日本では、糖尿病患者の急増や高齢化社会にともない糖尿病やPAD/ASOによる足病変が増加している。60歳以上の約700万人が足病変を発症しており、PADの有病者数は320万人と推定されている。
日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニックは、糖尿病性神経障害や末梢動脈疾患(PAD)を要因とする足病変に対して、適切な診断・治療を受けられず下肢切断に至っているケースがあることを問題視し、その解決策を探るために下肢救済に関わる治療実態をあきらかにすることを目的に患者・医師を対象とした調査を行った。患者調査は、(社)全国腎臓病協議会の協力を得て、足病変のハイリスク患者である透析患者4,102人を対象に行われた。
・PADに関する検査・治療について知っている人は2割
調査の結果、PAD/ASOについて「検査、治療内容、治療してくれる診療科、治療後について詳しく知っている」と回答した人は全体の18.2%と2割未満であることがあきらかになった。 また、糖尿病透析患者と非糖尿病透析患者の2群に分けて比較したところ、非糖尿病透析患者は糖尿病透析患者と比べ「検査、治療内容、治療してくれる診療科、治療後について詳しく知っている」と回答した人の割合は10ポイント以上低く15.4%にとどまった。
・44.8%は自分がPADになりやすいことを知らず
「PAD/ASOを聞いたことがある」と回答した人のうち、「透析を受けている人は、PAD/ASOになりやすいことを知っている」と回答した人は55.2%にとどまり、44.8%は慢性腎臓病、特に透析が末梢動脈疾患(PAD)の危険因子であることを知らないことがあきらかとなった。 また、糖尿病透析患者と非糖尿病透析患者の2群に分けて比較したところ、非糖尿病透析患者は糖尿病透析患者と比べ、疾患へ理解度が全般的に低い傾向にあった。
・足病変ハイリスク患者にもかかわらず「足の健康管理」に対する意識が不十分
また、PADなどによる足病変を発症するリスクが高く、日ごろから足の健康管理が必要であるにもかかわらず、その一環として「足の爪をこまめに切ったり、胼胝べんち(タコ)や角質のケアを行っている」人が47.0%、「足に傷がないかこまめに確認している」人が34.5%、「足を保護するため自分にあった履物を選んだり特注して履いている」人は23.6%と、足の健康管理に対して意識が十分でないことがあきらかになった。
・足病変ハイリスク患者にもかかわらず4割がフットケアを受けず
PADなどによる足病変ハイリスク患者にもかかわらず、足に傷が無いかどうかの確認や爪きり、胼胝べんち(タコ)の処理などの「フットケアを定期的に受けている」人は41.9%にとどまり、「フットケアを受けていない」人は43.5%に上った。
●詳細はこちら→悪化しやすい足病変 フットケアを受けていない患者が4割