欧州食品安全機関(EFSA)は、健康のためにカフェイン摂取量を1日400mg未満に抑えた方が良いという提言を発表した。これは、コーヒー4~5杯に相当する量だ。妊娠中の女性や、子どもも、カフェイン摂取に注意が必要だ。
安全なカフェイン摂取量は1日400mg未満
欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)は、健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量について、成人では1日400mg未満に抑え、1回の摂取量が200mgを超えないようにするべきとする提言を発表した。
通常のコーヒーであれば、1日のカフェインの摂取量は4~5杯までが適当な量だという。
欧州委員会の要請を受けてEFSAがまとめた120ページの報告書では、「妊娠中の女性を除く一般的な成人の場合、カフェイン摂取が1日400mg未満なら、健康障害となることはない」と指摘している。
カフェインには、中枢神経に働きかけ、眠気や疲労を抑え、運動機能を高める興奮作用や、骨格筋に働き、疲労感を抑え活動性を増大させる作用がある。
また、心臓の心筋に作用し、収縮力や拍出量を増加させたり、腎臓の血管を拡張させ、腎臓への血流量を増やし尿の生成を促す利尿作用がある。
しかし、カフェインを大量に摂取すると、不眠症や神経症、心拍数の増加、高血圧、不整脈が引き起こされるおそれがあるという。
妊娠中の女性はカフェイン摂取に注意
さらに、妊娠中の女性はカフェイン摂取に注意するべきと、報告書は指摘している。妊娠中の女性は男性の半分の量で、1日200mg未満を推奨している。これはコーヒーであれば1日2杯に相当する。
妊娠中はカフェインを分解・排泄するのに時間がかかる。特に妊娠末期には代謝速度が3分の1になり、妊婦の体に長く留まることになる。
カフェインは胎盤を通過するため、妊婦がコーヒーや紅茶、お茶などを飲むと胎児にもカフェインが移行する。
胎児の体に移行したカフェインは母体と同じ血中濃度になる。胎児は肝臓の機能が未熟なため、カフェインを排泄できず、胎児の体内に高濃度のカフェインが留まることになる。
カフェインはコーヒー以外の食品にも含まれる
さらに報告書では、子どもではカフェインの摂取量が体重1kg当たり3mgを超えるべきではないとの見解を示した。
子どもでは体重1kg当たり1.4mgを超えるカフェインを摂取すると、睡眠障害などの症状があらわれるので、夜間は摂取するべきではないとしている。
もっとも懸念するべきなのは、最近の子どもや若者に人気の「エナジードリンク」だ。「レッドブル」などの商品にもカフェインが含まれている。
「コーヒー以外で摂取するカフェインについても考慮するべきだ。過剰摂取による健康リスクは少なくない」と注意を促している。
カフェインを摂り過ぎている人が多い原因は、「コーヒー以外の食品にもカフェインが含まれていることと、ほとんどの人がそのことに気づかすに、さまざまな食品や飲料を口にしていることにある」としている。
Caffeine: EFSA estimates safe intakes(欧州食品安全機関 2015年5月27日)
[ Terahata ]