イチゴやブルーベリーなどを2日に1回食べるだけで、心臓病のリスクを最大で3分の1減らすことができる――果物に含まれるポリフェノールが、心臓病の予防に効果的に働くという研究が発表された。
果物や野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維に含めて、ポリフェノールが含まれる。ポリフェノールは果物や野菜の色素成分で、活性酸素の生成を抑制する抗酸化作用があるとされる。イチゴとブルーベリーには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれる。
活性酸素が体内で過剰に増えると、細胞や血管の内壁が傷つけられ、動脈硬化の原因となる。血管壁が傷つくと、そこを修復するために白血球などの血球成分が集まりプラークとなり、動脈の壁を厚くする。アントシアニンは、プラークが蓄積するのを防ぐと考えられている。
アントシアニンは、イチゴとブルーベリーの他に、紫キャベツやナス、ブドウなど紫色の成分の多い果物や野菜に含まれる。
研究チームは、25〜42歳の米国人女性9万3,600人を対象に18年間、4年ごとに食事に関する聞き取り調査を実施した。期間中に405件の心臓病が報告された。
アントシアニンを含む果物や野菜を食べることを習慣としている女性では、そうでない女性に比べ、心臓病を発症する頻度が20年間に32%も低下するという結果になった。
心臓病の危険因子となるのは、高血圧、肥満、運動不足、喫煙習慣、アルコールの過剰摂取などだ。これらの影響を取り除いても、アントシアニンを多く含む果物や野菜をよく食べる女性では、心臓病の発症が減ることが確かめられた。
ブルーベリーをよく食べる人では、高血圧の発症が減り、心臓病のリスクが低下するという研究は過去にも発表されている。最近発表された研究では、認知症のリスクを下げることも示された。
「アントシアニンをよくとっている女性は、食事スタイル全体が健康的である傾向がみられます。そうした健康的な食事を若い頃から続けていれば、高齢になってからも心臓病のリスクを下げることを期待できます」と、デンバー国立医療研究センターのアンドリュー フリーマン博士(心臓病)は話す。
米国では、「1日に5〜9サービング以上の野菜と果物を食べましょう」をスローガンとした、「ファイブ・ア・ディ(5 A DAY)」という健康増進運動が展開されている。1日に野菜を350g、果物を200gを食べることで、生活習慣病の発症リスクを抑えられると考えられている。「今回の研究は、ファイブ・ア・ディ運動の正当性を裏付ける結果になりました」と、研究者は指摘している。
Strawberries, blueberries may cut heart attack risk in women(米国心臓学会 2013年1月14日)
[ Terahata ]