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2006年09月13日

世界の糖尿病人口は2億3,000万人

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「unite for diabetes(糖尿病に対して団結しよう)」キャンペーン

 国際糖尿病連合(IDF)は、世界の糖尿病患者数は2億3,000万人以上で、有病率は成人の全人口の6%に相当すると発表した。今後20年間に3億5,000万に増加すると予測しており、「病気とともに生きる人々の数は、米国、カナダ、オーストラリアの現人口の合計をまもなく上回るだろう」と予測している。

10秒に1人が糖尿病で亡くなっている
 糖尿病は寿命を縮める要因であり、世界の糖尿病に関連した病気による死亡数は毎年300万人以上で、10秒に1人が糖尿病で亡くなる計算になる。さらに、IDFは糖尿病による死亡率は、10年間に25%増加するだろうと予測している

 IDFは、150以上の国や地域の190の糖尿病協会で構成される、糖尿病に関する研究や臨床、予防を促進することを目的に活動する非政府組織で、世界保健機構(WHO)と密接な関係にある。

 IDFは糖尿病に関する国際的な会議(World Diabetes Congress)を3年ごとに開催している。日本では1994年に第15回国際糖尿病会議が神戸で開催された。第19回会議は、今年12月に南アフリカ共和国のケープタウンで開催される。今回の会長はオーストラリアのマーティン・シリンク * 教授。

糖尿病に対して団結しよう
 開催に先立ち「Unite for Diabetes(糖尿病に対して団結しよう)」というキャンペーンを世界規模で展開することが発表された

 シリンク教授は「糖尿病は急速に増加しており、世界がこれまでに経験したことのないほどの深刻な事態となっている。それぞれの国や地域で有効な対策を行わなわないと、糖尿病が医療財源を脅かすことになるだろう」とコメントを発表した

 増加が著しいのは2型糖尿病だが、すべての型の糖尿病が増えており、特に途上国の糖尿病増加は深刻だ。食生活が変化し食事で脂肪をとりすぎていることや運動不足などの環境因子、適確な治療を施す社会基盤の整備が遅れていることなどが、急増の原因となっている。低所得層では、高価なインスリン療法を受けられないために、多くの子供が成人する前に亡くなっている。

糖尿病の医療費の増大は世界の脅威
 糖尿病患者数の増加に伴う医療費の増大は、多くの国や地域で脅威になっている。全世界の2007年の糖尿病と合併症の医療費は約25〜35兆円(約2,150〜3,750億ドル)で、20年後には約27兆円〜48兆円(2,340〜4,110億ドル)に増えるだろうと予測されている。今後10年で中国だけでも糖尿病、心臓病などによる損失は、約7兆円(580億USドル)に上る。

 糖尿病を克服するための対策は「いま始まったばかり」で、以下のことを全世界で展開することが必要としている。
・ 世界中の人が糖尿病についてよく知ろう
・ 糖尿病が患者、社会、経済に与える負担は大きい
・ 各国や地域の保健・医療分野で、糖尿病の問題を最優先にすべき
・ 糖尿病合併症を予防するために経済効果の高い対策を実施する
・ 糖尿病を予防するための社会的な戦略が必要
・ 子供、妊婦、高齢者の糖尿病対策は特に重要
・ 治療へ向けた研究を拡充する

* マーティン・シリンク教授
国際糖尿病連合(IDF)の次期会長。シドニー大学小児内分泌学教授、国際若年糖尿病学会(ISPAD)理事(1999-2002年)、IDF副理事(2000-2003年)。

詳細は国際糖尿病連合(IDF)「unite for diabetes」のサイトへ(英語)


関連情報
国際糖尿病連合の「糖尿病に対して団結して立ち向かおう」キャンペーン(いま、1型糖尿病は)
中国は世界第2位の糖尿病大国

途上国の糖尿病事情
わが友、糖尿病
国際糖尿病支援基金

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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