体重を減らすために必要なことは、摂取カロリーを減らすこと。細かいことでも地道な積み重ねが、目標達成につながる。「なかなかダイエットが成功しないという人は、ながら食べをやめ、食事のときに少しずつ食べると食欲を抑えられます」と、専門家は指摘している。
減量を望んでいる人にとって、まずやめたほうが良いのは「ながら食べ」だ。「考え事をしながら」、「テレビを見ながら」など、何かをしながら食べていると、自分がどれだけ食べているのか分からなくなる。人は食べることに集中していないと、気が散ってしまい、さらに多くを食べてしまう傾向がある。
「よく噛んで、集中しながら食べると、満腹感を得られやすくなります。そのためにどうすればよいでしょうか。実にシンプルなことですが、テレビを見ながら食事をしないようにし、さらに一度に口に含む食物の量を減らせば良いのです」と、オランダのワーゲニンゲン大学のDieuwerke Bolhuis氏は話す。
Bolhuis氏らの研究チームは、18~53歳の被験者53人を対象に3日間のテストを行った。アニメ映画を見ながらスープによる食事をとってもらい、一口を5gに制限した場合と、15gに制限した場合とで比較した。3日目には、制限をしないで好きなように食べてもらった。
その結果、被験者はアニメ映画を見ながら食事をしているときは、スープの味に集中できなくなり、映画を見ていない場合よりも多くのスープを飲んだ。
さらには、一口を15gに制限した場合は、5gに制限した場合に比べ、飲んだスープの量は約30%も多かった。一口の量が多いほど、食事全体の摂取量は増えることが分かった。
興味深いことに、一回に口に含む食物の量が多いと、自分の食べた量を把握しづらくなり、過小評価する傾向がみられた。逆に、一回に口に含む食物の量が少ないと、食べた量を過大評価する傾向がみられた。
「食事の量をコントロールするためには、自分が何をどれくらい食べているのか認識することが大切です。そのために、食事に集中し、少しずつ食べる習慣が有用です」と、Bolhuis氏は強調している。
「一口ひとくちを楽しみながら食べられる食事が勧められます。同じ食品を大量に摂取するファストフードなどは、ダイエットにはあまり向いていないかもしれません」(Bolhuis氏)。
また、食事の時は、まず野菜から食べはじめ、魚や肉に移ると、咀嚼の数を増やすことができるという。よく噛まないと食べられない食品から食べはじめるのがコツだ。
Bolhuis氏は他にも、「何か食べたくなったら、少しの時間食べ物から目を離したり、別のことをすると、食べたいという気持ちが薄まることがあります」と、アドバイスしている。これを習慣づけることで間食を減らすことができるという。
Consumption with Large Sip Sizes Increases Food Intake and Leads to Underestimation of the Amount Consumed(PLOS ONE 2013年1月)
[ Terahata ]