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2007年09月06日

糖尿病の後発医薬品の利用は増える?

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 厚生労働省は、先発医薬品と有効成分は同じで価格が安い後発医薬品の普及を促進するため、処方せんの様式を変更する方針を打ち出した。現在、厚労省の諮問機関である中央社会保険医療協議会で、来年度の診療報酬改定の一環として協議が進められている。

 後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品の特許有効期間が切れた後に発売される。新薬と有効成分は同じで、効能・効果・用法・用量が変わらないが、価格は大幅に安く、新薬の7〜4割程度が中心だ。

 後発薬が普及すれば薬剤費を抑制でき、国民の医療費を節減できると考えられている。厚労省は、年間1兆円程度の医療費の抑制が可能で、国、医療保険、患者の負担がそれぞれ軽減されるとしている。

 日本の医薬品市場における後発薬のシェアは、2004年度は数量ベースで16.8%だった。厚労省は、これを2012年度までに30%にまで引き上げる方針を打ち出している。そこで厚労省は、医師が患者に薬を処方する際、後発薬を「標準」に変更する方向で検討を進めている。そうすれば後発薬の普及が一挙に進むだろうという考えだ。

進まない後発薬の普及
 現行の処方せんは2006年度の診療報酬改定で、「後発品への変更可」という欄が追加された。欄に医師の署名があれば、薬局などで後発薬を処方することができるようになった。

 日本薬剤師会は、実際にどれだけ後発薬が処方されているかを調べるため、昨年の12月から今年の1月に617の薬局をアンケート調査を実施した。

 それによると、発行された処方せんのうち「後発薬への変更可」と記されたものは20%前後あったのに対し、実際に後発品へ変更されたのは2.2%と少なかった。

 調査では、患者が希望したときは後発薬が処方される割合が高いこともわかった。薬局で後発薬を希望した場合に、薬局や薬剤師が備蓄している後発薬に変更して調剤した割合は71.2%、必要な後発薬の備蓄がなかったためただちに手配して調剤した割合は41.7%だった。

 患者が後発薬への変更を望んだ理由でもっとも多かったのは「(医療費の)一部負担金が軽減するから」(78.9%)、次いで「テレビなどのCMを見て」(55.8%)が多かった。「医師にすすめられたから」(16.0%)は少なかった。

糖尿病患者の後発薬の認知度
 糖尿病ネットワークが昨年5月に実施したアンケート調査では、糖尿病の血糖降下薬があるのを「知っている」と回答した糖尿病患者が17%、「詳しくは知らないが聞いたことはある」が39%だった(回答数 552)。半数以上がなんらかの認知をしていることがわかった。

 また後発薬についてどう思うかを聞いた質問では、「積極的に使ってみたい」(45%)、「先発薬と後発薬のどちらでも良い」(29%)、「先発薬を優先してもらいたい」(5%)という結果になり、関心の度合いが高いことが示された。

糖尿病の後発薬を調べるには
 糖尿病の治療薬では、経口血糖降下薬であるSU剤(グリベンクラミド、グリクラジド)、ビグアナイド剤(メトホルミン)、さらに食後の急激な高血糖(食後過血糖)を抑えるα-グルコシダーゼ阻害剤(ボグリボース)などに後発薬がある。

 また、高血圧や脂質異常などの治療を受けている人では、それらの治療薬にも後発薬があり、個々の病状や治療の内容によって異なるが、後発薬に変えることで薬剤費を安くできる場合もある。気になる人は主治医に相談してみてはどうだろう。

第38回中央社会保険医療協議会薬価専門部会(厚生労働省)
平成18年度診療報酬改定に伴う後発医薬品の使用状況等に関するアンケート調査(日本薬剤師会)
かんじゃさんの薬箱 「ジェネリック医薬品」情報サイト(日本ジェネリック医薬品学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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