日本栄養改善学会や日本肥満学会、日本糖尿病学会など10学協会で構成される「健康な食事・食環境」コンソーシアムは、「スマートミール」の第1回の認証を発表した。
「スマートミール」とは、病気の予防や健康寿命を延ばすことを目的とした、栄養バランスのとれた食事のこと。
バランスのとれたメニューの徹底を
「スマートミール」(Smart Meal)とは、健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事の通称。「健康な食事・食環境」コンソーシアムが審査・認証した店舗や事業所で提供される。
スマートミールの認証を行う「健康な食事・食環境」コンソーシアムは、日本栄養改善学会・日本給食経営管理学会・日本高血圧学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本公衆衛生学会・健康経営研究会・日本健康教育学会・日本腎臓学会・日本動脈硬化学会の10学協会で構成されている。
スマートミールの認証基準は、厚生労働省が定める生活習慣病予防のための食事の目安や、日本人の食事摂取基準(2015年版)を基本とし、給食会社のヘルシーメニューを分析するなどして設けた。
国が健康な生活習慣の目標を定めた「健康日本21」の目標も含んだ内容になっており、バランスのとれたメニューの徹底を求めている。
飲食店、中食など68事業者を「スマートミール」認証
9月に新潟市で開催されている第65回日本栄養改善学会学術総会で第1回認証式が開催された。第1回の認証では全国の68事業者が認証された。
4月から応募を受付け、書類などの審査を経て9月に認証する。毎年1回受付、審査などは無料。認定されれば、認証マークを掲示できる。
外食、中食、給食(学校や企業などの食堂)の3部門があり、個人経営の店から大手チェーン、コンビニエンスストア、社員食堂と幅広く認定された。
社員食堂も対象で、企業が進める社員の健康づくりを食の面から支援する狙いもある。
「管理栄養士が関与」「栄養情報を表示」などが必須
「スマートミール」の料理・食品の構成は以下の通り――
1. | エネルギー量は、▼1食当り450〜650kcal未満(通称「ちゃんと」)と、▼650〜850kcal(通称 「しっかり」)の2段階とする。 |
2. | 料理の組み合わせの目安は、(1)「主食+主菜+副菜」パターン、(2)「主食+副食(主菜、副菜)」パターンの2パターンを基本とする。 |
3. | PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)バランスが、食事摂取基準2015年版に示された、18歳以上のエネルギー産生栄養素バランスの範囲に入ることとする。
1食の総エネルギーに占める割合:タンパク質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65% |
4. | 食塩相当量は、「ちゃんと」3.0g未満、「しっかり」3.5g未満とする。 |
5. | 牛乳・乳製品、果物は、基準を設定しないが、適宜取り入れることが望ましい。 |
6. | 特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材を使用しないこと。 |
これらに加え、「管理栄養士・栄養士が作成・確認に関与している」「栄養成分表示をしている」「栄養情報などを店内、カタログ、注文サイトなどで分かるように提供している」「店内は禁煙」といった体制や環境に関する必須項目を満たしていると星1つが与えられる。
さらにオプション項目として、「週3日以上精製度の低い穀類を含む」「週3日以上魚を提供している」「野菜70g以上のメニューを提供している」「牛乳・乳製品を提供している」「果物を提供している」など18項目が設けられている。このうち5項目以上を達成すると星2つ、10項目以上で星3つとランクが上がる。
「スマートミール」の認証マークを掲示
外食部門で認証されたのは、モスフードサービス、丸の内タニタ⾷堂、⼤⼾屋など25件。モスフードサービスは、関東地区14店舗で提供する「バランスセット」が星2つに認定された。丸の内タニタ⾷堂は「野菜カレー定⾷」「⼿ごねハンバーグゴロっと野菜のトマトソース定⾷」などが星3つに認定された。
中食部門で認証されたのは、ファミリーマートなど11件。ファミリーマートは1万6319店で扱う「炙り焼き鮭幕の内弁当」が星3つに認められた。
給食部門で認証されたのは、カネテツデリカフーズ、⽇本⽣命保険相互会社東京本部、キユーピー、⾹川栄養学園⼥⼦栄養⼤学など34件。認証を受けた事業所は、それぞれに「スマートミール」の認証を事業所内で告知するなどアピールすることができる。
社会での実践を重視 全国に拡大
外食部門で星2つを獲得したメニューのひとつは、豚肉と野菜を土鍋に入れて昆布出汁で仕立てた蒸し鍋。緑黄色野菜、淡色野菜、きのこ・海藻がバランス良く入っている。ご飯は大麦、黒米などが入った五穀ご飯。ご飯が普通盛りだと528kcal、炭水化物66.9g、タンパク質18.2g、脂質17.4g、食塩相当量2.7g。
「健康寿命を伸ばすには、一人ひとりが生活習慣を改善するのに加え、健康的な職場づくりや社会環境づくりが重要です」と、日本栄養改善学会の武見ゆかり理事長は言う。
「栄養学の研究にとどまらず、社会での実践も重視しています。全国に認証店舗が広がり、健康づくりを考えるきっかけになってほしい」と話している。
健康な食事(スマートミール) 「健康な食事(スマートミール)・食環境」認証制度
[ Terahata ]