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2005年06月10日

動脈硬化性疾患に対するアスピリンの一次予防効果を調べる研究が国内でスタート

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 心筋梗塞・脳梗塞などの血栓症の初回の発作を、抗血小板薬(アスピリン)によって予防可能かどうかを調べる大規模研究の概要が発表された。平成17年度の厚生労働科学研究補助金によるもので、主任研究者は慶應大学医学部の池田康夫教授。

 アスピリンによる動脈硬化性疾患の抑制効果については、二次予防(梗塞発作の再発予防)において既に世界各国のガイドラインで第一選択薬に推奨され標準的に使用されているが、一次予防については国内では十分なエビデンスがない。

 この臨床研究では、動脈硬化性疾患を診断されておらず、高血圧、高脂血症、糖尿病のいずれかを有する60〜85歳の患者を1万例登録し、アスピリン投与群と非投与群各5,000名ずつに分けて5年間経過を追跡する。エンドポイントは、脳・心血管系要因による死亡や非致死性脳血管障害・心筋梗塞という、客観的評価が可能なハードエンドポイント。一次予防の効果の検討し得る症例を集めるため、実地医家(かかりつけ医)約1万8,000人が加盟している日本臨床内科医会が共同体制をとる。

 抗血小板薬のなかでもアスピリンは安価であること、長い歴史から安全性が確立されていることにより一次予防に最も適している薬剤で、仮に一次予防のエビデンスが得られ国内で用いられるようになった場合、動脈硬化性疾患の発症を2割削減でき、600億円の医療費削減効果が見込めるという。

 なお、調査の名称は「動脈硬化性疾患危険因子を有する高齢者に及ぼすアスピリンの一次予防効果に関する研究(Japanese Primary Prevention Project with Aspirin. 略称 : JPPP)」。

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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