糖尿病セミナー
6. 血糖自己測定とは
2016年4月 改訂
こんな場合に有効です
一言でいうと、血糖が不安定な人すべてに、血糖自己測定は有効です。とくに、外からのインスリン補給(インスリン療法)が必要な患者さんは、1型、2型かかわらず、欠かせません。経口薬療法の人、あるいは食事療法だけの人でも、治療効果が上がらない場合は、原因をさぐる有力な手段となります。また、さらに厳密なコントロールをめざす患者さんにも、血糖自己測定は、数々のメリットを与えてくれるでしょう。その意味では、すべての糖尿病の人にとって、有効な手段といえます。
ただ、現在のところ、血糖自己測定が健康保険適用の対象になる方は、限られています(Q&A参照)。
血糖自己測定がとくに有効な場合
●自己注射療法をしている人
(1型糖尿病、2型糖尿病ともに)
●妊娠時あるいは妊娠希望時
●糖尿病以外の病気にかかった時(シックデイ)
●ポンプ療法など、特殊なインスリン療法をしている場合
●いつもと状態が違うと感じた時
●自己注射療法をしている人
(1型糖尿病、2型糖尿病ともに)
●妊娠時あるいは妊娠希望時
●糖尿病以外の病気にかかった時(シックデイ)
●ポンプ療法など、特殊なインスリン療法をしている場合
●いつもと状態が違うと感じた時
血糖自己測定の実際
どう測るか(方法、ねらい、回数)
食事、運動、ストレスをマークせよ
―血糖測定のポイント―
血糖は、食事、運動、ストレスなどで、とくに大きく変動します。
血糖測定を行う場合、ポイントがふたつあります。ひとつは、コントロールの状態をチェックするために、1日24時間の血糖の動きを知る必要があること。もうひとつは、血糖は、食事、運動、ストレスなどで大きく変動するため(右図)、とくにこれらの影響を中心にチェックすることです。こうした点から、食事を中心に測定ポイントを設定した基本パターン(下
しかし、患者さんが100人いれば100通りの治療法があり、それによって測定の方法も異なるため、必ずしも基本パターンにこだわらず、自分に合った方法を、主治医と相談してみつけだすことが大切です。
処方のひとつとして、大体2〜4週間を単位として実施し、得られた結果を検討・修正していく方法が一般的です。また、コントロールが悪化した場合の緊急時の対応や、インスリン量や食事量などの調整は、おおよその許容範囲と具対策を、あらかじめ主治医と決めておきます。
実際に、思わぬ低血糖やコントロールの悪化などが起きた場合は、必ずその原因を考え、その後のコントロールに生かす姿勢が大切です。こうした試行錯誤を2、3カ月も繰り返すうち、自分の血糖の傾向やコントロールの加減が、だんだんつかめてくるものです。
測定ポイントの基本パターン
どう生かすか(記録、フィードバック)
血糖自己測定のデータはそのつど記録し、通院時に主治医と検討します。主治医は、そのデータと、通院時に測定した HbA1c検査(過去1〜2カ月の平均血糖値と相関する検査値)などの結果を、総合的に判断して今後の方針を決め、治療法の修正の指示や次の目標を設定したりします。- 01. 糖尿病とは「基礎編」
- 02. 食事療法のコツ(1) 基礎
- 03. 運動療法のコツ(1) 基礎
- 04. 高齢者の糖尿病
- 05. インスリン療法(2型糖尿病)
- 06. 血糖自己測定とは
- 06_1. 生活の中にどう生かす血糖自己測定 『生活エンジョイ物語』より
- 07. 肥満と糖尿病
- 08. 小児の糖尿病(1) 基礎
- 09. 薬物療法(経口薬)
- 10. 糖尿病生活Q&A
- 11. 糖尿病用語辞典(より簡潔に)
- 12. 病気になった時の対策 シックデイ・ルール
- 13. 結婚から、妊娠・出産
- 14. 糖尿病による腎臓の病気
- 15. 糖尿病による失明・網膜症
- 15_1. 眼科医からみた失明しないためのアドバイス 『生活エンジョイ物語』より
- 16. 糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞
- 17. 足の手入れ
- 18. 糖尿病による神経障害
- 18_1. 糖尿病からの危険信号神経障害 『生活エンジョイ物語』より
- 19. 糖尿病の検査
- 20. 低血糖
- 21. 食事療法のコツ(2) 外食
- 22. 糖尿病の人の性
- 23. 口の中の健康
- 24. 動脈硬化と糖尿病 メタボリック シンドローム(代謝症候群)
- 25. 糖尿病と感染症
- 26. 食事療法のコツ(3) 腎症のある人の食事
- 27. 糖尿病と高血圧
- 28. 小児の糖尿病(2) 日常生活Q&A
- 29. 運動療法のコツ(2) 合併症のある人の運動
- 30. 骨を丈夫に保つには
- 31. 痛風・高尿酸血症と糖尿病
- 32. 糖尿病予備群
- 33. 小児2型糖尿病
- 34. 糖尿病とストレス うつとの関連、QOLの障害
あなたのコントロールをチェックしてみましょう
―コントロールの目安と評価―
コントロールの目標値は、患者さんひとりひとり違います。ここに示すのは一般的にみた目安です。これを努力目標としてがんばってみましょう。
日本糖尿病学会「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」より一部改編
何で測るか(測定器の進歩と特徴)
血糖自己測定が在宅で簡単にできる簡易測定器の、最近の進歩はめざましく、小型で軽量で、操作も簡便な、使いやすい機種がいろいろ出ています。種類を大別すると、次のふたつに分けられます。採取した血液のぶどう糖の量を、試験紙に付けたぶどう糖酸化酵素に反応させ、結果を電流で測るタイプ(電極法)と、試験紙の色の変化で測るタイプ(試験紙法)です。
いずれのタイプも、採血量が少なくてすみ、測定時間が短い、血液の拭き取りが不要(あるいは簡単)、操作がワンタッチなど、使いやすさや測定精度を追及した、さまざまな特徴を備えています。
こうした技術革新が、血糖自己測定を容易なものに変え、子供や高齢者でも容易に操作できるようになってきました。
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