「リンゴ型肥満」の人は腎機能が低下している傾向があり、年齢が進むと血圧が高くなり、慢性腎臓病を発症する危険性が高いという研究が発表された。若いうちから内臓脂肪を減らす対策をすると、高齢化してから腎臓病を予防できるという。
「リンゴ型肥満」は、おなかの内臓のまわりに脂肪がたまるタイプの肥満で、上半身に多く脂肪がつくため、リンゴ型と呼ばれている。
一方、「洋ナシ型肥満」は、皮膚の下にある組織に脂肪がたまるタイプの肥満。おしりから太ももにかけての下半身に脂肪が多くつくため、洋ナシ型と呼ばれている。
米国腎臓学会の学会誌に発表された研究によると、リンゴ型肥満の人はそうでない人に比べ、腎臓の機能が低下し血圧が高めであり、年齢が進むと慢性腎臓病を発症するリスクが高い傾向があるという。
オランダのフローニンゲン大学医療センターのArjan Kwakernaak氏らの研究チームは、体格指数(BMI)が25未満の健康な男女315人を対象に調査した。対象者の腎臓機能を調べ、ウエストとヒップの比率からリンゴ型体型と洋ナシ型体型に分け比較した。
その結果、リンゴ型体型の人では、内臓脂肪がたまっており、腎機能が低下しており、血液量が増え血圧が高くなる傾向があることが分かった。
腎臓の働きが悪くなると余分な塩分と水分の排泄ができなくなり血液量は増加し血圧が上がる。さらに、血圧が上がれば腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環に陥る。
「リンゴ型体型の人は、標準体重で健診の結果に異常はない場合でも、腎臓に高い血圧がかかっている場合があります。肥満が伴うと、この傾向はいっそう強くなります」と、Kwakernaak氏は指摘する。
今回の研究は、なぜリンゴ型肥満の人が洋ナシ型肥満の人に比べ、腎臓病を発症する可能性が高いのかを説明する役に立つ可能性があるという。
高血圧を改善するためには、塩分の摂取を制限したり、「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」と呼ばれる降圧薬で治療を行う必要がある。「リンゴ型体型の人は、若いうちから内臓脂肪を減らすよう生活習慣を改善すれば、高血圧対策にもなります」とKwakernaak氏は強調する。
内臓脂肪は皮下脂肪と比べて、たまりやすく減りやすいという特徴がある。メタボリックシンドロームのベースとなっている内臓脂肪は、ためる原因となっている食べ過ぎや運動不足などの不健康な生活習慣を改善することで減らせる。
Why do people with apple-shaped bodies have an increased risk of kidney disease?(米国腎臓病学会2013年4月11日)
[ Terahata ]