尿糖チェックで糖尿病コントロール
2012年03月27日
2. 食後高血糖をチェックすることの重要性
Dr.小田原: 近年、空腹時血糖値は正常あるいは境界領域でも、食後の血糖値が糖尿病の人と同じくらい高くなる「食後高血糖」が注目されています。
糖尿病の初期は、食前の血糖値はあまり上がらず、食後1〜3時間に血糖値が大きく上昇することが多いんです。しかし、健康診断では、ほとんどが空腹時に採血を行うので、この状態を見逃してしまっていることが推測されます。定期的に健康診断を受けていても、糖尿病が進行しないと空腹時血糖が上がらず、なかなか糖尿病が発見されにくいのです。この"隠れ糖尿病"の状態は放置しておくとやがて空腹時血糖値も高くなり、重症な糖尿病へと進行してしまいます。
——食後の血糖状態をみることは、とくに糖尿病初期の方には重要ですね
Dr.小田原: そうです。しかし、健診機関では、空腹時で行う他の検査に併せて行いますから、血糖測定だけ食後にというわけにはいかず、容易ではありません。また、ご自身で把握する場合、血糖自己測定(SMBG)は針を刺しますので抵抗がありますし、測定にはそれなりにコストもかかります。
そこに尿糖測定が担う役割があると考えています。測定は簡単ですし、試験紙は大変安い。10枚で700円位です。尿糖測定は、食後2時間程度で行い、血糖値が160〜180mg/dLを超えていると尿糖が出て試験紙に反応が出ます。尿糖が出ていれば、食後高血糖がある可能性があるということです。つまり、食後の血糖測定と同じ効果が尿糖測定で期待できるわけです。
——尿糖測定については、以前から注目されていたんですか?
Dr.小田原: 以前から、学校検尿をはじめ、糖尿病を見つけるためのスクリーニングとして優れていることは知っていました。糖尿病が進行するもっと前にわかっていればという思いもありますし、スクリーニングとしてもっと有効に活用されればと考えています。
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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