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2008年09月26日

生活習慣病とメタボリックシンドローム-日本食品機能研究会「健康フォーラム2008」

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市民公開講座
日本食品機能研究会「健康フォーラム2008」開催
 NPO法人日本食品機能研究会は、9月21日に東商ホール(東京都千代田区)で、「健康フォーラム2008〜メタボリックシンドローム・正しい理解とその対策」を開催した。
 池田義雄氏(日本生活習慣病予防協会理事長)、済陽高穂氏(トワーム小江戸病院院長)、掛谷和俊氏(半蔵門胃腸クリニック理事長)、一杉正仁氏(獨協医科大学法医学講座准教授)らが、メタボリックシンドロームや健康的な生活習慣について講演した。

 メタボリックシンドロームの源流にある肥満(BMI25以上)は増加しており、最近の国民健康・栄養調査でも成人の男性29.7%、女性21.4%と高い比率が示された。特に中高年者で内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、血清脂質異常という要因が複合するメタボリックシンドロームは2型糖尿病、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患の発症につながり、患者だけでなく社会にとっても多大な損失・負担をもたらす。予防・対策するために生活者一人ひとりが自分の健康に対し適正な知識をもつことが重要だとして、専門的な知識と豊富な臨床経験をもとに詳しく解説された。



資料提供:東京慈恵会医科大学付属病院新橋健診センター・和田高士センター長

健康フォーラム2008 メタボリックシンドローム・正しい理解とその対策
[日時] 2008年9月21日(日)13:00-17:00
[場所] 東商ホール(東京・丸の内)
[主催] NPO法人日本食品機能研究会
[後援] NPO法人セルフメディケーション推進協議会、日本生活習慣病予防協会、CMPジャパン(株)、Medical Nutrition
 池田義雄氏は「生活習慣病とメタボリックシンドローム」と題して講演し、ライフスタイル全体をより健康的に変えていくための知恵と技術を系統をたてて解説した。メタボリックシンドロームに対策するために生活者が自覚をもつことが必要となる。そのために体重、体脂肪、内臓脂肪の自己管理とともに、生活習慣改善の決め手となる「一無、二少、三多」を心得え実践することが求められる。“一無”は禁煙、“二少”は少食(腹七、八分目)、少酒、“三多”は多動(習慣的な運動)、多休(十分な休養・睡眠)、多接(多くの人、物事に接し、創造的な生活をすること)。

 メタボリックシンドロームを予防する食事として勧められるのは(1) 精製していない穀物を主食としてとる、(2) 野菜、果物を適量にとる、(3) 海藻類やきのこ類をしっかりとる、(4) 豆腐、納豆などの大豆食品を適量にとる、(5) 乳製品、発酵食品もしっかりとること。また、有酸素運動を中心とした「動的運動」や、筋力トレーニングを中心とした「静的運動」、体操を組み合わせ身体活動を増やすことも必要。「一無、二少、三多」の実践数が増えるにつれメタボリックシンドロームの有病率が減少することが、東京慈恵会医科大学付属病院新橋健診センター・和田高士センター長によって示されている。

 済陽高穂氏は「メタボリックシンドロームの食事療法」と題して、外科医としてのがん治療と並行し行っている食事指導の実際的な経験をもとに講演した。塩分と動物性脂肪の摂取を抑え、野菜・果物、豆や芋、海藻、各種消化酵素成分などを十分にとることで栄養や代謝を改善できることや、がん、自己免疫性疾患、メタボリックシンドロームなどを食事を中心とした生活習慣の改善により治癒に向けることができると強調した。

 掛谷和俊氏は「胃相・腸相から見たメタボリックシンドローム」と題し講演。動物性食品の多食、暴飲暴食、アルコール、喫煙といった不健康な生活習慣、ストレスなどで胃や腸に負担がかかることを、胃腸内視鏡検査を通じて調べた胃相・腸相の画像や動画による資料をもとに解説した。胃相・腸相の悪いことが判明した人では、動脈硬化症や循環器疾患が引き起こされることが多いことが豊富な臨床例から示された。

 一杉正仁氏は「血栓症を予防するために」と題し講演。いわゆるエコノミークラス症候(肺動脈血栓塞栓症)は長時間飛行機などで座ったまま足を動かさないでいると起こりやすいことが知られるが、日常生活空間でも起こりえる疾患だという。予防するために特に食生活を注意し血液の流れを良好に保つことが望ましい。コレステロールや中性脂肪や血糖値を正常に管理することが重要で、日本の伝統食品である納豆の抽出物であるNKCPという物質に血栓形成予防に効果のあることなども紹介された。

NPO法人日本食品機能研究会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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