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2021年12月24日
糖尿病の人は「アルコール」に注意 年末年始に飲み過ぎないための7つの対策
年末年始の連休に、ついアルコールを飲み過ぎてしまうという人が多い。
アルコールは適量を飲むと、ストレスを解消する効果を期待できるが、量が増えると、体と心の健康を損なう原因になる。
適度な飲酒は、むしろ糖尿病リスクの低下につながるという研究も報告されているが、糖尿病のある人は、アルコールを飲み過ぎると、ダメージを受けやすいことが分かっている。
「適度なアルコールは健康に良い」は本当?
「酒は百薬の長」ということわざがある通り、適度なアルコールは健康に良いことを示した研究がある。適度の飲酒は、心臓病や脳卒中、糖尿病のリスクを減少する可能性がある。アルコールにはストレス解消や、人間関係を円滑にするなどメリットもある。 しかし、過剰な飲酒は確実に体と心にダメージを与え、健康リスクが上昇する。 日本人を対象とした大規模調査「NIPPON DATA」で、2型糖尿病では、適度な飲酒をする習慣のある人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患などの死亡リスクはむしろ低いという結果が報告されている。 海外の研究でも、アルコール摂取量と糖尿病や関連する疾患のリスクは、「Uカーブ」の関係にあることが示されている。つまり適度な飲酒をしていると、血糖コントロールの状態はむしろ良くなり、糖尿病合併症も減ると報告されている。 ただし、注意しなければならないのは、アルコールを飲み過ぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまうことだ。 アルコールを飲み過ぎると、インスリンが十分に働かなくなるインスリン抵抗性の原因になり、糖尿病のコントロールが乱れ、高血圧や肥満のリスクも上昇する。肝臓病や脳卒中、がんなどのリスクも高くなる。アルコールを少し飲み過ぎただけで、肥満とメタボのリスクは上昇
肥満ではない人もアルコールの飲み過ぎには注意
やせていて肥満ではない人も安心はできない。順天堂大学の研究では、少食・運動不足でやせている若い女性は、肥満の女性と同じように、糖尿病リスクが高いことが分かっている。 また、筑波大学の研究では、肥満でない人でも、▼加齢、▼男性、▼1⽇あたりの飲酒量が多い人、▼20歳時から体重が10kg以上増えたという人は、メタボリックシンドロームのリスクが高いことが明らかになった。さらに、▼喫煙している、▼歩⾏速度が遅い、▼⾷べる速さが速いといったこともリスクを高めているという とくに、アルコールの飲み過ぎには注意が必要で、この調査では、やせていてお酒を1日1合未満しか飲まない人に比べ、1日1~2合飲んでいる人はメタボのリスクが1.81倍に、1日3合以上飲んでいる人はリスクが2.5倍にそれぞれ上昇した。 さらに、アルコールをときどき飲む程度の人は、まったく飲まない人に比べ、メタボのリスクはむしろ低下することも示された。やはり、アルコールは適量を飲むのにとどめておいた方が良さそうだ。「適度な飲酒」はアルコール量が1日に20~25gぐらい
カナダのトロント大学などの研究では、アルコール(純アルコール量)を1日に25~30gまで摂取していると、糖尿病の発症リスクはむしろ低くなることが分かった。 しかし、アルコールを飲み過ぎて、1日に50gを超えると、その効果はすぐに打ち消されてしまう。 日本人では「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20~25gぐらいまでだと考えられている。 アルコール量20gは、ビール(ロング缶)1本(500mL)、チューハイ(レギュラー缶)1本(350mL)、日本酒1合(180mL)、焼酎1杯(100mL)、ワイン2杯(120mL)、ウイスキー2杯(60mL)に相当する。「糖質ゼロ」でもカロリーは「ゼロ」ではない
アルコールを飲み過ぎないための7つの対策
休日が続くと、アルコールを飲み過ぎてしまいがちになる。米メイヨー クリニックや米国糖尿病学会(ADA)などは、休日が続くときの、アルコールとの「上手な付き合い方」を紹介している。
「アルコールにはリラックス効果があり、ストレスの軽減を期待できますが、飲み過ぎには注意が必要です。安全な飲酒の方法を知っておくことが必要です」と、メイヨー クリニックのテリー シュニークロス氏は言う。
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- アルコールを飲むときでも、食事をきちんととることが大切です。アルコールはアルコールそのものの作用やアルコールの代謝により血糖値に影響を与えます。アルコールを飲むからといって、食事を抜くのは危険がともないます。
