体重を減らすために効果的な方法がある。今までダイエットに失敗してきた人も、しっかりとした知識をもって実行すれば、体重を減らしダイエットに成功できるはずだ。その方法はそれほど難しくないことが判明した。
減量のためのダイエットに取り組む人は多いが、一時的に体重が減ってもまた元の体重に戻ってしまう「リバウンド」に悩まされることがしばしばある。「ダイエットを始める前に、適正な体重を維持する方法を知っておくと、減量後のリバウンドを防ぐことができます」と、研究者はアドバイスをしている。
体重をはかるとリバウンドを減らせる
リバウンドを防ぐ方法はシンプルなことだ。すなわち「体重を毎日はかり、体重が増えた場合は、何が原因であるか考えること」。体重は毎日変化している。日々の体重の推移を、自分でチェックすることが重要であることが示された。
バーミンガム大学の保健ポピュレーション科学部のクレア マディガン氏らは、3ヵ月の減量プログラムに参加し、4~5kgの減量に成功した男女3,768人を対象に研究を行った。
参加者を、体重計で自分の体重をはかるグループ(介入群、3,290人)と、体重をはからないグループ(対照群、478人)に分け比較した。(1)のグループは、体重計で自分の体重を、できるだけ多い回数、少なくとも週に1回はかり、週に2回の電話による体重コントロールについてのアドバイスを受けた。
3ヵ月後、体重をはからなかったった対照群では、平均して体重が1.83kg増えたが、体重をはかったグループでは体重の増加は1.23kgにとどまった。つまり、体重をはかることで、リバウンドによる体重増加を0.6kg減らせるという結果になった。
「体重をコントロールするために必要なのは、体重をはかることと、食事と運動の内容など記録することです。長く記録を続けていくことで、食事や運動の内容が体重の増減とどう関係しているかが分かり、体重を減らすためにはどのような生活をしたらよいかがみえてきます」と、マディガン氏は説明する。
体重の記録をつけることで、「昼食べすぎたから夕食を控える」というように、食事の内容や量の調整も可能になる。「リバウンドに悩まされている人は、体重をはかり、食事や運動を調整すると体重コントロールしやすくなります」と指摘している。
よく噛んで食べると食欲を抑えられる
よく噛んで食べる速さを遅くすることで、食欲を調整しやすくなり、結果として肥満やメタボリックシンドロームの予防につながるという研究も発表された。この研究は、国立国際医療研究センターの長濱さつ絵氏らによるものだ。
研究チームは、健康管理センターで健康診断を受け、冠動脈心疾患や脳卒中の既往がない5万6,865人について、食べる速度についてアンケート調査を行い、メタボリックシンドロームの関連について調査した。
その結果、食べる速度が「普通」の人に比べ、「速い」人ではメタボの割合が、男性で1.61倍、女性で1.27倍に増えることが判明した。一方、「遅い」人では、メタボの割合が男性で0.70倍に、女性で0.74倍に減っていた。
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和食は「噛む回数」を増やすのに向いている
リバウンドが起こるのには、本人の意思の強さの問題だけでなく、体の仕組みも関係している。リバウンドが起こる背景のひとつに、脳に作用して食欲に影響する「レプチン」という生理活性物質の働きがある。
レプチンは脂肪細胞で作られ、太って脂肪細胞が大きくなると分泌量が多くなる。反対に、やせている場合はレプチンの分泌量が少なくなり、脳は「栄養が不足している」と判断して食欲が増進する。体重を急激に減らした場合、レプチンの分泌量も急速に減り、脳がそれを感知して食欲を増進させるのでリバウンドを起こしやすくなると考えられている。
よく噛んで食べると、レプチン分泌の刺激が満腹中枢に伝わりやすくなり、食べ過ぎを防ぐことができる。ご飯を主食とする日本食は、咀嚼回数を増やすのに適した食事だ。日本食はご飯を中心に、主食、副食を並べた一汁三菜が基本となる。口の中でご飯とおかずがいっしょになることで咀嚼回数が増える。
日本人の咀嚼回数は戦前に比べて半分に減ったといわれる。欧米式の食事が普及し、ハンバーガーやスパゲティなど軟らかい食品の利用が増えたことが理由に挙げられるが、和食を食べる頻度が減ったことも原因のひとつだ。
日本食では肉や油脂をあまり使わず、野菜、茸類、海藻類を多く使う。いずれも低カロリーで、食物繊維が豊富に含まれているので、噛む回数が自然に増えていく。ご飯を中心とした和食は、咀嚼の効果を高められる代表的な食事だ。
[ Terahata ]