患者さんのほんね、医療者のホンネ
2013年08月27日
Q. 過去に被災地で活動した方より〜現地で糖尿病患者さんを診て感じたこと、患者さんへ日頃から指導・注意すべき点、今後の教訓〜
A. 医師・医療スタッフのホンネ
- 患者がいて、看護師がいて、食事担当がいても、患者の様子を的確に伝えてくれる人がいないので、対処が断片的になっている。
- パニックに陥らないよう、日頃の訓練が大切
- 避難所で過食となり、また運動不足も加わって体重が数キロ増えた患者もいた。
- 薬の名前を知らない人が多かった。また、今回は救援が来るまでに1か月を要した方もいて、予備の薬は1か月くらいは持っていた方が良いのかとも感じた。今回、寒い地域での災害だったため、冷蔵庫が使用できなくてもインスリンは常温で保存していたのだが、これが気候の暖かい地域や夏であったらインスリン自体が持たないのではないかと感じた。地震から津波が来るまでの間に、何を持ち出すことができるのかを考えた時、今までの指導が甘いものだったのではないかと思い、これからどのように指導しようかが私にとっての課題となった。ただ、日頃から、持出し用の荷物についてなど、糖尿病患者さんと一緒に話すことは必要であるし、災害時のシミュレーションとして有効なのではないかと感じた。
- 普段からの食生活を大事にしているものの、避難所生活では、「食べられるものがあれば」という考えにならざるを得ない。その中で、エネルギー的には満たされるものの、ビタミンやミネラル、食物繊維は欠如するので、その中でも、運動だけは行って欲しい。
- 避難所から高血糖症状で緊急入院した患者の食事指導を行いました。避難所では菓子パンとカップ麺の1日2食で野菜ジュースなど他の食料は入手できないようです。避難所リーダーの糖尿病に対する理解力も物資調達に大きく左右されているようです。糖尿病や腎臓病など食事療法が不可欠な方の避難場所をまとめられれば、物資調達も容易になり患者同士での連帯感も生まれるのではと感じました。
- インスリン注射のストックや非常時の食事確保、常に自分の治療を理解しておく必要があると思います。糖尿病の手帳を有効に活用する必要がある。
- カロリーが高い物を多く摂ってしまう、外に出ない、薬がなくなっても取りに来ないなどで、血糖コントロールが悪くなる。
- とにかく命が大事なので、薬剤を取りに引き返すことがないようにして欲しい。まずは逃げて欲しい。今、自分が使用している薬剤の名前や量くらいは覚えていて欲しい。
- 食事が食後血糖上昇しやすいもの、塩分摂取が多くなるものが中心です。一度に摂取せず、分食を勧めます。
- 薬はギリギリではなく、余分に3日間から5日分は持っていてください。
- 被災者の中には、じっと我慢している人が大勢いる。その人たちに症状が出る前に綿密なスクリーニングを行わなければならない。
- 定期的に防災についての指導、確認を行う。自然災害や他県で震災が発生した時には、患者へ指導や確認をしていたが、医療従事者が危機管理意識を高めておくこと。緊急時の対応を確認し、意識をもっておく事が必要。
- 患者、医療従事者で共通の災害時のマニュアルが有れば良いと思った。
- 実際にどのようなことに困っていて、糖尿病患者にどのような影響が出ているのか?事前に対策するために、施設単位・地域単位で必要であると思われることはどのようなことか?など、今後の対策の参考になるようなことが知りたい。
- 心理面からの長期的なケアが必要
- 意外と長期に薬が不足することもあり、予備としては1か月くらいは持っていたほうがいい。ストレスによる高血糖は起こりうることなのでその対処を考えていく必要がありそうですね。
- 特にインスリンに依存している患者さんは、インスリンの名前を覚えておくことやお薬手帳等を整理整頓しておく必要があります。もっと携帯できるカードのようなものに薬剤等を入力しておければいいのかと思います。
- 普段から、飲んでいる薬がわかるようにすること、薬を少し余分にストックすること、低血糖時の備え、を口にして繰り返し話す必要があると感じました。また、それをわかってもらえるような人間関係作りも必要だと感じました。
- 一人ひとりに外来で指導することは時間的に難しい。糖尿病教室や患者の会の講話などで説明する必要がある。
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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