牛乳やチーズ、ヨーグルトなどは、脂肪分がたっぷり含まれているので、健康に悪そうなイメージがあるが、実は糖尿病の予防効果があるという研究が発表された。
乳製品の脂肪が2型糖尿病の予防に役立つ
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどをよく食べるでは、全く食べない人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが23%低下することが、約2万7,000人の観察研究で明らかになった。ウィーンで9月に開催された「第50回欧州糖尿病学会」で発表された。
乳製品の1日の消費量は、週に5サービング程度が最適だと言う。1サービングはコップ1杯(200mL)の牛乳、ヨーグルト(200g)、チーズ40gに相当する。
ただし、脂肪分が含まれる食品のうち、肉の摂取量が多い人では糖尿病の発症リスクが上昇することも明らかになった。
食品に含まれる脂肪は、糖代謝とインスリン感受性に影響を与えるため、2型糖尿病の発症で重要な役割を果たしていると考えられている。
脂身の多い肉などに含まれるコレステロールや飽和脂肪酸を多く摂取すると、2型糖尿病リスクが上昇するが、動物性脂肪のなかでも乳製品に含まれる脂肪分は糖尿病の予防に有用であるようだ
スウェーデンのルンド大学糖尿病センターのウルリーカ エリクソン氏らは、2万6,930人(年齢45〜74歳)の食事データを収集し、高脂肪乳製品や低脂肪乳製品などの食品ごとの摂取量を五分位に分類し、2型糖尿病リスクを比較した。
14年間の追跡期間中に、2,860人が2型糖尿病を発症した。牛乳やヨーグルトなどの高脂肪の発酵乳製品をもっとも多く摂取していた群では、もっとも少なく摂取していた群に比べ、2型糖尿病の発症リスクが23%低かった。糖尿病を発症した患者の60%は乳製品を窃取していなかった。
牛乳などの乳製品を摂取すると死亡率は4割低下
オーストラリアのモナッシュ大学の研究では、伝統的に乳製品を食事でとる習慣がない地域であっても、乳製品を毎日少量とると心臓病や脳卒中のリスクを減らすことができることが明らかになった。
研究には、台湾の約3,810人の成人男女(19〜64歳)が参加した。台湾には牛乳やヨーグルトなどの乳製品を食べる習慣はなく、参加した男性の30%、女性の22%は乳製品を食べる習慣をもっていなかったという。
がんと心血管疾患は、台湾でも主要な死亡原因となっているが、乳製品を週に3〜7回食べていた群では、全死因による死亡率が39%も減少していた。乳製品を全く食べない人は、そうでない人よりも血圧やBMIが高く、体脂肪も多い傾向がみられた。
「牛乳などの乳製品によって、健康に不可欠な幅広い栄養素を摂取できます。調査では、1日1回程度の摂取で乳製品の効果を十分に得られることが示されました」と、モナッシュ大学のマーク ウォルクヴィスト教授は述べている。
研究について、英国糖尿病学会のリチャード エリオット氏は「乳製品の脂肪は、一般的な動物性脂肪と違い、2型糖尿病の予防に役立つかもしれない」と指摘している。
「ただし、乳製品を過剰に摂取すると肥満につながるので、"乳製品だけを食べれば良い"とは思わない方が良い。治療の基本は栄養バランスの良い食事であることを忘れてはなりません。塩分、飽和脂肪酸、糖分の過剰摂取は、糖尿病を悪化させるおそれがあります」と注意を促している。
[ Terahata ]