糖分を加えた甘い炭酸飲料や乳飲料をよく飲む人は、2型糖尿病の発症リスクが高いことが2万人以上を対象とした調査で明らかになった。ただし、これらの飲料を糖分を含まないお茶やコーヒー、水に置き換えると、糖尿病リスクは最大で25%減少するという。
糖分を抑えるだけで糖尿病リスクを下げられる
「糖分を加えた炭酸飲料や乳飲料を毎日飲む人は、砂糖を加えなかったり人工甘味料を加えた甘くないお茶やコーヒー、水に置き換えるだけで、糖尿病発症リスクが減少することが明らかになりました」と、英ケンブリッジ大学のニタ フォロウヒ氏は言う。
研究チームは、40〜79歳の男女2万5,639人の詳細な食事記録を調べた。調査開始時に糖尿病を発症していた人はおらず、その後10年間で847人が糖尿病と診断された。
分析した結果、糖分を加えた炭酸飲料や乳飲料の摂取量が多い人ほど、2型糖尿病の発症リスクが上昇することが明らかになった。摂取量が1日1杯増えると、糖尿病リスクは22%上昇した。
一方、お茶やコーヒー、フルーツジュースを飲んでいた人では糖尿病リスクは上昇しなかった。砂糖をカロリーを含まない人工甘味料に置き換えた場合は、糖尿病リスクの上昇は11%に抑えられていた。
フォロウヒ氏は、糖尿病リスクを下げるためにシンプルな解決法を示している。1日1杯(340g)の加糖飲料を、水や無糖のコーヒーや紅茶に置き換えると、糖尿病リスクが14%から25%も減ると推計している。
WHOガイドラインでは糖分を5%以下に制限することを勧告
世界保健機関(WHO)は、糖尿病や肥満、虫歯を防止するため、糖分の1日当たり摂取量を総エネルギー摂取量の5%以下に抑えるのが望ましいとするガイドラインを発表した。平均的な成人の場合、ティースプーンでおよそ砂糖6杯分に相当する。
この場合の「糖分」は、コーヒーなどに入れるテーブルシュガーや、ジュースや清涼飲料などに含まれるブドウ糖やフルクトース(果糖)などの単糖類や、ショ糖などの二糖類を含む。
なえ、フォロウヒ氏は別の研究で、無糖のヨーグルトや牛乳を摂取すると、糖尿病の発症リスクが24%低下することを確かめている。
カップ入りヨーグルト(125g)を平均で週4.5個食べていた人では、糖尿病リスクが28%低下した。
「糖分を控えるだけで、肥満を避けられるだけでなく、糖尿病の発症リスクも下げられる可能性があります。これは砂糖の摂取を制限すべきだという世界保健機関(WHO)のガイドラインを強く支持するものです」と、フォロウヒ氏は指摘している。
この研究は、英国医学研究審議会とCancer Research UKの支援を得て行われ、欧州糖尿病学会が発行する医学誌「Diabetologia」オンライン版に発表された。
Replacing one sugary drink per day could cut risk of type 2 diabetes(ケンブリッジ大学 2015年5月1日)
Replacing sugary drinks with water may reduce diabetes risk(英国民保健サービス 2015年5月1日)
[ Terahata ]