糖尿病セミナー

33. 小児2型糖尿病

2014年11月 改訂

治療はどうするのでしょう

食事療法のポイント

 摂取エネルギー量の決め方=
成長のための栄養と体重管理の両面を考える
 

肥満型と非肥満型の比較

 小児2型糖尿病を肥満型と非肥満型に分けると、やや相違点がみつかります。肥満型では食事・運動療法を進め肥満を改善すると、たいてい血糖値も低下しますが、非肥満型の場合、血糖コントロールのために薬物療法が必要なケースが少なくありません。また、肥満型は男子、非肥満型は女子に多いという特徴もあります。
 非肥満型に多い薬物療法が必要なケースでは、薬を処方してもらう都合があるので通院を中断してしまうことはあまりありません。これに対し、肥満型に多い薬物療法をしていないケースでは、糖尿病をきちんと理解していないと、肥満改善後は通院の目的がわからず治療を放棄してしまい、やがて合併症を起こしてしまうケースが報告されています。

 子どもは成長していますから、糖尿病でも成長に必要なエネルギー量を満たす必要があります。肥満や太り気味の場合も、摂取エネルギーをやや少なくする程度で、極端には減らしません。現在の体重が増えないように管理していれば、身長の伸びとともに肥満度は改善されます。ただし、著しく肥満していたり、成長期を過ぎて身長の伸びが止まっているなら、減量のための食事療法が必要です。
 具体的な摂取エネルギーは「日本人の食事摂取基準(2010年版)」(厚生労働省)の身体活動レベルII(ふつう)に該当するエネルギーを基本に、肥満の程度や糖尿病の状態などを考慮して、治療を担当する小児科医が判断します。

 食習慣の改善は、ゆっくりと少しずつ
無理をせずに、長続きさせることが一番大事
 

こんな食習慣は改めましょう
間食が多い、オヤツを買い置きしてある
オヤツ類はかなりの高エネルギー
清涼飲料水を大量に飲む
糖分が多く、血糖値が上がる
食べ方が早い
食後血糖が急上昇する。食べすぎの一因
夜食をする 睡眠中、長時間高血糖が続く
バターやマヨネーズなどを多く使う
油脂類は少量でも高エネルギー
味付けが濃い食べすぎの一因
食事の時間が不規則
血糖値の上下動が激しくなる
偏食栄養バランスが偏〈かたよ〉
一人で食事をする
嗜好〈しこう〉が偏〈かたよ〉りがちになる。
食事を楽しめない
 摂取すべきエネルギーがわかったなら、その範囲内でバランスよく栄養をとるようにします。成長期は成人に比べて体重あたりのたんぱく質摂取量が高いのですが、2010年の食事摂取基準では下表のような基準が策定されており、各年齢の小児におけるたんぱく質のエネルギー比率は全エネルギー摂取量の8〜10%となっています。しかし、毎年の国民健康・栄養調査に報告されている各年齢の子どものたんぱく質摂取量はそれよりも多く、全エネルギー摂取量の約14〜15%に達していますので、糖尿病であってもそれと同様にして問題なく、炭水化物を50〜60%前後、脂肪20〜30%のエネルギー比率にします。もちろんこれは、間食を含めた食事です。
 なお、食事療法は長続きしてこそ意味があるのですから、できることから始めて徐々にステップアップしていくようにしましょう。楽しくない食事療法に無理に取り組んでも、長くは続きません。
 また、子どもの嗜好しこうは一緒に暮らしているご家族の影響を強く受けていますから、家族ぐるみでの食習慣見直しも大切です。

年齢別にみた身長・体重の平均値と摂取エネルギーなどのめやす
年 齢
(歳)
身長(cm)体重(kg)エネルギー推定必要量
(kcal/日)
たんぱく質推奨量
(g/日)
3〜5103.4103.216.216.21,3001,2502525
6〜7120.0118.622.022.01,5501,4503030
8〜9130.0130.227.527.21,8001,7004040
10〜11142.9141.435.534.52,2502,0004545
12〜14159.6155.048.046.02,5002,2506055
15〜17170.0157.058.450.62,7502,2506055
18〜29171.4158.063.050.62,6501,9506050
〔厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」より。
身体活動レベルII(ふつう)の数値〕

運動療法のポイント

 今の子どもの遊びは、屋外でからだを動かすよりも屋内でのテレビゲームなどが中心になりつつあります。しかし、糖尿病の治療には運動が大切ですから、なるべく外で遊び、からだを動かすようにしましょう。
 運動療法は、すい臓から分泌され血糖値を下げる「インスリン」の効きめをよくする(インスリン抵抗性を改善する)ので、小児2型糖尿病にはとくに適した治療と考えられます。毎日30分以上の運動を心掛けたいものです。また、家事の手伝いなどでからだを動かす機会を多く作りましょう。

薬物療法のポイント

 食事療法や運動療法で血糖値が十分に下がらない場合、通常はまず飲み薬を服用して血糖コントロールをめざします。
 糖尿病の飲み薬は大きく分けて、(1) インスリンの効きめをよくする(インスリン抵抗性を改善する)タイプ、(2) 食べ物の消化吸収を遅くして血糖値の上昇をゆるやかにするタイプ、(3) インスリンの分泌を促すタイプの三つがあります。一般的に、肥満を伴う場合には (1) や (2) のタイプ、肥満を伴わない場合は (2) や (3) のタイプの薬が最初に処方されます。
 飲み薬の効果が不十分な場合には、薬の種類や量を追加・変更したり、インスリン療法を行います。

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