カロリーの摂り過ぎを気にしている人にとって、外食は特に注意が必要だ。外食を利用するときは、知らないうちにカロリーを摂り過ぎている可能性がある。外食をよく利用する人は「高血圧前症」のリスクが高いという調査報告も発表された。
1回の外食でカロリーが200kcal増える
週に2回以上を外食をする人は、肥満にならないように注意する必要があるという研究が発表された。米国がん学会の調査によると、ファストフードなどの外食を利用する人は、平均して1食で200kcalを余計にとっているという。
研究チームは、「米国健康・栄養調査」(NHANES)に参加した20~64歳の米国成人1万2,528人を対象に調査を行った。その結果、外食を利用する頻度の高い人では、体重と体脂肪率が上昇し、肥満が増える傾向があることが判明した。
外食は、店頭で食品をまとめて注文をするファストフードと、席に座り注文するフルサービスのレストランに二分される。いずれの形態でも、頻繁に利用している人はカロリーを摂り過ぎており、体に悪い飽和脂肪や塩分の摂取量も多い傾向が示された。
調査は2日にわたり行われ、参加者の30%はファストフードを利用しており、28%はフルサービスのレストランを利用していていることが分かった。夕食を外食で週に2回以上とる人は、自宅でとる人に比べ、1食につき平均200kcalを多くとっていることが分かった。
「もしもあなたが外食を週に2回行う一方で、運動をする習慣をもっていなかったり、1日の摂取カロリーを減らす工夫をしていないとしたら、1年間に2万kcalを余分にとる計算になります。そうした生活を続けると、体重が2.7kg増えるおそれがあります」と、米国がん学会のビーン ニューエン氏は注意を促している。
外食を利用する頻度の高い人は「高血圧前症」に注意
外食を利用する頻度の高い人は、肥満に加えて高血圧にも注意する必要がある。外食を多く利用する人は「高血圧前症」のリスクが高いという調査結果を、デューク・シンガポール国立大学医科大学院が発表した。
「高血圧前症」とは、高血圧症と診断されるほどではないが、血圧が高めになっている状態をさす。「最高血圧120~139mmHg、最低血圧80~89mmHg」であると、高血圧前症と判定される。この段階で、将来に高血圧症を発症する可能性が高いだけでなく、心臓病や脳卒中の危険性も上昇している。
タゼーン ジャファー教授らの研究チームは、シンガポール在住の18~40歳の男女501名を対象に調査を実施した。その結果、27%が高血圧前症か高血圧症であり、特に男性では49%がどちらかに該当することが判明した。
解析した結果、高血圧前症か高血圧の人は、肥満の割合が高く、身体活動量が少ないのに加え、外食をとる頻度が高い傾向があることが分かった。週1回の外食によって高血圧前症のリスクは6%高まるという。
日本や米国で行われた調査でも、外食をよく利用する人は、高血圧や肥満が多いことが報告されているが、今回の調査により東南アジアでもその傾向があることが示された。
「アジアでは高血圧が増えていますが、若い人でも高血圧前症の該当者が多くみられました。生活スタイルを改善し、高血圧や肥満を予防する対策が必要です。外食産業には、塩分や脂肪の制限をするなどの行政指導が求められます」と、ジャファー教授は言う。
外食やファストフードを利用するときの8つの注意点
食べ過ぎが肥満につながることを理解していても、レストランなどの外食では「つい食べ過ぎてしまう」という人が少なくない。外食でメニューを見るときには、「これだけは見逃さない方が良い」という重要なポイントがある。
米国糖尿病学会(ADA)は、外食やファストフードを利用するときに、次のことに注意するよう呼びかけている。
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注文する前に、何を食べたらよいか、あらかじめ計画をたてる。単品を選ばないようにし、全体の量を控えめにする。
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メニューに栄養成分表示やカロリー表示がある場合は、必ず見るようにする。ホームページで公開している店も多い。
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なるべく多様な食品を選ぶようにする。「ハンバーガー、ポテト、コーラ」という注文は最悪。ポテトの代わりに、サイドメニューで野菜を一品追加するようにする。
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特大メニューは、1食で800~1000kcalを超えるものもある。なるべく標準サイズを選ぶ。
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飽和脂肪とトランス脂肪酸を少なくするために、油で揚げた食品は控えめにする。
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塩分の過剰摂取は、高血圧につながるだけでなく、全体のカロリーが増えすぎる原因になる。塩入れがテーブルに置いてあっても使わないようにする。
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可能であれば、パンやごはんは全粒粉や玄米に交換する。ミルクは低脂肪のものを選ぶ。
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サラダバーを活用する。レタス、ニンジン、玉ねぎ、セロリ、ブロッコリー、カリフラワー、ホウレンソウなどの野菜を多めにする。その際に、ドレッシングをかけすぎないようにする。
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最近は栄養バランスを配慮したメニューを出す外食店が増えている。そうした店で注文をすると、料金は少し高めになるが、多少の出費は健康には代えられない。
自宅で自分で料理をすれば、食費はある程度抑えられる。「自分で料理を作る」「弁当を用意する」といった対策は効果的だ。
Adults Take In 200 More Calories Per Day When They Eat Out(米国がん学会 2014年8月15日)
Eating out = high blood pressure?(デューク・シンガポール国立大学 2015年4月10日)
[ Terahata ]