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「FUVIDA」が誕生したきっかけ 〜アンドレアの物語〜


Fundación Vivir con Diabetes(FUVIDA)
president.Aracely Basurto Calderon

アラセリー・バスルト・カルデロン代表
(エクアドル共和国 グアヤキル在住)

 今から23年前、私の娘、アンドレアはこの世に誕生しました。あの日の喜びは、今でも忘れることはできません。その2年後にアンドレアは糖尿病を発症しました。



 当初、私たち家族は、アンドレアの糖尿病の原因をひたすら考えていました。どうしてアンドレアにこんなことが起こったのか、遺伝なのか、遺伝だとしたら一体誰から継いでしまったのか。 と思い悩んでいたのもつかの間、アンドレアを糖尿病と診断したお医者様から、「適切な治療を施さないと3か月の命だと」いう言葉を聞いて、どうにかしてアンドレアの命を救う方法を考えなくてはなりませんでした。

 しかし、糖尿病に関する知識や必要な情報がない状態で、どうやって適切な治療を施すことができるでしょうか。
お医者さまから指示された食事はとてもわずかなもので、1回の食事が4枚の全粒粉クッキーとマッチ箱ほどの大きさのチーズが二切だけでした。私は、アンドレアが目に涙をたくさん溜めながら、兄妹たちが十分な食事をしているのを見ていたのを今でも思い出します。

 アンドレアは日を追うごとに体重が減っていきました。そのような状態になっても兄妹と無邪気に遊ぶアンドレアの姿を見ていて、必ずアンドレアを救う方法があると信じていました。


アンドレア・カブレラ・カルデロンさん



 当時、現在のようにインターネットは一般家庭には普及していなかったので、まず町のインターネットカフェへ行き、国内外の糖尿病に関する情報を集めました。すると、チリに糖尿病患者を支援している団体があるのを見つけました。その団体のホームページには幸せそうに笑っている子どもたちの写真が載っていました。その写真を見て、アンドレアにも生きる希望があるのだと思いました。

 その団体にどのような活動を行っているのか、問い合わせたところ、彼らが主催する小児糖尿病患者のためのサマーキャンプがあるということで、彼らは私たちを招待してくれました。
 私とアンドレアは、そのキャンプに参加したいと思いました。しかし、そこで障害になったのが2人分のチリへの高額な航空券と現地での滞在費でした。そんなとき、私たちに救いの手を差し伸べてくれたのがラン航空でした。当時の私は、娘を救いたい一心でいろいろなところに相談をしていました。その一つがラン航空だったのです。ラン航空の担当者は私の願いを聞き入れてくれ、航空券をディスカウントをしてくれました。そのようにして、私たちはなんとかチリへ行くことができたのです。

 しかし、チリに着いたあとで、また新たな問題が出てきました。
アンドレアは私と離れて1人でキャンプに参加しなければならなかったのです。団体によると、キャンプの目的は「子どもたちの自立と糖尿病の教育を同時に行う」ことでした。それを聞いて、私は悩みました。様々な困難があったものの何とかアンドレアとチリまで来たのは他人にアンドレアを預けることをしたくなかったからでした。
 しかし、このときアンドレアはもう7歳になっていましたし、大人の言うことも理解することができました。最終的に私は娘を1人でキャンプに参加させることにしました。

 娘がキャンプに参加して一週間が過ぎたころ、団体から私自身もキャンプに参加することを許されました。
そのキャンプで私は10歳から14歳までの、約100人の糖尿病の子どもたちと過ごしました。そしてキャンプでの糖尿病教育を通して、インスリンの調整やカーボカウント、運動療法や低血糖と高血糖についてなど、実践的な知識を得ることができました。そして、糖尿病に関する知識は、健康で規則正しい生活を送るうえでベースになるものだということも理解しました。
 キャンプの初日は緊張していたせいもありますが、私には一日がとても長く感じられました。そして、初日の夜にキャンプの主催者のフアン・パブロさんの家に招待されました。


アラセリー代表(左)と、娘のアンドレアさん(右)



 フアン・パブロさんは当時28歳で、24歳のときに糖尿病を発症しました。フアン・パブロさんの家で彼と彼の家族の話を聞き、私がそのとき抱えていた悩み等を話すことができました。そのおかげで私の緊張は解け、夜はとてもリラックスした状態で眠ることができました。
 アンドレが糖尿病になってから、夜中の低血糖を避けるために、毎日、明け方にアンドレアの血糖値を測らなければならなかったため、アンドレアが糖尿病を発病してからのこの5年間、1日たりとも熟睡できる状態ではありませんでした。
 アンドレアはブタインスリンを使っていましたし、低血糖と睡眠時間が密接な関係にあることを教えてくれる人は、当時の私の周りにはいませんでした。私はこのキャンプに参加するまで常にこの不安を抱えて過ごしていたのです。

