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エクアドル地震から1ヶ月が経過し・・・(エクアドルFUVIDAレポート)

 2016年4月14日以降、熊本地方で発生した地震により被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 同じく4月16日(現地時間)に南米エクアドルでも、マグニチュード7.8の地震が発生しました。 エクアドルで糖尿病患者さんを支援するFUVIDA(Fundacion Aprendido vivir con Diabetes)のアラセリー代表より、当時の状況についてのレポートが届きましたので、ご紹介します。

国際糖尿病支援基金は、この活動の趣旨に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を通じてFUVIDAを支援しています。


Fundación Vivir con Diabetes(FUVIDA)
president.Aracely Basurto Calderon

アラセリー・バスルト・カルデロン代表
(エクアドル共和国 グアヤキル在住)


 

 2016年4月16日に発生したエクアドル地震は、1分にもたたないうちに沢山の命が失われ、また私たちに命の教訓を与えました。それは、ほんの一瞬で、私たちは全てのものを失うということです。

 私たちは、最新の携帯電話やテレビを買うために、家族や友人と過ごす時間を大事にせず、日々働いています。しかし、そのような日々に一体何の意味があるのだろう。

 この地震により、エクアドル国内のエスメラルダス県ムイスネ周辺の地域は、壊滅的な被害を受けました。私は、これほどまでに自然が猛威をふるうということを想像もしていませんでした。 その地域に、私が生まれ育った町、カルセタ(マナビ)があります。
私が考えていたことはただ一つ、カルセタにいる私の家族や親戚が無事であるかどうか。ということでした。

 地震後、私の親戚はその1分間の恐怖を語ってくれました。彼らによると、それは本当に一瞬の出来事であり、地震の直後に1人の警官が「エスペランサダムが決壊した!カルセタが浸水するぞ!」と叫んだと聞きました。
大勢の人が、街の幹線道路に向って必死に走り、目につく車に飛び乗り、子供や老人、車椅子に乗った障がい者、車やトラックは街から逃げ出す人で溢れていました。 そんな恐怖と不安の時間を、私の家族は経験しました。

 私の父は、地震直後に家を出ようとせず、家族が強引に連れ出すしかありませんでした。7歳の甥は車に乗り込む間も泣き続けていたました。
地震が起こったのが夜であったために、停電により町に明かりは一切無くなっていました。



FUVIDAでは、震災に対する糖尿病患者さんへの支援を求めるためにビデオを制作しました。



 逃げ惑う住民の1人が、私の家族が乗った車に助けを求めてきました。甥はそんな光景から目を背けるために、うずくまり顔を両手で覆っていましたが、人々の叫び声に甥のその両手は震えていました。 自分自身の命や家族の命を守るため、彼らは全てを置き去りにし、逃げるしかありませんでした。

 私たち家族が親しくしていた女性の家では、その夫と息子が横たわった彼女の身体を瓦礫の中から引きずり出そうとしていましたが、人々はそんな彼らに目もくれず、無我夢中で走り去っていった。と、その親子は地震後に涙を流しながら私に語ってくれました。いくつもの店や建物が倒壊しました。

 私の従姉妹が働いていた建物が倒壊したという知らせを受けたとき、叔母は絶望に打ちひしがれ泣き崩れました。私の従兄弟は彼女を探しに必死に建物に駆けつけ、彼女の名を呼びましたが、そこには瓦礫の山があるだけでした。
幸運にも彼女は、建物が倒壊する直前に逃げ出していましたが、停電により真っ暗な街では、たとえすれ違っていたとしても、お互いに気づくことはできなかっただろうと思います。 運良く逃げ出した彼女でしたが、街の中心部で、いくつものビルが目と鼻の先で崩れ落ちるのを見たということでした。

サンビセンテにて、被災者への支援や救護活動を行いました。


 この地震は、数えきれない悲惨な出来事と生きることの教訓を私たちに残しました。
仕事柄、地震後に私がまず考えたことは、あの状況下でインスリンを必要としている人々、特に、糖尿病を患っている子供達のことでした。
私はいてもたってもいられず、そのとき手元にあったインスリンを保冷バッグに詰め、立て札を片手に被災地に向かいました。立て札には「もし、あなたが被災者でインスリンを必要としているなら、すぐに連絡をください。」と書きました。 その日から、私のSNSと電話にはインスリンを求める人からの連絡が絶えません。

 この1ヶ月で私たちのグループは、3,500mlの様々なタイプのインスリンと2,600本のインスリン用注射器を被災者に提供してきました。また、870人の血糖値測定や26の被災地域の村を訪れ、緊急時の糖尿病患者の対応などの講習も行ってきました。
震災後はエクアドル衛生省の認可が厳しくなったので、医薬品の入手が大変難しくなりました。
そのため、アレクサンドラやジェシカを始めとしたコロンビアやアメリカの仲間たち、インスリンの輸送を請け負ってくれた人たちやフランスの仲間たち、そしてインスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリアが物資を支援してくれました。

 私は、安全でスムーズなインスリンの入手のために必死に努め、いろいろな機関に働きかけたところ、いくつもの国が私の考えに賛同をしてくれました。
現在も、私たちのグループは医師団とともに被災地を回り、糖尿病教育とインスリンの提供を続けています。 神様が許す限り、そして私たちに賛同してくれる世界中の機関や人々の協力がある限り、この活動を続けていきたいと思います。

最後にいくつかの写真を紹介します。
子供の頃を思い出しながら食べているのは薪で焼いたトウモロコシです。
写真の二人は、FUVIDAのスタッフあるロクサーナと、内科医のアナです。







翻訳協力者:鈴木有様

●関連サイト
2016年エクアドルで発生した地震について
Fundacion Vivir con Diabetes(FUVIDA)(エクアドル)
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
国際糖尿病支援基金

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2016年08月
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  • これまでに寄せられた寄付金
    2,003万9,888円 
  • これまでに実行した支援金
    1,951万7,033円 

(2024年11月現在)

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