ネットワークアンケート

SMBGとCGMのメリット・デメリット

 SMBG(血糖自己測定)とCGM(持続グルコース測定)は、それぞれを上手く使い分けることで、効果的な血糖管理が期待できます。今回、インスリン治療中の糖尿病患者さん252名を対象に、SMBGとCGMのメリット・デメリットに関するアンケートを実施しました。
 今回のアンケート調査では、多くの自由回答(ご意見)をお寄せいただきました。「アンケートでの自由回答はこちら▷患者さんのほんね!」もご参照ください。

<ご報告> 今回のアンケートでは、252名にご回答いただきました。糖尿病ネットワークより、国際糖尿病支援基金にお一人50円分、合計12,600円の寄付を行いましたのでご報告申し上げます。ご協力ありがとうございました。

現在、CGMを主として使用している方は58.3%、SMBGは32.9%

 今回の調査では、まず最初に、ご参加いただいた252名の糖尿病患者さんに、現在血糖値を確認する手段として、SMBGとCGMのどちらを主に使用しているかを伺いました。その結果、SMBGを主に使用している方は32.9%(1型27.3%、2型47.2%)、CGMを主に使用している方は58.3%(1型69.3%、2型30.6%)という結果でした。
 年代別では、SMBG/SGMそれぞれ、20代未満 12名(8.3%/91.7%)、30代 14名(33.3%/60.0%)、40代 29名(41.4%/58.6%)、50代 65名(29.2%/61.1%)、60代 71名(32.5%/56.3%)、70歳以上 39名(40.9%/47.7%)という結果で、どの年代でもCGMを主に使用という方が多い結果でした。
 本設問後に、主にSMBG使用と回答された83名、主にCGM使用と回答された147名(計230名)に分けて、アンケートにご回答いただきました。

あなたは日常生活の中で血糖値を確認する手段として主にSMBGとCGMのどちらを用いていますか?(両方使用している方は、主に使用している方を選んでください)n=252

32.9%
58.3%
8.7%
  • SMBG
  • CGM
  • わからない

SMBGのメリットは「正確な血糖値の把握」「医療費が安い」

  主にSMBGを使用している方に、SMBGのメリットを聞きました。回答の上位は、「正確な血糖値の把握」「操作が慣れている」「医療費が安い」という結果でした。そして、1型、2型の患者さんとも8割以上の方が、SMBGの使用を継続したいと回答しました。
 一方、SMBGを継続したくないと回答した方に自由回答で理由を伺ったところ、「痛いから/測定が面倒/針を刺した部位が硬くなる。外出先で人目が気になる、指先が慢性的に荒れる、持ち歩くのが面倒」といった理由が挙げられました。

SMBGが良いと思うところはどのようなことですか?
 (複数選択) n=83

正確な血糖値が把握できる
54.2%
操作が慣れている
42.2%
医療費が安い
32.5%
災害時など、電気の供給が不安定な状況でも使用できる
16.9%
その他
1.2%

あなたはこれからもSMBGを使用したいですか? n=83

はい
81.25%
85.29%
いいえ
18.75%
14.70%
  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病

CGMを使用する目的は「血糖変動を知りたいから」「低血糖予防」「インスリン単位調整」

 次に、CGMを主に使用している方に、CGMの使用目的を聞いたところ、回答の上位は、「血糖変動を知りたいから」「低血糖の予防」「インスリンの単位調整」という結果で、CGMのメリットとしてよく周知されているものが上位に挙げられました。

あなたがCGMを使用している理由は何ですか?
 (3つまで選択)n=147

血糖変動を知りたいから
78.2%
低血糖の予防のため
55.1%
インスリンの単位調節に役立つから
38.8%
SMBGより手技が簡単だから
35.4%
医師に勧められたから
24.5%
治療薬(インスリンや経口薬)の効果確認のため
20.4%
SMBGだと指先穿刺が痛いから
18.4%
CGM自体に興味があったから
4.8%
その他
3.4%

