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インスリン・フォー・ライフ(IFL)グローバル
最近の活動と取組みについて(アリシア・ジェンキンス代表)(1)

 2023年7月にインスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアのメンバーが来日し、IFLの最近の活動と取組みについて、代表のアリシア・ジェンキンス医師よりお話をうかがいましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)の活動を支援をしています。



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 私はIFLグローバル代表のアリシア・ジェンキンスです。
今回、我々はオーストラリアから、IFL創設者のロン・ラーブ氏とスタッフのニール・ドナラン氏とともに、都内にある国際糖尿病支援基金の事務所を訪れています。
本日はIFLの最近の活動と取り組みについてお伝えしたいと思います。

 世界中の糖尿病患者の状況は、その国の置かれた状況によって大きく異なります。
オーストラリアや日本のように経済的に恵まれた国で育った糖尿病患者の多くは、医師の診察を受け糖尿病療養に必要なインスリンや血糖測定器を簡単に利用することができます。ほとんど差別を受けることもなく、通常の生活を送ることができ、長寿も実現出来ています。 しかし、世界中の糖尿病患者のすべてがそうではありません。

 2021年国際糖尿病連合(IDF)の資料によると、糖尿病を持つ人の約81%は貧困等の恵まれない地域に居住しており、多くの子供や成人がインスリン不足や適切な治療を受けられず、不十分な血糖管理により発症してから早期に深刻な合併症や若年死に直面しています。
(IDF 9th Atlas,2021)



 資料1は、グラハム・オークル博士と行ったある糖尿病患者についての研究です。
これを見るとオーストラリアのような経済的に恵まれている国では小児1型糖尿病の家族の糖尿病治療の自己負担額は、たとえ下位5分の1以下に属する低所得者層であっても1%未満であることがわかります。
 しかし、私たちが調査した15か国では、小児糖尿病患者にかかる平均的な自己負担額は家族全体の収入よりも16%多い状況です。
 インスリン数本と注射器とテストストリップだけで、国によっては一家の収入の10倍から14倍の自己負担額となります。そのため外部の支援が無くては生き延びることが出来ません。
貧困課題を抱える国々では、糖尿病を持つ若年層11万2,000人と成人の約50%がインスリン製剤や血糖管理物品などの基本的支援を必要としていると推計されています。



 一部の国では、政府が糖尿病患者への援助を試みていますが、2015年時点の約60から70か国で低所得国と中低所得国に注目し、インスリンが提供できる国はどれくらいあるのかを発表しました。それを資料2に示しています。

 低所得国はいずれもインスリンを提供しておらず、中低所得国であっても10%に過ぎません。これら2つのグループはいづれも、血糖測定機やテストチップを提供していないため、酷い低血糖を起こしてしまうのです。
家庭での重度の低血糖症を防ぐためには血糖測定に必要なテストストリップやグルカゴンも必要で、経済規定に恵まれない地域の人々を支援するには、我々のように外部からの援助が必要なのです。



■IFLでは、途上国の糖尿病患者に対して、3つのことを実践しています。

  • 使用期限内の未開封インスリン製剤・血糖測定機器および試験紙など基本的なサプライの寄附募集・購入・現物提供や被災地(災害時の緊急支援)を含む対象地域の支援
  • 対象地域の糖尿病キャンプ支援を通じて、そのコミュニティに必要とされる糖尿病関連知識の伝授やすでに糖尿病状態にある人のスクリーニング強化
  • アドボカシー活動や学術調査研究等によって、対象となる人々が必要としている基本的な糖尿病治療や物品使用の享受向上を目指す


 IFLは1986年にオーストラリア・メルボルンにて、ロン・ラーブ氏により設立されました。設立当初のメンバーの何人かは今も続けて活動を行っています。
IFLはオーストラリアを本部として、現在8つの支部があります。また、日本の国際糖尿病支援基金とは長年にわたり素晴らしいパートナーシップを結んでいます。



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左:2002年の運営委員 右:2023年現在の運営委員

  糖尿病患者にとって生命維持でもあるインスリンの支援を行うには、グローバルビレッジの構築が必要です。当事国だけではなく、周辺国、国連やWHO、各国糖尿病関連団体、企業、医療機関による支援協力、ソーシャルメディア、ブロガーのネットワークなどを活用して支援物資の寄付者を必要としています。IFLでは個人への支援は行っていないので、現地の医療機関の協力が欠かせません。また資金提供には多くの医師、看護師、栄養士、研究者、学生、弁護士、会計士、ソーシャルメディアの専門家が私たちをサポートしてくれています。私たち自身も権利擁護活動を行っており、例年、他の権利擁護団体や糖尿病団体との連携も強化されています。



IFLグローバルから年間での平均的な支援と関連費用は次の通りです。
  • インスリン製剤:35万mL
  • インスリン用注射器:150万本以上
  • 血糖測定用試験紙:50万枚以上、血糖測定器:数1000台
  • 800回以上の発送
  • 240万オーストラリアドル(日本円で2億円超)に相当
災害発生時は、これを大きく超えることになります。


 途上国の多くの国がIFLの支援を受けてきました。常時、約30か国がIFLからの物資を受け入れており、通常は年に4回支援が行われています。これまで96ヵ国がIFLの支援を受けました。
 IFLが支援した糖尿病患者さんを一部紹介します。入院中のインドの小児糖尿病患者の女の子の家族には金銭的な余裕がありませんでした。その病院にいたアメリカ人医師とインド人医師が定期的に医療を提供することを約束し、IFLからインスリン等を無料提供したおかげで、4週間後には体重も増加し元気になりました。
 もう1人の小児糖尿病患者は、エクアドルのサマンタです。4歳だった彼女がIFLからの支援を受け、貧困に陥ることを免れたため、オーストラリアの多くの若者と同様に大学に通うことができました。現在22歳になり豊かな人生を送っています。

■南米エクアドルの1型糖尿病患者サマンタさん
https://dm-net.co.jp/idaf/act/update/post-45.php



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 また私たちは、コロナ禍以前はエクアドルやフィリピン、モルジブで現地の糖尿病患者さんを対象とした糖尿病キャンプの運営を支援しました。日本からもボランティアとして参加していただき運営を手伝ってくれました。これらの活動はコロナ禍で中断したものの、直ぐにコロナ以前に戻ることを期待しています。
 エクアドルで糖尿病患者を支援しているFUVIDAでは、現地の子供たちが参加し、糖尿病について多くのことを学ぶことができます。途上国の一部では1型糖尿病がそれほど一般的ではないため、現地の若い医師、医学生、医療従事者などもボランティアとして参加し、糖尿病キャンプの運営を手伝いながら、1型糖尿病について学習します。



インスリン・フォー・ライフ(IFL)グローバル最近の活動と取組みについて(2)へ続く

■インスリン・フォー・ライフ・グローバル
https://www.insulinforlife.org/
■アリシア・ジェンキンス新代表挨拶
https://dm-net.co.jp/idaf/post-59.php

 インスリン・フォー・ライフ(IFL)の活動にご賛同いただき、御参加いただける方は、下記口座(郵便局)までお振込み頂きますようお願い申し上げます。

 御協力頂きました方は、支援者としてこのホームページ上の「支援者名」のコーナーでお名前を発表させて頂きますが、本名での発表をご希望でない方は、振替用紙(郵便局)の通信欄にご希望のお名前をご記入ください。

振込口座(郵便局):
口座番号:00160−3−82542
加入者名:国際糖尿病支援基金口

2023年09月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    2,012万9,888円 
  • これまでに実行した支援金
    1,951万7,033円 

(2024年12月現在)

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  Insulin for Life
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