2013年エクアドルの糖尿病サマーキャンプの報告
南米エクアドルで小児糖尿病患者さんを支援するFundacion Vivir con Diabetes(FUVIDA)(エクアドル)では、7月31日から8月4日にかけて糖尿病患者のサマーキャンプを開催しました。 オーストラリアで途上国の糖尿病患者さんを支援する、インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)のニール・ドナラン氏より、糖尿病サマーキャンプのレポートが届きましたので、ご紹介します。 国際糖尿病支援基金は、この活動の趣旨に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じてFUVIDAを支援しています。
Insulin for Life(IFL)オーストラリア
Neil Donelan
ニール・ドナラン氏
南米エクアドルで糖尿病患者さんを支援するFundacion Vivir Con Diabetes(FUVIDA、代表:アラセリー・バスルト・カルデロン医師)では、糖尿病に関する治療や合併症予防などについて、適切な知識をもってもらうことを目的に、毎年糖尿病のサマーキャンプを開催しています。
2013年の糖尿病サマーキャンプは、7月31日から8月4日にかけて、エクアドル共和国サリナスにある海軍基地で行われました。サリナスはエクアドル西海岸の端にあり、FUVIDAの本部があるグアヤキル市からは車で約3時間のところにあります。
FUVIDA糖尿病サマーキャンプ「Doluces Amigos 2013」より |
糖尿病のキャンプにて
今回のキャンプでは、経済的に恵まれない家庭の3歳から17歳までの糖尿病の子供たち60名と医療従事者やスタッフなど28名、合計88名が参加しました。糖尿病の子供たちはグアヤキル市以外に西海岸マナビ地区、グアヤス地区、オロ地区などエクアドル国内全土から集まりました。また、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、台湾など海外からも患者さんや医療従事者が参加しました。
FUVIDAアラセリー・バスルト代表(左)とニール・ドナラン氏
宿泊施設は前年同様、エクアドル海軍から提供され、指揮官と海軍隊員の指導のもと海軍施設を利用させていただきました。
キャンプでは年齢別に8つのグループに分けられ、各グループに4名の指導者が割当てられました。指導者には、医師・看護師・研修を受けた糖尿病エデュケーター、医学生で構成され、彼らは参加した子供たちやその両親に糖尿病の自己管理や治療について教える役割が与えられました。
毎日、昼間は2時間ごと、夜は4時間ごとに血糖測定が行われました。インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)は、このキャンプに必要なインスリン、血糖測定器、テストチップ、ランセット及びランセット付属品、ペン型注射器、シリンジ型注射器、保冷パック、グルコース錠剤等を寄付しました。
子供たちは、糖尿病の合併症を防ぐために糖尿病療養の重要性について学び、また、エクアドル海軍基地内の娯楽施設を利用する等して過ごしました。特に基地内で大きな船に乗船したときは、クジラの大群を見ることが出来ました。
各グループごとに、血糖測定や自己注射の方法などを学びます。 |
子供たちはエクアドル海軍基地内の施設の利用や、Tシャツの製作などでキャンプを楽しみました。 |
参加した子供たちは、この糖尿病サマーキャンプによって同じ病気をもつ友達と出会い、良い人間関係を築き、普段接することのない外国人や幅広い年代にわたる友情を深めることができました。そして、糖尿病があっても合併症を出すことなく健康的な生活を維持するために栄養の大切さを学びました。
キャンプ終了後には、主催者から参加者へ証明書が手渡されます。 |
糖尿病教育と指導者
IFLとFUVIDAは、最も重要なことは指導者(医療従事者)への教育と考えています。今年は24名の指導者が参加し、うち10人は糖尿病研修を受けた経験豊富な医師やエデュケーターです。
今年は、「IFL・ライフフォーチャイルドプログラム」によりスペシャルゲストとして、海外の糖尿病専門医を招待し、指導者たちへ治療や糖尿病に関する教育や講演会を行いました。
招待者の1人である、アメリカ南フロリダ医科大学教授のヘンリー・ロドリゲス医師には2つの主要な糖尿病の講義を行っていただきました。1つは、キャンプに参加した指導者とその家族に対する糖尿病の治療と合併症の予防に関するもので、もう1つは、キャンプ開催地に招かれた地元サリナスの医師・看護師・医療従事者・糖尿病エデュケーターたち約40名に対し、治療・予防・糖尿病に対する啓発に関する講義と訓練です。
その他、アラセリー会長やカナダの栄養士など4名が講演し、4時間にわたる講演会は、参加した指導者にとって大変有意義なものとなりました。
アラセリー会長は、糖尿病のサマーキャンプに備えて参加する指導者を対象に、糖尿病に関するワークショップを何回も行いました。エクアドルでは糖尿病による死亡率は非常に高い状況でありながら、総人口1,400万人に対し、内分泌専門医はたった50名しかいません。国家レベルでの公的な糖尿病教育システムがないため、アラセリー会長は糖尿病教育に必要な教材はIDF(International Diabetes Federation)から入手しています。今年、FUVIDAはIDFに加盟することができました。
また、FUVIDAではISPAD(International Society for Paediatric and Adolescent Diabetes)、IFL、IDFライフフォーチャイルドプログラム、日本の国際糖尿病支援基金、台湾糖尿病エデュケーター協会、ロシュ・ダイアグノスティックス、アボットなどから支援を受けています。これらの支援は、多くのエクアドルの糖尿病患者さんを救済しています。
その他、糖尿病協会(民間団体)が組織した様々な団体の活動にも参加し、糖尿病協会のドリス・ヘレナ医師の主導の下、エクアドル保健省(日本の厚労省に当たる公的機関)にも糖尿病教育に関心を寄せるよう働きかける取り組みを行っています。
以下の方々に深謝いたします。
- ・FUVIDA アラセリー会長、スタッフのベロニカさん、カルメンさん、ジェシカさん
- ・糖尿病サマーキャンプに参加した医療スタッフ
- ・アラセリーさんのご家族
- ・施設を提供してくださったエクアドル海軍中佐
- ・ヘンリー・ロドリゲス教授(アメリカ、小児科医)
- ・カティア・シャンノン氏(カナダ、1型糖尿病患者)
- ・マシュー・ボゾネ氏(アメリカ、スペイン語の通訳・翻訳)
- ・カミラ・コスタ氏(ブラジル、看護師・糖尿病エデュケーター)
- ・アメリエ・ロイ・フレミング氏(カナダ、栄養士)
- ・チェン・ルー氏(台湾、1型糖尿病患者、医学生)
- ・台湾糖尿病エデュケーター協会
- ・国際糖尿病支援基金(日本)
- ・コステリック夫妻(IFLカナダ)
- ・IZLドイツ
- ・在エクアドル オーストラリア領事 パブロ・ヴァスコネス氏
- ・イスラエル大使 エリヤフ・イェルシャルミ氏
- ・IFLオーストラリア
インスリン・フォー・ライフ オーストラリア
【English】
Report of DULCES AMIGOS 2013/Neil Donelan
http://www.dm-net.co.jp/idaf/fuvida2013/2013neilreport.pdf
●関連サイト
国際糖尿病支援基金
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
Fundacion Vivir con Diabetes(FUVIDA)(エクアドル)
2013年エクアドル糖尿病サマーキャンプへのご支援をお願いします。
国際糖尿病支援基金は、インスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアを通じて、2008年よりFUVIDAの活動を支援しています。
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