CGMをやめたいと思う理由は「医療費が高い」「装着感」「他人に見られることが気になる」

 一方、CGMをやめたいと思うときがあるかと聞いたところ、回答の1位は「医療費が高い」、次いで「装着感」「他人に見られることが気になる」というものでした。その他の理由としては、「皮膚トラブル」「夜中でもアラームが発生する事の睡眠不足」「装着や有効期間を気にするのが手間」などが自由回答で挙げられました。

CGMの装着をやめたいと思うことがありますか?
 (3つまで選択) n=147

やめたいと思わない
53.7%
医療費が高い
37.4%
装着感が気になる
25.9%
入浴や運動などのときに他人に見られることが気になる
18.4%
災害時など、電気の供給が不安定なとき*
11.6%
常に血糖値を見れることが負担になる
5.4%
SMBGの方が操作に慣れている
1.4%
その他
9.5%

   *災災害時など、電気の供給が不安定なときに血糖値を確認できなくなる不安がある

SMBGとCGMを併用するとの回答は75.5%。一方CGMだけでよいとする回答も24.5%

 CGMを主に使用している方にCGMとSMBGとの併用に関して伺いました。CGM装着中にSMBGを使用するときの理由の上位は、「CGMの測定値に疑問があるとき」「較正を行うとき」「定期的でにSMBGを測定している」という結果でした。
 一方、CGM装着期間中、1日のうちにSMBGを1回も確認しないという方も15.6%いました。そして、SMBGとCGMの併用については、75.6%(1型77.0%、2型68.2%)の方は併用したいと回答し、24.5%(1型23.0%、2型31.8%)の方はCGMだけでよいとの回答でした。

あなたがCGM装着期間中にSMBGを使用するのはどんな時ですか?(3つまで選択)n=147

CGMの測定値に疑問があるとき
71.4%
CGMの較正を行うとき
32.7%
定期的にSMBGを測定している
24.5%
CGMのアラームが発生したとき
23.8%
使用していない
8.2%
車の運転前
0.7%
その他
12.9%

あなたはCGM装着期間中、1日の中で何回程度SMBGを用いた血糖測定を行いますか?n=147

CGMの測定値に疑問を感じたとき(不定期)
44.9%
SMBGでの測定はしない(0回)
15.6%
1回
12.9%
2回
4.8%
3回以上
21.8%

あなたはCGMとSMBGを併用することをどう思いますか?
 n=147

75.5%
24.5%
  • 今後も両方使用したい
  • CGMだけで良い
  • SMBGだけで良い 0%

その他のアンケート結果

あなたは測定した血糖値をどのように管理していますか?
 (主にSMBGを使用と回答した方)n=83

主にノート等(自己管理ノートなど)に記録する(アナログで管理)
47.0%
主にアプリ等(スマホ、PCなど)で管理する(デジタルで管理)
26.5%
アナログとデジタルの管理を併用している
16.9%
とくに管理はしていない
9.6%

CGMを装着したきっかけは何ですか?
 (主にCGMを使用と回答した方)n=147

62.6%
36.1%
1.4%
  • 医師および医療関係者からの勧め
  • 自身での希望
  • わからない
まとめ

 今回の調査結果について糖尿病専門医に感想を求めました。アンケートの結果は、「おおむね自施設の患者さんの声と同様であるが、CGM装着中まったくSMBGを測定しないという方が15.6%という回答は、血糖測定を導入する際にCGMから入った患者さんが、そのような回答をしているのではないか」と指摘しました。
 インスリンの導入にかかわらずSMBGを指導しているとする本専門医は、SMBGを指導する際には、「糖尿病は症状が少ない病気ですが、血糖値の変化は一つの症状といえます。患者さんが血糖値を測ることで、自分の症状を把握できることを説明する」。また「最近はCGMを勧めることが多くなっていますが、CGMの数値を鵜呑みにせず、また災害時などの不測の事態で困ることがないように、SMBGの手技をしっかり身につけたうえで、CGMに移るのがよい」と、SMBGとCGMの併用の重要性を指摘しました。

<調査概要>
実施時期:2024年 3月
調査方法:インターネット調査
対  象:「糖尿病ネットワーク」メールマガジン会員
協  力:株式会社三和化学研究所
<回答者の属性>
インスリン治療中の患者さん252名(1型糖尿病176名、2型糖尿病72名)

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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