日本人の成人が1日に食べる野菜類と果物類、魚介類の量は、すべての年齢層で10年前に比べ減っていることが、厚生労働省がまとめた「2011年国民健康・栄養調査」であきらかになった。一方で、肉類は増えており「肉食化」が進んでいる。調査は昨年11月に、無作為抽出した3412世帯を対象に実施した。
野菜と果物が不足している日本人の食生活
調査によると、成人の野菜類と果物類の1日の平均摂取量は、それぞれ277.4g、110.3gで、10年前(2001年)の摂取量(295.8g、132.3g)と比べると減少している。
特に野菜の摂取量の不足は深刻で、もっとも多い60歳代でも312.3gとなっており、「健康日本21」の目標値である350gに達していない。野菜不足は20〜40歳代で顕著で、1日の平均摂取量は、20歳代は234.4g、30歳代は239.1g、40歳代では255.6gだった。
魚介類でも同様の傾向がみられ、平均摂取量は78.6gだった(2001年は102.9g)。魚介類の摂取量は、全ての年齢層で減少しており、40歳代は61.8g(37.8%減少)、50歳代では81.6g(32.5%減少)だった。
一方で、肉類の摂取量は増えている。平均摂取量は80.7gだった(2001年は74.0g)。30歳代で100.2g、40歳代99.4g、50歳代87.5gとなっており、30〜40歳代では60歳代(68.8g)の1.5倍の量を食べていることが分かった。
厚生労働省は「野菜や果物の摂取量が少ないと、生活習慣病の発症リスクが高まる」として、栄養バランスの良い食事をこころがけるよう呼びかけている。
経済的な差が栄養格差につながる
生鮮食品をふだん買っている人の割合は、男性36.3%、女性83.8%で、40〜60歳代女性では9割以上に上ったが、男女とも20歳代で男性17.6%、女性44.4%と割合がもっとも低かった。
生鮮食品を買い控える理由は、「価格が高い」がもっとも多く30.4%で、20〜40歳代では4割を超えた。「食料品等の日常の買い物が不便」(6.7%)、「店舗までの距離が遠く、交通手段がない」(2.7%)といった理由を挙げた人は少なかった。
また、年収が低い人ほど、野菜や果物などの生鮮食品を食べる量が少なくなり、世帯収入が200万円未満の人では野菜類などの摂取量が少ない傾向があることも分かった。
収入別に分析すると、年収が200万円未満の男性は、野菜が258.7g、果物が73.9g、年収600万円以上の男性よりも、野菜が24.7g、果物が20.0g少なくなるなど、年収が低いほど摂取量が減る傾向にあることが示された。
厚労省では「収入格差が栄養面の格差につながる傾向がうかがえる」と指摘している。
災害の備え 半数近くの家庭が食料を備蓄
地震などの災害時に備えて非常用食料を用意している世帯の割合(備蓄率)は47.4%に上った。東日本大震災の発生が危機感を高め、備蓄率の向上につながっているとみられる。
地域別では東海(岐阜、愛知、三重、静岡)が65.9%でもっとも高く、関東I(埼玉、千葉、東京、神奈川)60.8%、関東II(茨城、栃木、群馬、山梨、長野)53.9%と続いた。もっとも低かったのは九州(沖縄含め8県)で24.6%だった。
備蓄しているのは水や茶など飲料がもっとも多く、レトルトご飯や加工米、乾パンなど主食、肉や魚の缶詰やレトルト食品などが続いた。
平成23年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
[ Terahata ]