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2014年02月28日
高齢者の糖尿病 糖尿病と上手に付き合い元気に長生きする
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糖尿病の治療は進歩しており、糖尿病とともに生きる人が長生きすることは珍しくなくなった。しかし、歳をとるにつれて治療のやり方を変えていく必要があるかもしれない。より健康でいられるために、良い方法がある。
60歳以上の3人に1人が糖尿病か糖尿病予備群
「2型糖尿病は、現在は若い人の発症も増えていますが、以前は高齢になってから発症することが多く、“成人病”と呼ばれていました。どの年齢の人であっても糖尿病を発症するリスクはありますが、現実には60歳以上の3人に1人以上が糖尿病か糖尿病予備群で、糖尿病は高齢者に多い病気です。歳をとると体の糖代謝の機能が衰えてくることが原因です」と、テキサス大学医学部準教授のブライアン タラク氏(内分泌内科)は話す。
「糖代謝」とは、食事として摂取したエネルギーを体の臓器が消費し、余分のエネルギーを蓄え、必要なときに利用する仕組みだ。食事をとると、食物から吸収されたグルコース(糖)が血液中に流れ込み、膵臓から分泌されるインスリンによって、エネルギーは各臓器に届けられる。
加齢にともない糖尿病の発症が増える背景として、老化のプロセスが関わっていることが挙げられる。加齢に伴い膵臓の機能が低下し、インスリン分泌が少なくなる。最初に食後の追加分泌が低下し、食後血糖値が上昇しやすくなる。
また、筋肉量が減り、脂肪の割合が増加することで、インスリンに対する反応性が低下する(インスリン抵抗性の増大)。
主治医機能とチーム医療で糖尿病に対策
歳をとるにつれ、高血圧や脂質異常症、心臓病などの発症リスクは高まる。高齢の糖尿病患者がそれらの病気を併発することは多い。病気の数が増えていくと、それに応じて治療は難しくなる。
「糖尿病と高血圧など、複数の病気を併せてもっているなら、それぞれの病気の治療計画も増えることを意味します。ひとりの患者を総合的に診療する主治医(かかりつけ医)が、医療チームとともに、総合的に対応するのが合理的です」と、タラク氏は話す。
主治医が継続的な服薬の指導や健康管理を行い、必要な時にいつでも患者と連絡がとれ、適切な指示を出せるようにし、必要なときは専門医にも紹介できるような体制づくりが必要だという。
数種類の治療薬を服用していると、薬物の作用が増強したり減弱化する、あるいは新たな副作用が生じるなど、「相互作用」が起こる可能性がでてくる。主治医が患者が服用している薬を把握していれば、相互作用を防ぐことができる。
主治医は生活面でもさまざまなアドバイスをしてくれる。例えば腰痛や関節症など運動器に障害があり通常の運動プログラムに参加するのが難しい患者に、より取り組みやすい運動を処方することも可能になる。
血糖降下薬やインスリン製剤の副作用に低血糖がある。低血糖は高齢の人や、食事摂取量がいつもより少なかったり遅れた場合、いつもより長く運動した場合、退院直後や腎不全を合併している人などにみられる。
ふらふらして気が遠くなる感じ、力が入らない感じなどの低血糖の症状は、ほかの病気や、高齢者にみられる症状に似ている。糖尿病治療薬を処方されている患者自身も低血糖を念頭に入れておき、主治医とよく相談しておくことが必要だ。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所