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ベトナムの糖尿病事情について(インスリン・フォー・ライフからのレポート)

 オーストラリアで途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)のスタッフが2013年10月にフィリピンとベトナムを訪問し、現地の糖尿病患者さんに対する支援やケアなどの実態調査を行いました。

 IFLのニール・ドナラン氏より、ベトナムの糖尿病事情に関する現地レポートが届きましたので、ご紹介いたします。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を支援しています。



ハノイ市について

 ベトナム社会主義共和国の総人口は約9,250万人で、ハノイ市の人口はおよそ650万人です。
TADE(台湾糖尿病エデュケーター協会)のクリスティーン氏とシャロン氏は10月15日遅くにハノイに到着し、私は10月16日に到着しました。フィリピンのセブ市での地震とベトナム南部での台風のために、我々は到着が少し遅れました。
午後4時、我々はハノイパールホテルで、 ビン医師とベトナムで糖尿病患者さんを支援するキム・アイン氏に会いました。 キム氏は、糖尿病と代謝疾患の保健省国立研究所長であるタ・バン・ビン医師と、ジョセフ・ダン氏に会わせてくれました。そこで我々は会議を開き、ベトナムでの糖尿病の課題について議論しました。

※キム・アイン氏については、ベトナムの糖尿病事情についてのレポートがありますので、以下のサイトもご覧ください。
■糖尿病アジアネットワーク「ベトナムの糖尿病事情」
http://www.dm-net.co.jp/asia_network/



 ビン先生のクリニックでは、午前6時30分から午後5時まで診療し、1日約100名の糖尿病患者さんを治療しています。1週間の患者さんの来院数は約400名にのぼるそうです。
ベトナムの1 型糖尿病の有病率は、年齢30歳から69歳で5.7%、2型糖尿病では7%です。 政府は7歳までの子どもへはインスリンを無料で提供をしています。
ベトナムでは、インスリンの価格が3mlで9ドル(約1,000円)ですが、殆どの患者さんが家庭の経済的な事情で医療費を支払うことができず、外国のNGO団体やその他支援者からの援助に頼っています。

左から ビン先生、キム氏、ドナラン氏



インスリンの使用期限

ベトナム保健省は、NGOから支援されたインスリンについて、少なくとも18カ月以上の使用期限があることを希望しています。 私はビン先生に、IFLは最小使用期限を6か月としていることを伝えました。
インスリンは有害はなく短期間で効力を失う薬剤ではないため、使用期限を再考するようIFLからベトナム保健省へ手紙を書くように提案されました。
IFLはベトナム保健省との交渉がまとまるまで、20カ月以上の有効期限があるランタスインスリンをビン先生へ支援することにしました。



小児糖尿病キャンプ

ベトナムではこれまで、小児糖尿病患者のためのキャンプを開催したことがありません。ビン先生はキャンプの運営等に大変興味があるようでしたので、私は、ビン先生や彼のスタッフに対し、2014年5月にフィリピン・セブで行われる「スイートアラート」主催の糖尿病キャンプへの参加を提案しました。
フィリピンの「スイートアラート」もビン先生達のキャンプへの参加を歓迎するとのことでした。
いつかベトナムで糖尿病キャンプを開催できることを期待したいと思います。



ベトナム小児国立病院

次の日10月17日、我々はベトナム小児国立病院を訪問しました。
私たちが訪問した際、この病院では約300名の小児糖尿病患者が治療を受けていました。
病棟は混雑しており、一つのベッドを複数の子どもで使用されているのもありました。 我々は小児病棟のブイ医師とダン医師に会い、インスリンが慢性的に不足していると聞かされました。
政府から供給されるインスリンは、7歳以下の子どものみが対象のためため、患者さんはインスリンの費用を工面しなければなりません。



イスラエル大使との会議

10月18日、私たちは、ベトナムにあるイスラエル大使館のメイラブ大使と昼食を摂りながらミーティングを行いました。
メイラブ大使にはかつてより、IFLがビン先生のクリニックへ血糖測定器やテストチップを輸送するための郵送料等をサポートしています。また、ベトナムだけではなくラオスの貧しい糖尿病患者さんの支援にとても意欲的で、翌月ラオスを訪問し、現地で援助が必要な人々と会う予定であることを話していました。

イスラエル メイラブ大使とのミーティング

私たちは、ベトナム保健省から要求されている、インスリンの有効期限について議論をしました。 メイラブ大使もビン先生と同様、保健省に意見をすることに賛同したため、IFLからベトナム保健省へ提出する手紙のコピーを彼女へも送る予定です。

ミーティング後、ベトナム小児国立病院を再訪し、院内にある「献金・資金提供計画室」を訪問しました。 ここは政府によって設立された特別な部署で、経済的な事情で病院の治療費が支払えない患者さんとその家族を7名のスタッフで支援しています。

この部門の責任者であるドン女史は「他の病院では、もし患者が治療費の支払いができなければ、彼らは治療を受けられず、追い出されてしまいます。 また、ある貧しい家庭の親が子どもの治療の受けさせたいために、子供を置き去りにすることもあります。」と話をしてくれました。

