糖尿病の用語辞典
炭水化物の摂取量を中心に考えて食事をとること。糖尿病食事療法の一つ。食後の血糖値が炭水化物の量に比例することに着目した方法です。インスリン注射量を適切に加減することができ、よりよい血糖コントロールに役立ちます。インスリン療法をしていない患者さんの食後過血糖改善にも有用です。
[家庭血圧]
家庭での日常生活環境下で測定した血圧の値。通常は医療機関に受診したときの血圧値「診察室血圧」よりも若干低くなります。治療に必要な多くの情報を把握できるため、よりよい高血圧治療に役立ちます。また、診察室血圧ではわからない仮面高血圧の発見と治療に欠かせません。測定した値は、日時とともに書きとめておきましょう。
[仮面高血圧]
医療機関に受診した際に測定する血圧は正常なのに、日常生活下での血圧が高くなっていること。職場や家庭での精神的ストレスにより血圧が上昇しているケースのほか、本来なら昼間より少し低くなるはずの夜間血圧が自律神経障害などのために下がらないケース、降圧薬の効果持続時間が足りないために生じる早朝高血圧などが該当します。医療機関での検査で見付からないため診断が遅くなり、合併症の頻度も高いと報告されています。
[カロリー]
熱量(エネルギー量)の単位で、食品・栄養関連に限って用いられます。1gの水の温度を1度上げるのに必要な熱量が1カロリー(cal)です。一般的には、1カロリーの千倍のキロカロリー(kcal)が単位として常用されます。
[感覚神経の障害]
糖尿病性神経障害の一つで、末梢神経のうちの感覚神経に起き、自覚症状に現れやすいものです。足や手のしびれや痛み、感覚が鈍くなる、麻痺などが起きてきます。感覚神経が障害されると、怪我や火傷をしても気づきにくく、治療が遅れがちになります。それに糖尿病による易感染などの影響が加わると、小さな傷でも悪化して潰瘍や壊疽に至ることもあるので注意が必要です。とくに、ふだん目に触れることの少ない足先や足の裏などの変化に気をつけてください。
眼球の断面模式図 | |
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糖尿病による合併症のうち、眼に起きるもの。網膜症がよく知られていますが、ほかにも、水晶体が濁る白内障や角膜症(黒目にあたる角膜に起きる病気)、血管新生緑内障などがあります。
[眼球内注射薬]
眼球表面の角膜や結膜などの病気には点眼薬がよく使われます。しかし点眼薬は眼球の奥の網膜までは届きません。そこで網膜の病気の治療には、眼球内部や周辺部へ薬を注射する方法がとられます。糖尿病による黄斑浮腫の治療でも、炎症を抑えるステロイド薬の注射や、新生血管の発生や血管から血液成分が漏れるのを抑える抗VEGF薬を注射することがあります。
[間歇性跛行〈かんけつせいはこう〉]
少し歩くと足の筋肉が痛んで歩けなくなり、しばらく休むと痛みがとれて歩けるようになるが、歩くとまたすぐに痛む状態。動脈硬化で足の血管が細くなっているときなどに現れる症状。
[緩徐進行型1型糖尿病]
1型糖尿病の発病はふつう急激なものですが、なかには発病から数年間インスリン分泌がある程度保たれていて、初めのうちは2型糖尿病と同じような状態を示し、徐々にインスリン分泌が減少して最終的にインスリン依存状態に至るケースがあり、緩徐進行型1型糖尿病と呼ばれています。一般に1型糖尿病は小児や若年者に多く発病するのですが、このタイプはむしろ成人後に発病することのほうが多いものです。
[眼底検査]
瞳孔から眼底を覗く検査で、網膜症の診断・管理のために行われます。
[眼底出血]
眼底の網膜などに起きる出血で、糖尿病性網膜症があると起きやすくなります。眼底出血が起きると、出血部位に相当する視野が障害されます。
[顔面神経麻痺]
神経障害の症状の一つ。まぶたがあがらない、口もとがゆがむなどの症状が現れます。
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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