緑茶やコーヒーを毎日飲むことで脳卒中リスクが低減することが、国立がん研究センターと国立循環器病研究センターの研究で示された。「緑茶を1日2杯以上、またはコーヒーを1日1杯以上を摂取することで、脳卒中のリスクが減少する可能性がある」と、研究者は述べている。
緑茶やコーヒーに脳卒中リスクを低減する効果がみられる理由ははっきりと分かっていないが、研究チームは、緑茶にはカテキン、コーヒーにはクロロゲン酸が含まれることを指摘している。
緑茶に含まれるカテキンには、抗酸化作用、抗炎症作用、抗血栓作用、などの、血管を保護する効果がある。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸にも抗酸化作用があり、動脈硬化などの予防に有効であるという研究が報告されている。
研究チームは、岩手、秋田、茨城、長野、沖縄、新潟、高知、長崎、沖縄に在住していた45?74歳の男女約8万1,978人(男性3万8,029人、女性4万3,949人)を対象にデータを収集。緑茶およびコーヒーを飲む量のほか、通院記録、死亡診断書、心疾患および脳卒中による死亡のデータを追跡した。
平均13年の追跡の結果、緑茶やコーヒーを1日に1杯以上飲む人では、ほとんど飲まない人に比べ、脳卒中リスクが低下することが判明した。
緑茶を「全く飲まない」「週1〜2回飲む」「週3〜6回」「毎日1杯」「毎日2〜3杯」「毎日4杯以上」のグループに分けて解析した。
すると、脳出血のリスクは、ほとんど飲まないグループに比べ、「毎日1杯」が22%、「毎日2〜3杯」が23%、「毎日4杯以上」が35%、それぞれ低かった。
また、脳卒中のリスクは、「毎日1杯」が6%、「毎日2〜3杯」が14%、「毎日4杯以上」が20%、それぞれ低かった。
コーヒーを飲む人でも同様の結果を得られた。脳出血のリスクは、「毎日1杯」が17%、「毎日2杯以上」が18%、それぞれ低かった。脳卒中のリスクは、「毎日1杯」が20%、「毎日2杯以上」が19%、それぞれ低かった。
得られた所見が緑茶およびコーヒーによるものであることを確かめるため、今回の研究では年齢、性別、体重、喫煙、飲酒、食事、運動などの因子が考慮されている。
「これまでにも複数の研究でコーヒーや茶が脳卒中や脳出血の予防に有益な効果をもたらすことが示唆されています。今回の研究は、脳卒中発症との関連を多数の対象者で調べたはじめてのものです」と、国立循環器病研究センターの小久保喜弘氏は述べている。
この研究は、医学誌「Stroke」オンライン版に3月14日付で掲載された。
緑茶・コーヒー摂取と脳卒中発症との関連について(多目的コホート研究「JPHC Study」)
Green tea, coffee may help lower stroke risk(米国心臓学会 2013年3月14日)
[ Terahata ]