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フィリピン共和国のリステルさんについて(IFLオーストラリアレポート)

娘リステルに対する思い
― 1人の父親として、神の国へと旅立った最愛の娘への誇りと、断ち切ることのできない心のつながり―

 オーストラリアのインスリン・フォー・ライフ(IFL)はフィリピン共和国の糖尿病患者さんへの支援活動を行っています。
 この度、IFLのニール・ドナラン氏より、第2子妊娠中に糖尿病の合併症により、2020年6月にお亡くなりになった、現地のリステルさんについてのレポートが届きましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じて、2013年よりフィリピンの糖尿病患者さんを支援をしています。










Insulin for Life(IFL)オーストラリア
Neil Donelan
ニール・ドナラン氏




 フィリピン共和国のリステルさんは、9歳の時に1型糖尿病を発症しました。リステルさんは第2子を妊娠中でしたが、2020年6月に糖尿病の合併症により、おなかの中の赤ちゃんとともに23歳でお亡くなりになりました。

 糖尿病は、年齢、性別、文化的背景に関係なく発症し、また自覚症状がないため治療をせずに放置しておくと、恐ろしい合併症を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。実際、これまでに亡くなられた方も少はなくありません
 リステルさんは、経済的な事情で十分な治療を受けることができなかったために、合併症を引き起こし、母子ともに命を奪われてしったのです。

 今現在、全世界で4億人の人々が糖尿病で苦しんでいると推定されています。インスリン・フォー・ライフ(IFL) オーストラリアでは、長年にわたり、経済的に恵まれない糖尿病の患者さんへインスリンを始めとする糖尿病関連の支援を無償で提供しています。
 私が、初めてリステルさんに会ったのは、2014年にセブ市で「スィート・アラート」が主催した糖尿病キャンプでした。この糖尿病キャンプや血糖測定検査プログラムが、リステルさんを始め、現地の糖尿病患者さんへの大きな支援となるのです。

 リステルさんのお父さん、リチェリウ・D・サイコンさんは現在59歳で、残されたリステルさんの娘シャマラ・マエちゃん(現在5歳)を育てており、育児には親戚も協力してくれています。リチェリウさんがリステルさんの人生、また、娘さんへの思いについて次のように語ってくれました。

―リステルさんのどのようなところを誇りに思いますか?
 娘が9歳の時に妻(リステルさんの母親)が死去し、それと同時期に、娘が1型糖尿病を発症していることが分かりました。
娘を誇りに思う点は、何かに取り組む際、本当に意欲的だったことです。親として、こちらの気が進まないことに対しても、いつも推し進め、やり通していました。 そんな娘を褒めてあげたいです。

ーリステルさんが糖尿病と診断されたとき、どのように感じましたか?
 もし、あなたのお子さんがまだ9歳で「糖尿病」と診断されたら、当然のことながら、とても心配なさるでしょう。しかしながら、私は覚悟を決め、全てを受け入れたのです。健康に問題なく成長していると思っていたのに、突然、糖尿病を発症したと分かった時は非常に心が痛みました。

―糖尿病の子供を育てる上で大変だったことは?
 多くの悩みや困難がありました。糖尿病 を持つ9歳の女の子に寄り添うことは、本当に大変でした。父子家庭のため、仕事を抱えながら年頃の娘をどのように躾をすれば良いのか。私自身も悩みました。娘は私以上に悩んでいたようです。

―リステルが糖尿病であることを、彼女の友人たちが知った時、友人たちはどのように接したのでしょうか?
 娘の友人関係や学校で起きたことについて、私はその場に立ち会っていたわけではないので確定的なことは言えません。当然のことながら、他の子供たちにとって、自分と同じ年頃の子が病気だなんて思いもよらないでしょう。確かに言えることは、娘が置かれた状況に自ら対処し、全てを克服してきたことです。


リステルさんと5歳の娘シャマラちゃん
2020年3月撮影

―ご家族は、どのように対処されたのでしょうか?
 困難に向き合うための強い精神があれば、問題を克服する方法を探し当てることができるものです。問題に立ち向かう勇気が無ければ、決して克服することはできません。困難に対して必死で頑張っている人を見れば、親戚など助けてくれる人たち、支援を広げてくれる人たちは、必ずいるものです。その人たちは寄り添いながら、助けてくれるのです。克服しようという強い思いがある限り、困難は常に乗り越えることができるのです。

―娘さんのことで、忘れないで欲しいと思うことは?
 娘はとてもフレンドリーで、誰からも好かれる子でした。娘自身も自分の寿命が短いことを分かっており、全力で日々を送ってました。時として、親として賛成できず意見を戦わしたことに対しても、前向きに取り組んできました。今となっては、もう娘と何もできないことが非常に悲しいです。

―リステルさんの人生で特に注目すべきところは?
 娘は本当に意思が強く根性のある子でした。たとえ、糖尿病であっても、子供を絶対に生むと強く決めていました。もう娘はいないのですが、今でもリステルと過ごした日々が甦ってくるのです。娘は生前、何をやっても優秀でした。また、何事にも全力で取り組もうと頑張っており、それは子育てに対しても同じでした。


 リステルさんを亡くした直後の辛い状況にもかかわらず、娘への想い・感情・痛みを語ってくださったリチェリウさんに感謝いたします。
また、「バムバム」の愛称で呼ばれているリステルさんの友人、エウリカ・ブリトルさんにも感謝いたします。エウリカさんには、2020年8月にご自身の体験談を語っていただいたと同時に、今回の「リステルさんのお話」の翻訳に大変なご尽力をいただきました。

■フィリピンの1型糖尿病患者エウレカさん(IFLレポート)
https://dm-net.co.jp/idaf/act/update/1ifl.php

■English(PDF)
Richstel's Story - A Father's Joy, and Inspiration.

国際糖尿病支援基金は、この活動に賛同し、2013年よりインスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じて支援をしています。

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2020年12月
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  • これまでに寄せられた寄付金
    2,012万9,888円 
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    1,951万7,033円 

(2024年12月現在)

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