 キャンプが終わり、アンドレアが私のもとに戻ってきたとき、私はしっかりと彼女を抱きしめました。そして抱きしめながらこう思いました。アンドレアは私がいなくても、糖尿病とともに生きていくことができるのだと。その瞬間まで、私はアンドレアの病気を1人で抱え込んでいました。糖尿病の知識がない私の家族や親戚、ましてや他人になどアンドレアを任せることなんてできないと考えていたのです。
しかし、アンドレアと私が学んだ知識を家族や親戚が集まる場で伝えることによって、今では彼らも知識を得て、いざという場面でしっかりと対応できるようになりました。

 私はエクアドルに帰ったあと、チリでのキャンプで得た知識を活かして、自分の国でも糖尿病の子どもたちやその家族に何かできないかと考えていました。しかし、一度キャンプに参加しただけの私の考えに誰が賛同してくれるでしょうか。そこで私は、さらなる知識を求めて、糖尿病に関する国際的な会議やいろいろな講義に参加しました。そして、糖尿病とは人類の進化の過程の一つであるということを知りました。

 糖尿病を患っている子どもたちを支援し、その子どもたちの家族にも糖尿病の知識を伝えていく、そういった団体がエクアドルにも必要だと考えたのです。そのようにしてFUVIDAは生まれました。 今になって思うと、私たちと同じような境遇のエクアドルの人達を支援するために私の娘、アンドレアを神様がお選びになったのではないかと思うのです。

 現在、FUVIDAを通してエクアドルの200以上の家族が国際糖尿病連合やインスリンフォーライフグローバル、台湾糖尿病エデュケーター協会の支援を受けています。
 糖尿病の子どもたちにも、一般の子どもたちと同じように生活し、育つ権利があると私は思うのです。
 しかし、エクアドルでは、糖尿病患者を十分に支援する国の医療制度がまだありませんし、何よりも問題なのは糖尿病に関する教育が行われていないことです。この糖尿病教育については、現在、FUVIDAが献身的に取り組んでいます。FUVIDAは12年前から糖尿病の子どもたちを対象にサマーキャンプを実施しています。このキャンプには、糖尿病教育を行うことを目的に、海外から多くのボランティアが参加してくれています。

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IDFより2014年度の地域賞を授与されました。

 看護師であり、糖尿病の娘を持つ母親でもあるプリシアさんにはとても感謝しています。
彼女は糖尿病教育を行うためにアトランタからFUVIDAのキャンプに何度も参加してくれました。 同時に私にも糖尿病教育の方法を教えてくれました。
それにインスリン・フォー・ライフグローバルや国際糖尿病連合(IDF)、国際糖尿病支援基金をはじめとした国際的な糖尿病支援団体にも感謝しています。特に私のことを信用し、私の活動を支援してくださったインスリン・フォー・ライフ オーストラリアのディレクターであるニール・ドナランさんには感謝してもしきれません。

 現在、アンドレアは糖尿病による合併症もなく、幸せに過ごしています。彼女はいつも言います。「私は好奇心が強かったから糖尿病のことも私自身からたくさん学んだわ。」と。
確かにアンドレアは好奇心旺盛で、昔から周りの糖尿病ではない子どもたちがしていることを同じようにしていました。
今ではFUVIDAの活動の中で生活水準の向上を目的に、多くの糖尿病の子どもたちを支援しています。また、アンドレアは糖尿病の子を持つ多くの親たちに希望を与える存在にもなりました。彼らはアンドレアを見てこう言います。彼女や彼女の母親のように糖尿病について学び、理解することで息子を幸せにすることができるのだと。

 FUVIDAは現在、国際糖尿病連合の一員として活動しています。
その活動の功績を認められ、国際糖尿病連合から2014年度の地域賞を授与されました。これによりFUVIDAは国際的にも認知された糖尿病支援団体へと成長しました。

翻訳協力:鈴木 有 様

【Spanish】
POR QUE NACE FUVIDA?

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2014年10月
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  • これまでに寄せられた寄付金
    1,508万9,280円 
  • これまでに実行した支援金
    1,455万2,541円 

(2019年06月現在)

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