保険薬局を利用した患者の半数以上が処方薬とサプリメントを併用しており、処方薬を含め平均8種類の薬剤を服用している――。高齢者を対象に実施した薬の飲み合わせなどに関する調査で、こんな実状があきらかになった。
患者の6割が5種類以上の薬剤を服用
この研究「ブラウンバッグ運動−薬局薬剤師による服用薬の包括的な併用実態調査」は、東京大学の草間真紀子助教(薬学系研究科医薬品評価科学)と日本薬剤師会が共同で実施したもの。
調査の対象となった患者の背景因子
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高血圧 | 58.5% |
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高脂血症 | 34.1% |
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胃炎・胃潰瘍 | 23.2% |
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心臓病 | 17.9% |
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骨粗鬆症 | 17.1% |
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糖尿病 | 13.2% |
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65〜75歳(37.0%)、75歳以上(53.3%)
「薬局薬剤師による服用薬の包括的な併用実態調査」
広島県地域保健対策協議会と同県薬剤師会の協力のもと、県内の保険薬局を利用している患者に、日常的に利用している薬やサプリメントなどを入れる茶色のバッグ(ブラウンバッグ)を配布し、後日、薬局窓口にバッグを持参してもらい、薬剤師が飲み合わせなどを対面で確認した。
調査期間は2009年10〜12月の3カ月間で、利用者508人から情報を得た。年齢は75歳以上の高齢者が53%ともっとも多かった。
その結果、処方薬の使用者数は493人(97%)で、うち5剤以上の処方薬を日常的に服用している多剤併用は62%を占めた。一方で、一般用医薬品(OTC薬)とサプリメントの服用は、それぞれ36%と56%あった。
服用薬の飲み合わせでは、処方薬とサプリメントの併用は全体の53%と半数に上った。処方薬とOTC薬の併用は35%で、3種類の薬剤併用が15%だった。1人あたりの平均薬剤数は、全薬剤、処方薬、OTC薬、サプリメントがそれぞれ8.0剤、6.6剤、1.6剤、1.8剤だった。
うち重複投与は、アロプリノール(高尿酸血症治療薬)、センノシド(便秘治療薬)、テプレノン(胃腸薬)が1件ずつあった。さらに、横紋筋融解症のおそれがあるとして原則併用禁忌となっているベザフィブラートとHMG-CoA還元酵素阻害薬の併用が2件みつかった。
薬剤師の服用薬チェック 大多数の患者は好意的
米国でも同様な調査が行われており、中高齢者の9割はなんらかの医薬品やサプリメントを利用しており、処方薬とOTC薬の併用は46%、処方薬とサプリメントの併用は52%という結果が示されているという。
研究者らは「医療医薬品を一般用医薬品に転用したスイッチOTCも増えている。医師の処方せんが必要な処方薬間での相互作用の問題だけでなく、処方薬とOTC薬、処方薬とサプリメントなどの飲み合わせにも十分に注意する必要がある」と述べてい
る。
なお、薬局で薬剤師が服用薬チェックを行うことについて、利用者の大多数は好意的に受けとめており、ポジティブな意見が9割以上を占めた。
「薬の使い方がよく分かった」(51%)、「自分に合った治療なのか確認できた」(43%)、「相互作用・副作用の不安が減った」(37%)という意見が多くみられた。一方、「薬を持ってくるのが面倒」(36%)などの意見もあった。
この点について「服用薬に対し不安や疑問をもつ患者も多い。薬剤師による服用薬チェックは、情報提供や服薬指導など患者とのコミュニケーションツールとして役立ち、高齢者の薬物治療の適正化にも有用な手段となるだろう」と述べている。
関連情報
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ブラウンバックでおくすりチェック!(広島県薬剤師会)
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「ブラウンバック運動−薬局薬剤師による服用薬の包括的な併用実態調査」報告書(日本薬剤師会)
[ Terahata ]