日本整形外科学会(岩本幸英理事長)は、高齢者だけでなく若い世代から「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」の予防を推進するため、将来ロコモになる危険性を年代別に評価する「ロコモ度テスト」を新たに作成した。
ロコモの原因は「バランス能力の低下」と「筋力の低下」
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は、骨や関節、筋肉、動きの信号を伝える神経などが衰え、「立つ」「歩く」といった日常動作が困難になった状態をさす。
日本整形外科学会によると、要介護・要支援認定の30%以上は、「関節の病気」や「転倒による骨折」が原因だ。ロコモ予備軍は、全国に4,700万人いると推測されている。
50歳を過ぎると、「腰が痛い、ひざが痛い」といった運動器の不調を訴える人や、骨がもろくなる人が急増する。ロコモの原因は「バランス能力の低下」と「筋力の低下」。これらに加え「骨や関節の病気」も深刻だ。
なかでも骨が弱くなる「骨粗鬆症」、膝の関節軟骨がすり減る「変形性膝関節症」、腰の神経が圧迫される「脊柱管狭窄症」といった病気に悩まされる人は年々増えている。
日頃から自分の体の調子をチェックし、体の柔軟性を高めたり、身体活動量を高める工夫をし、腰や膝が気になる人は、腰痛・膝痛対策も取り入れることが重要だ。
ロコモ度テストで自分の体をチェック
ロコモ度テストは(1)下肢筋力やバランス能力などをみる「立ち上がりテスト」、(2)歩幅を測定する「2ステップテスト」、(3)25のチェック項目で身体状況・生活状況を自己評価する「ロコモ25」――3つを行い、年代別平均値と比較してロコモになる危険性を判定するというもの。
(1)下肢筋力判定方法:「立ち上がりテスト」
下肢筋力の強さを判定する。片足もしくは両足で自分の体重を持ちあげることができるかをテストする。
(2)歩幅判定方法:「2ステップテスト」
歩幅を図ることで、歩行能力を判定する。歩幅は歩行速度に密接に関係しており、歩幅の減少は歩行速度の低下につながる。できるだけ大きく2歩進んだ歩幅を身長で割った値を算出する。この値が世代平均値より低下している場合は、年齢相応の歩行能力が保たれていない可能性が高い。
(3)身体状態・生活状況判定方法:「ロコモ 25」
身体における痛みや動かしにくさに加え、生活積極度についてもチェックし、運動器の身体状態と生活状態に不自由なことが生じる可能性を点数化し、将来ロコモになる危険度を判定する。
ロコモを予防するためには、積極的に運動習慣をつけることが必要不可欠だ。日本整形外科学会はロコモ対策となる運動として、(1)片脚立ち、(2)スクワットの2つの運動を基本とした「ロコモーショントレーニング(略称ロコトレ)」を推奨している。
「日本は長寿国だが、平均寿命の延びに運動器の寿命が追いついていない。対策をしなければ、歳を重ねるごとにロコモになり、寝たきりになる人が増える可能性がある。ロコモティブシンドロームは、医療・企業・行政の枠を超えて社会的に取り組むべきテーマ」と、泉田良一氏(同学会ロコモ チャレンジ!推進協議会委員長・江戸川病院慶友人工関節センター センター長)は述べている。
公益社団法人日本整形外科学会
ロコモ チャレンジ!(日本整形外科学会公認ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト)
[ Terahata ]