またこの病院には、大学生が運営するボランティア団体「ENCIミツバチクラブ」があり、週3回、小児糖尿病の患者さんと遊んだり、勉強を教えたりしています。この日、シャロン氏、クリスティーン氏、キム氏はこのボランティアグループと時間をすごしました。
この間、私は「ENCIミツバチクラブ」のメンバーであるメアリー女史と話をしました。 メアリー氏へIFLの活動について説明したところ、是非我々にも支援をしてほしいとの要望があったため、キム氏へ連絡を取るように薦めました。
またこのグループが、いつかの日かベトナムの小児糖尿病キャンプを支援することを提案しました。



過去数年における他のグループとIFL の関わり

数年にわたり、これまで多くの外国のNGO団体がベトナム小児国立病院を支援してきました。
2007年から2009年において、 オーストラリアのCLAN (隣人として生活を共にしているCAHの意)代表のケイト・アームストロング氏の働きかけにより、IFLはと共同で多くの糖尿病療養に必要な物資を支援しました。北アメリカプロテスタント教会のNGOグループは6年前、30人分のインスリンを支援しました。
オーストラリア・ブリスベーンからの ACCV (ベトナムの子供たちのためのオーストラリア慈善団体)もまた、医療扶助ににて病院の手助けをすべく貢献しました。
2008年には、国際インスリン財団のデイビッド・ベラン氏が、IDF(国際糖尿病連盟)へ報告をしました。



危機的状況にある糖尿病
フィリピン同様、ベトナムでも糖尿病に対する教育や認識の欠如、予防についての問題があります。 糖尿病に関する情報はRAPIA IDFレポート、IDF アトラス等から入手可能です。またベトナムではインスリンが高価なため、多くの糖尿病患者さんはインスリンを購入する余裕がありません。



IDFメンバーシップと IDFライフ・フォー・チャイルド
私は出発前、途上国等へ糖尿病の物資を支援しているLFAC プログラムのロビン・ショート・ホッブズ氏と話をしました。 ロビン氏は、彼らのサポート国の1つにベトナムを加えることを望んでいました。 私はベトナム小児国立病院のブイ氏にそのことを説明しました。後にブイ氏はLFACへ申込申請を行ったそうです。

ベトナムでのインスリンとテストチップ価格
インスリン
ノボ社インスリン3mlカートリッジあたり 9米ドル
テストチップ
アボット、ロッシュ、チップ毎に1米ドル

2013年1月31日から、IFLはベトナムへ下記を無料提供しました。
インスリン  5,745ml
テストチップ  200枚
測定器  2個
ペン型注射器用針  3,988本
インスリンペン  5本
ベトナム現地での上記購入費用  18,000米ドル
オーストラリアからの郵送料     1,470米ドル
合計  19,470米ドル

2013年10月16日、 TADE (台湾糖尿病エデュケーター協会)によって寄付されたもの
テストチップ  200枚
測定器  2個
綿棒  500本
ランセット  100本
糖尿病文献  4冊
ベトナム現地での上記購入費用 350米ドル



最後に
フィリピン同様、ベトナムにおいても糖尿病は危機的状況にあります。 もっと多くの糖尿病療養に関する物資や、医療従事者に対する教育が必要とされています。
外国のNGO団体からの支援には限度があります。 IFLオーストラリア&グローバルは、提供されたインスリンや他の糖尿病支援物資を元に、今後もできる限りベトナムにサポートをし続けます。 台湾や日本など他の国々も支援物資や資金を寄付することにより、ベトナムで生命を救い続けることが望まれます。そして、ベトナム政府は早急にこの問題に取り組む必要があります。
最後に、近い将来、ベトナムで小児糖尿病キャンプが行われることを望みます。



謝辞
TADE (台湾糖尿病エデュケーター協会)のクリスティーン・シュウ氏とシャミ(シャロン)チェン氏には、フィリピンとベトナムへ同行していただき、ベトナムでの実情調査に協力していただいたことと、シュウ氏とシャロン氏の同行を許可していただいた、台湾糖尿病エデュケーター協会 TADE の会長ネン・クーン・ユー博士へ改めて深謝いたします。

IFL オーストラリア & グローバル
ニール・ドネラン

翻訳協力者:浅野優子様

 インスリン・フォー・ライフ(IFL)グローバルの活動にご賛同いただき、御参加いただける方は、下記口座(郵便局)までお振込み頂きますようお願い申し上げます。

 御協力頂きました方は、支援者としてこのホームページ上の「支援者名」のコーナーでお名前を発表させて頂きますが、本名での発表をご希望でない方は、振替用紙(郵便局)の通信欄にご希望のお名前をご記入ください。

振込口座(郵便局):
口座番号:00160−3−82542
加入者名:国際糖尿病支援基金口

関連サイト
国際糖尿病支援基金
インスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリア
糖尿病アジアネットワーク「ベトナムの糖尿病事情」

2014年04月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    1,508万9,280円 
  • これまでに実行した支援金
    1,484万475円 

(2019年06月現在)

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