2024年フィリピン・ドゥマゲテ市(ネグロス島)の支援活動について(IFLレポート)
途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアのニール・ドナラン氏より、近況報告が届きました。
国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)の活動を支援をしています。
Insulin for Lifeオーストラリア
Neil Donelan
ニール・ドナラン
フィリピンでの活動について
フィリピン共和国・ドゥマゲテ市(フィリピン ネグロス島)市長からの正式な要請を受け、IFLオーストラリアの役員である私、ニール・ドナランは、オーストラリアとフィリピンから集まった糖尿病医療専門家チームを指揮し、人命救助を目的とする地域住民を対象とした無料の糖尿病血液検査プログラムを多数実施しました。
2024年7月19日午前9時30分、看護師4人、医師2人、および刑務所の医療スタッフ2人からなるチームはドゥマゲテ市を訪問し、男性受刑者へ無料の血液検査プログラムを開始しました。受刑者275人と刑務官20人が受診したところ、多数の人々は血圧が非常に高く、6~8人が高血糖陽性反応を示し、その一部は早急な治療が必要でした。受刑者1人は重篤な感染症の兆候を示しましたが、現場の医師たちによる治療が成功したため、入院せずに済みました。
ドゥマゲテ市刑務所長と刑務官らは、本プログラムの実施と我々が自由を奪われている受刑者の福祉に関心を持ってくれたことに感謝の意を表しました。彼らはいつでも私たちを歓迎してくれるでしょう。私達は刑務所の医療スタッフに、インスリン、血糖測定器、テストチップ、その他糖尿病療養に必要なものを託しました。彼らは非常に感謝していました。
昼食後、私達はドゥマゲテ市女子刑務所を訪問し、受刑者45人と刑務官12人を検査しました。一部の受刑者は糖尿病を患い、ほとんどの受刑者は高血圧でした。こちらの女子刑務所にも上記と同様の物資を託しました。
7月20日、ドゥマゲテ市は貧しく困窮した糖尿病患者のための地域支援プログラムを実施しました。60人が参加し糖尿病治療に必要なインスリン等を寄付しました。
地域支援プログラムにおいて様々な専門家が、健康、教育、足の検査の実施、および、糖尿病の管理方法に関して話しました。
私は、IFLの活動、インスリンを始めとする援助物資の収集・発送・世界中への配送方法、ならびに、災害時における被災地への対応、小児糖尿病キャンプや検診プログラムに関して、パワーポイントを用いて発表しました。
その中で、我々はドゥマゲテ市長の要請を受け、糖尿病協会を結成し、その名称を「インスリン・セービング・ライヴズ・ドゥマゲテ」としました。
会長と役員が選出され、法的な憲章と定款が作成され、正式な協会として登録され、そして、ドゥマゲテ市議会によって承認される予定です。
この新規協会が法人化され、登記されると、IFLオーストラリアは規約書に署名してもらい、定期的にこの協会への援助を開始します。
7月20日午後06時、私はレストランでNIDAのボイシー・リム氏や理事の方々と会食をしました。IFLとNIDAの間で継続中のプログラムについて話し合い、本プログラムを継続することで合意しました。
IFLは過去10年間、NIDAを支援しています。その間、多くの子供たちの糖尿病キャンプを開催し、成功を収めてきました。
この間、国際糖尿病支援基金は、これらのキャンプの主要出資者であり、その財政支援によって多くの命が救われ、養われています。
7月21日午前08時30分、我々5人のチームはドゥマゲテ市からフェリーに乗り、受刑者50人がいる刑務所のあるシキホール島に向かいました。
フェリーに乗って20分、最初は順調でしたが、間もなく台風が近づいてきたため、かなりハラハラしました。幸いにも台風は去り私たちは無事に到着しました。
今回も、刑務官や受刑者はこの無料の血液検査プログラムに感謝してくれました。ドゥマゲテ刑務所や地域検診と同様に高い数値が見られ、高血圧、高血糖、そして、少数ながら1型糖尿病患者が確認されました。そこで、私達は、医療スタッフへ物資を託しました。その日のうちに、私達は無事にドゥマゲテ市に戻りました。
ドゥマゲテ市は、2024年11月14日の世界糖尿病デーに向けて、市内で追跡調査プログラムを実施したいと考えています。新規協会であるインスリン・セービング・ライヴズ・ドゥマゲテによる1日キャンプが提案されています。
NIDAも、2024年11月14日前後にドゥマゲテ市での1日糖尿病キャンプを提案しています。
NIDAはIFLと国際糖尿病支援基金にこれらのプログラムへの参加を要請し、IFLと国際糖尿病支援基金には正式な招待状が送付されることになります。
日本・国際糖尿病支援基金を訪問して
7月23日にフィリピンから日本へ移動し、国際糖尿病支援基金の森田繰織会長をはじめとする運営委員と面会しました。
IFLオーストラリアと国際糖尿病支援基金は、20年以上にわたり、世界中の命を救うために素晴らしい協力関係を築いています。
また、戸田中央総合病院(埼玉県戸田市)より、ペン型注入器用注射針2,900本と採血針2,700本の寄付もいただきました。
途上国の糖尿病患者さんの命を救うために支援してくださった国際糖尿病支援基金に心から感謝します。我々は、国際糖尿病支援基金が長年にわたって、数多くの命を救っている素晴らしい支援に非常に感謝しています。
Kokorokara kansha shimasu.
心から感謝します。
翻訳協力:渡邊 岳 様
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