肺の生活習慣病とも呼ばれる「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」の予防と早期発見の対策を話しあう厚生労働省の有識者検討会の初会合が11日に開かれた。
主な原因は喫煙と受動喫煙
COPDは肺気腫と慢性気管支炎の総称。肺気腫と慢性気管支炎は、汚れた空気を長年吸い続けた結果、発病する点が共通している。
厚労省によると、COPDの有病数は500万人以上と推定される。うち治療をうけている患者数は22万人と少ない。系統的な施策は現在のところ、ほとんど行われていないという。
COPDの主な原因は、喫煙と受動喫煙によりたばこの煙を吸い込むこと。COPDのある人は、たばこの煙を低減する対策をしないと、10年で死亡が3割以上増えると予測されてい
る。
COPDになると肺機能が低下するので、軽症から活動性が低下するという報告もある。また、糖尿病などの病気をもっている人では特に、重症化や合併症によりQOL(生活の質)が低下する危険が高い。
早期に発見・治療できる体制整備が必要
COPDは命を危険にさらす可能性のある深刻な病気で、全国の死亡者数は年間約1万5000人に上る。自覚症状がないまたた進行している症例も多いとみられている。
医療機関での健診で、スパイロメーターを用いて肺活量などから肺機能を検査できる。この検査は健康保険が適用される。しかし、多くの患者は加齢や喫煙のせいにしたり、徐々に進行するので自覚できないでいる。COPDを早期発見し対策・治療を行う仕組みづくりも求められている。
検討会では、健康診断に慢性のせきや、たんといった症状の有無を確認する問診を追加することなどを検討し、今秋に報告書をまとめる。患者とその周囲にいる人が適正な知識と動機付けをもって行動できるよう支援する方策も検討する。
検討会では、患者代表の委員で落語家・桂歌丸さんも加わった。桂歌丸さんは昨年、肺気腫と診断され、約50年続けていた喫煙をやめたという。「たばこが原因だと気づくのが遅かった。早期に発見、治療ができる体制を整えてほしい」と述べている。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会(厚生労働省、座長:工藤翔二・結核
予防会複十字病院
長)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状
COPDは喫煙を続けたり、汚れた空気を吸い続けることで引き起こされる、肺に障害がでてきたり、気管支が狭くなったり炎症が起こり、呼吸が困難になる病気の総称。症状に気づかず、発見が遅れることも多い。「階段を上り下りするなどの運動をすると息切れがする」「咳や痰が慢性的にでる」「風邪を引いたときなどに喘鳴(異常な呼吸音)がでる」などの症状があらわれたときは医師に相談し、問診や検査を受けることが望ましい。
SpiNet(スピネット):COPD(慢性閉塞性肺疾患)の情報サイト
[ Terahata ]