2024年フィリピンネグロス島の糖尿病キャンプに参加して(IFLレポート)
途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアのニール・ドナラン氏より、2024年11月9日・10日にフィリピン共和国・ネグロス島で行われた糖尿病キャンプのレポートが届きました。
国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)の活動を支援をしています。
IFL創設者であるロン・ラーブと私ニール・ドナランは、フィリピン共和国のネグロス島糖尿病協会(NIDA)とドゥマグエテ市からの招きで、IFLオーストラリアの活動推進およびゲストスピーカーとして、2024年11月9日・10日に行われた糖尿病キャンプに参加しました。
NIDA糖尿病協会キャンプ(11月9日)
NIDA糖尿病協会キャンプは、ドゥマグエテ市にあるネグロスオリエンタル高校にて、25名の子供と100名の成人が参加しました。
朝7時に始まり、我々は血糖測定器、テストチップ、血圧測定器、インスリンを提供しました。ロンと私は、糖尿病治療に必要な支援物資をオーストラリアから持参しました。事前にNIDAとドゥマグエテ市が公的な書類を作成してくれたおかげで、今回は税関で質問されることなく、また医療活動について証明する必要もなく、スムーズに入国することができました。
多くの参加者に高血糖値が見られ、また血圧も高い状態でした。参加した13歳の少女は、血糖値475mg/dlを示したため、インスリン注射が必要でした。
ロンはパワーポイントを用いてプレゼンテーションを行い、60年以上、糖尿病と共に生きている人生を語り、良好な血糖コントロールには炭水化物の過剰摂取に注意することがカギとなると語りました。
私はIFLオーストラリアの活動について、我々のプログラムがどのように機能しているのかを説明しました。最近我々は自然災害等に対する体制を再整備し、現地からの要請を受けてから支援物資の準備や発送、現地に到着するまでの時間と、配送可能な物資について講演をしました。活動の一例として、2022年3月からウクライナへ、53回物資を支援していることを説明しました。
他にも医師、糖尿病療養指導士、歯科医師を始めとする医療従事者が、この日のために食事療法、運動療法、衛生状態など、ヘルスケア全般の重要性について講演をしました。ネグロスオリエンタル高校には1日滞在し、IFLのプログラムについて詳しく知りたい。と関心を示す医療従事者たちと面談をしました。
この写真の女性は19歳のリカです。私が最初に彼女と会ったときは8歳でした。母親がシングルマザーのため経済的事情により、リカに対して十分な治療を受けさせることができません。そのため、IFLは、10年以上NIDAを通じて彼女の糖尿病治療を支援しています。
■IFLオーストラリアレポート「フィリピンの糖尿病患者リカ・ヴェニドさん」
https://dm-net.co.jp/idaf/act/update/ifl-11.php
左の写真は、リカは糖尿病のために前歯を失ってしまったため口を閉じたまま笑っています。
しかしながら、本プログラムで歯科医に相談し、私が新しく前歯を作るよう手配しました。今では右の写真の通り、笑顔を絶やさず幸せな日々を送っています。
ドゥマグエテ市主催のキャンプ(11月10日)
ドゥマグエテ州立大学にて午前8時に開始し、2名の子供と150名の成人が参加しました。 血糖測定及び血圧測定が実施され、前日に行われたNIDAの検査プログラム同様、多くの参加者に高血糖、高血圧が見られました。
医療従事者、看護師たちなど多くのゲストスピーカーが糖尿病ケアについて話しました。ロンはパワーポイントを用いて60年以上、糖尿病と共に生きる人生を語りました。私は、IFLオーストラリアの災害時の対応や、途上国へ糖尿病治療に必要な支援物資を継続する重要性を話しました。全ての糖尿病関連のプレゼンテーションが終了した後、医療スタッフからインスリン治療が必要な参加者へインスリンを提供しました。
今回、新たな支援団体が発足し、名称を「インスリン・セービングズ・ライブズ・ドゥマグエテ(ISLD)」に決定し、会長と役員が選挙でえらばれ、規約もできました。
ドゥマグエテ市市長のフェリペ・アントニオ・レモジョ氏が糖尿病キャンプに公式訪問し、新たに発足したISLDとIFLへ感謝の念を述べるとともに、将来的に本プログラムへの支援を願いたいとの申し出を受けました。
ロンと私は、市長より来年2025年世界糖尿病デーの講演依頼を公式に受けました。
執筆:ニール・ドナラン(IFL役員)
翻訳:森田繰織
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