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フィリピンの1型糖尿病患者エウレカさん(IFLレポート)

 途上国の糖尿病患者さんを支援するオーストラリアのインスリン・フォー・ライフ(IFL)は、フィリピンの糖尿病患者さんへの支援活動を行っています。
今回、現地の糖尿病患者さんのレポートが届きましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じて、2013年よりフィリピンの糖尿病患者さんを支援をしています。





Eurika Briol
Cebu in the Philippines.

エウリカの糖尿病物語
エウリカ・ブリオル(フィリピン共和国・セブ在住)



 私の名前はエウリカですが、皆からは「バムバム」というニックネームで呼ばれています。現在18歳で、3歳の時に糖尿病を発症しました。糖尿病と共に歩む人生は、様々な困難に遭遇すると同時に決して生易しいものではありませんが、周りの人たちのお陰で、常に乗り越えてきました。
子供の頃は、「糖尿病」という理由で、心無い人たちが、頻繁にからかわれました。私の悪口をいう子もいれば、私を避ける子もいました。また、糖尿病は「伝染するかもしれない」と恐れている人もいました。

 糖尿病患者として成長していくことは大変なことでした。私は発症してすぐに自己注射や自己血糖測定の方法を学んだのですが、日常生活を送る中で、毎日のように血糖測定や注射のために針を刺すのです。両親は、幼い私が初めて自己注射をしたときのことや、毎日ショックで涙を流していたことを、繰返し何度も私に話をしたものです。

 高血糖や低血糖も数えきれないほど経験しました。一番高かった血糖値は、初めて糖尿病と診断された時で、36.8mmol (675ml/dl)でした。一番低かったのは、0.55mmol(10ml/dl)で、周りの人たちもどう対処したらよいか分からず怯えてしまったのです。

 フィリピンでは学校でパーティーを行う習慣があるのですが、先生が他のクラスメイトを前にして、「(糖尿病だから)食べ過ぎちゃダメ」と私に釘を刺すのです。その言葉を聞いて、私自身、何年もの間、糖尿病は恥ずべきものと感じてしまったのです。
お菓子を目の前にして、皆が美味しそうに食べているのを見ていると、我慢ができなくなってしまい、つい手が伸びてしまうのです。結局「誘惑」に負けて、こっそりとチョコレートに手を伸ばし、隠れてお菓子を食べてしまっていたことを思い出します。

 糖尿病であることは、私の子供時代に心理的な悪影響を及ぼしただけではなく、家族にも経済面や行動面で負担をかけてしまいました。
私の両親は、私の治療費を捻出しなければならなかったため、何年もの間、経済的な事情で苦しみました。
 フィリピンでは、全ての国民が健康保険に加入することを前提とした、いわゆる、国民皆保険制度がありません。一部の富裕層は民間の保険に入ることができるものの、医療費は全額自己負担となってしまいます。1型糖尿病の治療費は、インスリンの他にも、注射器や血糖測定器などの負担もあることから、フィリピンの平均的な家庭の年収を上回ってしまうケースも少なくありません。これは現地の糖尿病患者さんの家計を圧迫し、かなりの経済的負担となっています。 マニラのような大都市では治療費が無料の公的な病院もありますが、あまりに患者数が多く、またインスリンも不足しているため、一部の重症者を優先して受け入れることしかできないのです。

 両親は、私の治療費のために、おもちゃを買うことも、休日に出かけることも、我が家の冷蔵庫が一杯になったことも、高級レストランでの食事すら、一度たりともありませんでしたし、洋服など新品を買う機会も殆どありませんでした。ベビーシッターを雇う余裕も無かったため、両親ともに、仕事で夢を実現する機会を奪われてしまったのです。

 13歳の時、初めてショッキングな出来事を経験しました。父が失業し、我が家の家計は困窮しました。私は家族に負担をかけたくなかったので、インスリンを節約しようと両親に内緒で注入量を減らしていました。数日後、気分が悪くなり、意識を失い、救急外来に緊急搬送されました。糖尿病性ケトアシドーシスであることが分かり、血糖値が天に届いてしまうほど上昇していたのです。医師からは、その日のうちに命を落としていたかもしれないと言われたのです。

 14歳の時、セブにあるスウィート・アラート協会を通じて 、インスリン・フォー・ライフ(IFL)・オーストラリアに出会ったのです。スウィート・アラートは、強固な意志とヤル気に満ちた女性たちが運営しており、貧困状態にある糖尿病の子供たちのために教育キャンプを通じて、糖尿病の啓蒙を目指すのと同時に、糖尿病患者が必要とするものを支援しています。
IFLに出会って以来、私に人生は、180度転換したのです。

(左)IFLのニールさんとエウリカさん。(右)エウリカさんの家族

 IFLがインスリンなどを支援してくれるお陰で、家計の負担が軽減され、私は良い学校に行くことができ卒業もできました。
両親は、今では必要なものを購入でき、1日3回、食べることもできます。今は、テーブルの上にちゃんと食事があるのです。IFLは私だけにインスリンを支援するのではなく、同じように糖尿病に苦しんでいる友人たちにも支援するのです。IFLが、プログラムを通じて、それまで思いもよらなかった様々な形で、私を救ってくれたことに感謝しています。世界中から集まった素晴らしい人たちと出会ったことで、将来に向かって、努力を重ねていくことに前向きになりました。皆さんの支援によって、糖尿病と言う理由だけで、何もできないということはないことに気づいたのです。糖尿病は「問題」なのではなく、むしろ克服しがいのある「挑戦状」として捉え始めました。そのように考えることで、肩の荷が軽くなったように感じました。決意、自制、忍耐によって、人生における目標を達成し、夢をかなえることができると信じています。IFLとスィート・アラートに対して、どんな言葉でも感謝できないほど、ただただ感謝以外なにも無いのです。糖尿病と共に生きる私の生活を改善させ、何時も前向きに将来を見続ける方向に導いてくれたのですから。

 私は、現在大学2年生で、コミュニケーション技法を専攻してます。英語教師のアルバイトもしてます。言葉は世界を結びつける架け橋となると信じているので、語学を教えることに興味を持ちました。今現在、将来の夢に向けて、そして家族を支えるため、また困っている人たちのために、自分ができることに最善を尽くしたいと考えています。私が経験してきた辛く困難な日々は克服できること、一人で戦っているのでは無いと感じて欲しいのです。

 IFL,スウィート・アラート、親友であるニールさん、家族、友人たちの支援に感謝し、そして神様によって、幸せで、前向きな人生があると強く信じています。これまで様々な経験をしてきましたが、後悔はありません。「糖尿病」は絆、人生、健康というものの価値を理解できる人間へ成長させたのですから。糖尿病と共に生きる人生は厳しく、時に様々な困難にも遭遇しますが、常に心に留めておかなければならないことは、今現在も、今後も、「糖尿病」に負けてはいけないのです。


■English(PDF)
Eurika Briol, from Cebu in the Philippines. Eurika's diabetes story


国際糖尿病支援基金は、この活動に賛同し、2013年よりインスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じて支援をしています。

 国際糖尿病支援基金は、インスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリア通じて、フィリピン糖尿病キャンプの活動を支援しています。

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2020年09月
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(2024年12月現在)

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