7. 肥満と糖尿病

2014年11月 改訂

うまくいかない時は、主治医に相談してこんな方法で乗り切ります

超低カロリー食
 インスリンの感受性や分泌量の改善を一気にはかりたい時は1日600キロカロリー以下の低カロリー食を、短期的に行う方法もあります。
行動修正療法
 太る人は、食べ方に問題がある場合が多いので、食事日誌をつけ、減量の妨げの原因をみつけて、生活行動を修正します。
教育入院
 自分ではうまく生活改善できない場合は、この方法も有効です。
SU薬以外による肥満糖尿病治療
 血糖値を下げる薬として古くからスルホニル尿素(SU)薬という薬が使われていますが、SU薬はインスリン分泌を増やすために体重が増えてしまいがちで、肥満糖尿病には使いにくいことがあります。そのため最近はSU薬以外の薬がよく処方されます。
 例えばビグアナイド薬やチアゾリジン薬はインスリン抵抗性改善薬とも呼ばれ、インスリンの感受性を高めることで血糖値を下げます。α-グルコシダーゼ阻害薬は、食べ物(炭水化物)の消化吸収を遅くして食後の急激な血糖上昇を抑えます。DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬は主として食後の血糖値が高いときにインスリンの分泌を増やします。速効型インスリン分泌促進薬も服用後(食後)の短時間に限ってインスリン分泌を増やします。SGLT2阻害薬は血中のブドウ糖を尿中に排出することで血糖値を下げます。
 このほか、高度肥満患者さんに期間を限って中枢性食欲抑制薬が使われることもあります。
注意! これら薬物療法は、主治医が処方します。

IV. 治療を成功させるアドバイス

太っている今が治療のチャンスです。

 現在肥満状態にあるということは、すい臓のβ細胞が障害されるところまで、まだ病気が進行していない可能性が高いということです。β細胞が障害された結果、インスリンの分泌が不足し始めると、減量しようとしなくても、やせてきます。糖尿病を、軽度のうちに治せるチャンスは、今なのです。

運動療法を始める前にメディカルチェックが必要です。

 高度の肥満者や、膝や股関節の関節症、そのほかの合併症がある場合は、運動内容に制限があるので、事前に諸検査を受け、注意点を知っておくことです。
 また、いきなり運動を始めると、筋肉が断裂したり関節を傷めるので、軽い運動から始め、筋力をつける運動もメニューに入れます。

減量には、適応現象がつきものです。

 減量を続けると、途中で体重減少が停滞する時期が必ず起きてきます(適応現象)。そんな時はあせらずに、軽い摂取カロリー制限と運動を続ける日々の努力により、乗り切ることができます。

極端な減量はやり直しがききません。

 極端な減量を繰り返していると、減量に対する抵抗力がつき、かえって体重が前より増えて、体重コントロールが不良になります。一度始めたら、途中で投げ出さないよう、ゆっくりやせるようにしましょう。

薬を減らす努力をしましょう。

 安易に薬物を使うと効き目が減退し、さらに強い薬に頼らざるを得なくなります。現在、SU薬、その他の経口薬やインスリンなどの薬物療法をしている場合でも、薬だけに頼らず、食事と運動による減量を着実に行うことで、薬から脱却できることもよくあります。また、インスリンには肥満を助長する作用もありますので、使用量は最小限に抑えながら、より良い血糖コントロールが保てるように努力してください。

つねに、治療の原則である食事と運動による減量にたちかえることこそ、治療の最大の近道です。


肥満糖尿病の手術治療
 内科的治療を十分に行っても減量効果が上がらない重度の肥満糖尿病に対して近年、手術で治療することが徐々に増えてきました。胃を部分的に切除したり、胃の内腔を狭くするバイパスを作ったり、胃バイパス術と小腸短縮術を組み合わせる(ルーワイ手術)などで、食欲を抑え、食べた物の吸収を減らします。術後には体重が確実に減り血糖値も改善しますが、食事・運動療法等の継続や定期的な検査が必要です。

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