豆類を毎日食べると、2型糖尿病患者の血糖コントロールが改善することが、カナダのトロント大学の研究チームによって確かめられた。食物繊維の豊富な豆類を食べると、総コレステロールと中性脂肪の低下も期待できるという。
豆類は食物繊維が多い HbA1c値が低下
糖尿病患者の食事療法において、食後血糖値の上昇度を示す指標であるグリセミック・インデックス(GI)値は重要とされる。GI値の低い食品を食事に取り入れると、2型糖尿病患者の血糖値コントロールに有効であることが知られているからだ。
GIは食品に含まれる糖質の吸収度合いを示すもので、GI値が低いほど糖質の吸収はゆっくりとなり、血糖値の上昇も遅くなる。食後血糖値の急激な上昇を抑えるためには、なるべくGI値の低い食品を取り入れることが重要な鍵となる。
メイヨークリニックによると、精製された白米のGI値は89だが、玄米であるとGI値は50に下がる。バニラワッフルなどのお菓子やスイカなどの果物も、GI値は70以上と高い。低GIの食品は野菜や豆類、乳製品などで、GI値は50以下だ。
食物繊維の摂取量を増やすことも重要だ。例えば海藻類や豆類など食物繊維が多く含まれる食品は、糖質の吸収を遅くする働きがある。
トロント大学を中心とする研究チームは、ヒラマメやヒヨコマメなどの豆類を多く食べると、血糖コントロールが改善することを、実験で確かめた。
研究チームは、121人の2型糖尿病患者を対象に無作為化比較対象試験を行った。患者を、食事にカップ1杯分(190g)の豆を加える群(豆群)と、食物繊維の豊富な全粒粉小麦の製品を食べる群(全粒粉小麦群)に分けた。このスタイルの食事を3ヵ月間続けてもらい、HbA1c値などの推移を比較した。
その結果、豆類をとった群ではHbA1c値が0.5%低くなり、全粒粉小麦をとった群はHbA1c値が0.3%低くなった。両群ともにHbA1c値7%未満を達成できたが、豆類をとった群でよりHbA1c値は低下していた。
「豆類は、日常的に親しむ食品のなかで食物繊維が多く、効果的に摂取できる食品だ。例えば、インゲン豆にはサツマイモの約3倍もの食物繊維が含まれる。インゲン豆を煮て食べると難消化性デンプンも増える。毎日の食事に豆をプラスすれば、食物繊維を効率的にとることができる」とトロント大学のデービッド ジェンキンズ博士は指摘する。
豆類を食べると、冠動脈性心疾患(CHD)の危険を減らすことも示唆された。全粒粉小麦群より豆群のほうが収縮期血圧が4.5mmHg低かったことから、CHDリスクは0.8%程度低くなったと考えられる。ちなみに糖尿病はCHDの重大なリスク因子として知られている。
「毎日の食事に豆類を取り入れると、食事のGI値が下がる。2型糖尿病患者では、総コレステロール値と中性脂肪値が低下することも確かめられた。ラテンアメリカなど、伝統的に豆を食べていた地域でも、食生活の変化により2型糖尿病が増加している。豆を多く食べることが血糖コントロールと心疾患リスクを減らすことがわかったことは、伝統的食事を見直すきっかけになるだろう」とジェンキンズ博士は述べている。
Effect of Legumes as Part of a Low Glycemic Index Diet on Glycemic Control and Cardiovascular Risk Factors in Type 2 Diabetes Mellitus(米国医師会雑誌)
[ Terahata ]