糖尿病の用語辞典
[足病変]
糖尿病による合併症の一つ。神経障害の影響で感覚が鈍くなると、足に怪我や火傷があっても気づかず、しかも足先は目に触れる機会が少ないので異常を見過ごしやすいものです。また、高血糖では傷口から感染しやすく、傷が治るのにも時間がかかります。そのため、小さな傷が潰瘍〈かいよう〉や壊疽〈えそ〉に進行し、足を切断しなければいけなくなることもあります。異常を早期発見できるように、足のチェックを習慣にしましょう。なお、神経障害の影響で足の関節が変形したり(シャルコー関節症)、動脈硬化によって壊疽が起きることもあります。
[アセトン]
ケトン体の一種。体内で脂肪がエネルギー源として使われたときにできる物質。糖尿病でインスリンの分泌が低下するとこの物質が発生しやすく、ケトーシスの原因となります。なお、アセトンは揮発性で呼気中(吐く息)に混ざるので、糖尿病で体内のアセトンが多い場合、息がアセトン臭(果物様の臭い)がすることもあります。
[アディポネクチン]
脂肪細胞から分泌されているホルモン(アディポサイトカイン)の一種で、動脈硬化を抑制する作用があります。また、アディポネクチンの分泌量とインスリンの感受性に相関関係があることから、インスリンの働きを高める作用もあるものと考えられています。経口血糖降下薬の一種のチアゾリジン薬は、肥満のために脂肪細胞が肥大化して(細胞のサイズが大きくなって)アディポネクチンの分泌が低下した状態を改善することなどで、インスリン感受性を高める薬です。
[アドレナリン]
エピネフリンともいう、副腎から分泌されるホルモン。ストレスホルモンと呼ばれるものの一種で、血圧上昇、心拍数増加などとともに、血糖値を上げる作用があります。
[アナログ製剤]
ホルモンに遺伝子工学などによる修飾を加えて、薬の作用を治療に都合よく変化させた製剤。超速効型インスリンや持効型溶解インスリン、GLP-1 受容体作動薬などが該当します。
[アミノ酸]
蛋白質を構成している化合物で、種類は数多くあります。アミノ酸の組み合わせにより蛋白質の質が左右されます。からだに必要な約20種類のアミノ酸が、利用しやすいかたちでバランスよく整っている蛋白質のことを、良質の蛋白質と呼んでいます。
[アミリン]
膵臓のβ細胞で作られ、血糖値が高くなるとインスリンとともに分泌されるホルモン。腸での糖の吸収速度を抑えたり、グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を抑制する作用があります。海外ではアミリンの注射薬が、食後過血糖の改善に用いられています。
[アルコール性低血糖]
低血糖は、糖尿病で薬物療法をしている人に、薬の作用が強く現れすぎたときに起こるもので、速やかな対処が必要です。アルコールは肝臓がブドウ糖を作る働きを抑えるので、血糖値が低くなることがあります。アルコールを飲んでいる場合、低血糖で意識障害や昏睡に陥っても、周囲の人は酩酊と勘違いしてそのまま放置してしまうことがあり、危険です。また、アルコールにより肝臓の働きが低下していると、血糖値が下がってもブドウ糖が新生されない、といった理由から、低血糖を起こしたり低血糖からの回復が遅くなります。
[アルドース還元酵素阻害薬]
糖尿病性神経障害の治療薬。神経障害の原因として、ポリオール代謝異常と、細小血管障害により神経組織の栄養が不足しその働きが妨げられることなどが考えられています。この薬は、前者のポリオール代謝異常を是正する作用をもち、神経障害を改善します。
[アルドステロン] → レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
[α細胞]
膵臓のランゲルハンス島にある細胞で、グルカゴンという血糖値を上げるホルモンを作っている細胞。
[アンジオテンシン] → レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
[アンジオテンシンII受容体拮抗薬]
高血圧の治療薬。腎臓や脳などの臓器を保護する働きもあり、糖尿病性腎症の治療でも使われています。
[アンジオテンシン変換酵素阻害薬]
高血圧や糖尿病性腎症の治療に用いられる薬。副作用で、軽いせきが出ることがあります。
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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