牛乳やチーズ、卵などは、脂肪分がたっぷり含まれているので、健康に悪そうなイメージがあるが、実は糖尿病の予防効果があるという研究が発表された。
牛乳やヨーグルトが2型糖尿病のリスクを低下
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどをよく食べるでは、全く食べない人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが23%低下することが、2万6,930人を対象とした観察研究で明らかになった。
乳製品の1日の消費量は、週に5サービング程度が最適だと言う。1サービングはコップ1杯(200mL)の牛乳、ヨーグルト(200g)、チーズ40gに相当する。
ただし、脂肪分が含まれる食品のうち、肉の摂取量が多い人では糖尿病の発症リスクが上昇することも明らかになった。また、飽和脂肪酸が多く含まれるバターも、食べ過ぎると血中のコレステロール値が上昇するという。
食品に含まれる脂肪は、糖代謝とインスリン感受性に影響を与えるため、2型糖尿病のリスクで重要な役割を果たしていると考えられている。
脂身の多い肉などに含まれるコレステロールや飽和脂肪酸を多く摂取すると、2型糖尿病リスクが上昇するが、動物性脂肪のなかでも乳製品に含まれる脂肪分は糖尿病リスクの低下に有用であるようだ
基本は栄養バランスの良い食事
スウェーデンのルンド大学のウルリーカ エリクソン氏らは、2万6,930人(年齢45〜74歳)の食事データを収集し、高脂肪乳製品や低脂肪乳製品などの食品ごとの摂取量を五分位に分類し、2型糖尿病リスクを比較した。
14年間の追跡期間中に、2,860人が2型糖尿病を発症した。牛乳やヨーグルトなどの高脂肪の発酵乳製品をもっとも多く摂取していた群では、もっとも少なく摂取していた群に比べ、2型糖尿病の発症リスクが23%低かった。
ヨーグルトやチーズなどの牛乳を発酵させて作った食品には、カルシウム、ビタミンA、B、ラクトフェリンなどが豊富に含まれる。「それ以外にも、糖尿病リスクを低下させる成分が含まれている可能性がある」と、エリクソン氏は指摘している。
「ただし、乳製品を過剰に摂取すると肥満につながるので、“乳製品だけを食べれば良い”とは思わない方が良い。治療の基本は栄養バランスの良い食事であることを忘れてはなりません。塩分、飽和脂肪酸、糖分の過剰摂取は、糖尿病を悪化させるおそれがあります」と注意を促している。
卵を週に4個食べると糖尿病リスクは低下
フィンランドの東フィンランド大学の研究によると、卵は週に4個まで食べると、糖尿病の発症リスクを下げられるという。
研究チームは、1980年代に心臓病のリスクを調べる研究に参加していた42〜60歳の2,332人の男性の食習慣について追跡して調査した。20年後に、このうちの432人が2型糖尿病と診断された。
1週間に約4個の卵を食べていた男性は、週に1個だけの男性より、2型糖尿病のリスクが38%低いことが明らかになった。この効果は、卵を4個を超えて食べると打ち消された。
「卵は脂肪の多い食品ですが、適量を食べることで、健康に不可欠な幅広い栄養素を摂取できます。調査では週に4個まで食べると、効果を得られることが示されました」と、東フィンランド大学のユルキ バータナン氏は言う。
卵には、コレステロールに加えて、糖代謝や炎症の低減に影響し、2型糖尿病のリスクを低減する栄養素が含まれる可能性があるという。
「食事について考えるときは、特定の栄養素のみに注意するよりも、食品の内容を考えて全体の栄養バランスを調整した方が、良い結果を得られるようです」と、バータナン氏は述べている。
High-fat dairy products linked to reduced type 2 diabetes risk(ルンド大学2015年4月2日)
Eating eggs reduces risk of type 2 diabetes(東フィンランド大学)
[ Terahata ]