ジョギングを続けることは健康増進に役立つが、激しいジョギングを毎日行わなければならないわけではなく、短い時間であっても効果を期待できるという研究が発表された。
ゆっくりペースのジョギングを続けると死亡率が低下
デンマークのコペンハーゲンで実施された大規模調査「コペンハーゲン心臓研究」には、ジョギングを習慣として行っている人1,098人と、ジョギングをせず座ったまま過ごす時間が長い人3,950人が参加した。調査は12年間にわたって追跡して行われた。
その結果、ジョギングに取り組んでいる人は、血圧値が低くコントロールされており、体格指数(BMI)も低く、喫煙習慣がなく、糖尿病の有病率も低い傾向が示された。
死亡率がもっとも低下していたのは、少し遅い速度から中等度の速度でジョギングをしていた人たちだった。ジョギングをしない人たちに比べ、死亡率は70%も減少していた。一方で、速いスピードでのジョギングをした人では、死亡リスクの低下がみられなかった。
ジョギングを行う最適な頻度は週に2~3回程度で、ゆっくりとした適度のペースで走ると、心筋梗塞などによる死亡率が著しく低下するという。
「ゆっくりしたペースのジョギングは"活発な運動"に相当し、激しいジョギングは"非常に活発な運動"に相当します。運動強度を高めれば健康的になれるというわけではなく、激しいジョギングはむしろ死亡率の上昇につながります」と、コペンハーゲンのフレデリクスベア病院のピーター シュノハー氏は言う。
ジョギングの強さと死亡率の間にはU字型の関連性がみられ、今回の研究では、ジョギングを週に数回、適度のペースで行うと死亡率がもっとも低下することが示された。
「体への負荷の大きい過剰な運動を長期間行うと、心血管性の疾患を招くリスクとなり、むしろ害になる可能性があります」と、シュノハー氏は指摘している。
1日10分間のジョギングが寿命を3年延ばす
たった10分間の短時間のジョギングであっても、毎日続ければ確実に健康増進の効果を得られることが、米国のルイジアナ州立大学やアイオワ州立大学らの研究で明らかになった。
研究チームは、18~100歳の男女5万5137人のデータを解析し、ジョギングの習慣と死亡リスクの関連を調査した。調査は15年にわたり追跡して行われた。
参加者の24%がジョギングをする習慣をもっていた。そうした人たちは、ジョギングをしない人たちに比べ、全死因で30%、心臓病で45%の死亡リスクが低下し、寿命が3年延びることが確認された。
肥満や喫煙といった要素についても調整を行い調べたところ、肥満者や喫煙者であっても、走る人の方が走らない人よりも死亡リスクは低下することが分かった。
さらに重要なのは、時速10km以下のそれほど速くないペースのジョギングを、1日10分こなすだけでも、心臓病のリスクの低減につながるという点だ。
週に60分のジョギングを毎日続けていた人では、全死因で38%、心臓病で58%の死亡リスクが低下していた。
「週に1~2回、合計して10kmの距離をゆっくり走るだけでも、心臓病などによる死亡リスクを下げることができます。これくらいの運動量であれば、誰でもすぐに始められるでしょう」と、ルイジアナ州立大学のティモシー チャーチ氏は言う。
「これまで走る習慣がなかった人、あるいは健康に問題を抱えている人は、ジョギングのプログラムを始める前に医師に相談しチェックを受けるべきです」と付け加えている。
Light Jogging May Be Most Optimal for Longevity(米国心臓病学会 2015年2月2日)
Iowa State professor finds leisure running reduces mortality risk(アイオワ州立大学 2014年7月28日)
[ Terahata ]