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2009年01月04日

肥満対策のテレビCM 英政府「Change4Life」キャンペーン

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 英国でも肥満は深刻な問題になっている。成人だけでなく子供の肥満も増えており、英政府は有効な対策をしないと2050年までに成人の10人のうち9人が、子供の3分の2が肥満や過体重になると予測している。こうした状況をくいとめるため、英政府は昨年から大規模なキャンペーンを開始した。

 この肥満防止キャンペーン「Change4Life(チェンジ・フォー・ライフ)」には、3年間で7500万ポンド(約100億円)が拠出され、企業33社も協賛する。特に若い世代をターゲットに、肥満予防と健康的な生活習慣に向けた知識普及に乗り出した。

「自分のサイズの食事」「脂肪をカット」「60分の運動」などの内容
 「Change4Life」のスローガンは“健康的に食べ、もっと動いて、長生きしましょう”。ポスターやウェブサイト、小冊子、電話相談などで啓発活動を展開し、国営医療保障サービスであるNHSは「子供の肥満防止」ガイドを作成した。子供のいる家庭で、親が子供の肥満のリスクを理解し、ともに食事や運動などの生活習慣をより健康的に変えていくことも支援する。

 今年1月からは、子供や若い世代への知識普及をはかるため、人気クレイアニメ「ウォレスとグルミット」の制作スタジオ「アードマン・アニメーションズ」によるテレビ広告の放映も開始された。

 米アカデミー賞の受賞歴のあるニック・パーク氏が参加するアードマン・アニメーションズの制作した色鮮やかなクレイ(粘土)アニメは、運動量の多かった狩猟採集の生活から「進化」した原始人が、都市化が進んだ環境で乗用車で移動するようになり、高エネルギーの食事をとり、テレビの前に座って動かなくなった結果、体に脂肪がたまっていく説明を受け驚いて運動を始めるというストーリーになっている。

放送が始まった英保健省のテレビコマーシャル
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 英保健相であるドーン・プリマロロ氏は「肥満と2型糖尿病、心臓病、がんといった予防可能な病気は関連がある。我々はどの政府も試さなかった方法で、国民のライフスタイルを大規模に変えようとしています」と話している。

 肥満や過体重は2型糖尿病、がん、心臓病などの発症リスクを高める要因になる。英国の糖尿病有病数は約244万人で、2010年までに250万人以上に増えるだろうと予測されている。肥満指数(BMI)が35を超える人では、18から25の人に比べ、2型糖尿病の発症率は20倍高くなる。NHSの公表によると、肥満や過体重による医療負担は年間42億ポンドに上る。

関連情報
英政府の肥満対策 減量に成功したら賞金をあげます(糖尿病NET)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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