- とくにインスリンや、SU薬などの経口血糖降下剤で薬物治療をしている人は、アルコールの急性効果として低血糖を起こしやすくなります。アルコールの代謝にともない、糖新生(肝臓での糖の産生)が抑制されるなど、血糖が下がりやすくなります。食事をとらずに飲酒するのは避けるべきです。
- 飲むときは、良質のタンパク質が多く含まれる魚や肉、大豆製品、ミネラルや食物繊維を多く含む野菜、とくに緑黄色野菜、海藻、キノコなどを食べることが勧められます。
- アルコールには利尿作用がありトイレが近くなります。排出された水分を補わないと、脱水状態になりやすいので、お酒を飲むときは、水も飲むようにしましょう。
- 2型糖尿病の治療に広く用いられているビグアナイド薬(メトホルミン)は、アルコールを過度に飲むと、副作用である乳酸アシドーシスが起こりやすくなります。とくに過度の飲酒を続けている人では、肝臓での乳酸の代謝能が低下しているおそれがあるので、注意が必要です。吐気・嘔吐・腹痛などの胃腸症状や過呼吸などがある場合は、医師に相談してください。
- SGLT2阻害薬は、血液中の糖を尿中に排出させることで血糖値を下げるタイプの治療薬。過度のアルコールを摂取したり、感染症にかかったり、脱水の状態にあると副作用が起こりやすくなります。このタイプの薬を飲んでいるときにも、アルコールの飲み過ぎには注意が必要です。事前に医師や薬剤師に相談して、注意点を聞いておきましょう。
- お酒を控えていたり、飲めない体質の人は、周囲の人に「自分はお酒を飲めない」ことを事前に伝えておく。とくに日本人の半数はお酒に弱い遺伝子をもっているとされる。
- 会席やパーティーでは、ビールやウイスキーの水割りの代わりに、色が似ているウーロン茶やノンアルコール飲料を上手に利用する。下戸にとっては宴席で何を飲むかというのは切実な問題となる。
Alcohol intake and 19-year mortality in diabetic men: NIPPON DATA80(Alcohol 2009日12月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes:A systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
The relationship between alcohol consumption and glycemic control among patients with diabetes:the Kaiser Permanente Northern California Diabetes Registry(Journal of General Internal Medicine 2008年3月1日)
More than 1 drink a day could raise blood pressure in adults with diabetes(米国心臓学会 2020年9月9日)
Association of Alcohol Intake With Hypertension in Type 2 Diabetes Mellitus: The ACCORD Trial(Journal of the American Heart Association 2020年9月9日)
Even light alcohol consumption linked to higher risk of obesity and metabolic syndrome in study of 27 million adults(欧州・国際肥満会議 2020年9月2日)
Alcohol, calories, and obesity: Could labelling make a difference?(Obesity Reviews 2021年2月3日)
Alcohol, calories, and obesity: A rapid systematic review and meta-analysis of consumer knowledge, support, and behavioral effects of energy labeling on alcoholic drinks(Obesity Reviews 2021年2月2日)
Risk factors for multiple metabolic syndrome components in obese and non-obese Japanese individuals(Preventive Medicine 2021年10⽉20⽇)
Alcohol use: Weighing risks and benefit(メイヨー クリニック 2019年10月26日)
Drinking With Diabetes(米国糖尿病学会 2019年3月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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