している。

●参考になるサイト
 日本ジェネリック研究会
 後発薬の検索や薬価の確認ができる「かんじゃさんの薬箱」を公開。
 服用している薬に後発薬があるかを調べることができる。
 医薬工業協議会

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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