中高年の女性が肥満やメタボリックシンドロームを予防するために必要な運動は、1日6,000歩のウォーキングで十分との研究が発表された。適度な運動は内臓脂肪の蓄積を防ぐ。1日当たり1時間のウォーキングが、6,000歩に相当する。
女性によって1日5,000歩以上の差がある
体にたまる脂肪は、胃や腸などの周りにたまる内臓脂肪と、全身の皮膚の下にたまる皮下脂肪に大きく分けられる。閉経後の女性では内臓脂肪がたまりやすく、増加すると体に悪い影響を及ぼすことが分かっている。
また、女性は男性に比べ心筋梗塞などの発症は少ないが、閉経に伴う女性ホルモンの減少により、それまで抑えられていた悪玉のLDLコレステロールが急増しやすいことが知られている。LDLコレステロールの高い状態が長年続くと、2型糖尿病や高血圧、心臓病など生活習慣病の危険性が高まる。
研究チームは、ブラジル南部のパソフンド市に在住している45〜72歳(平均年齢57歳)の女性292人を、住民健診をもとに抽出した。日常で活発に体を動かしている女性と、不活発な女性とで、生活習慣病のなりやすさにどれだけ差が出るかを調査した。
参加者に7日間、血圧や体重、歩数を毎日計測し、記録してもらった。さらに、血液検査を行いコレステロール値や血糖値を調べた。ウエスト・ヒップ比や内臓脂肪の蓄積、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の既往歴などの危険因子についても調査した。
対象者を歩数によって、(1)1日の歩数が6,000歩以上、(2)6,000歩未満、の2つのグループに分けた。1日の平均歩数は、(1)のグループは9,056歩で、(2)のグループは3,472歩で、全体の平均は5,251歩だった。
その結果、歩数の少ないグループでは、内臓脂肪の蓄積や肥満が多くみられ、総コレステロール値やLDLコレステロール、血圧値も高い傾向がみられた。これらは動脈硬化の原因となり、動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞のような深刻な病気をまねく。
「中高年の女性がメタボリックシンドロームや生活習慣病を防ぐためには、1日6,000歩を歩くことが基本となる。1日当たり1時間のウォーキングが、6,000歩に相当する」と研究者は述べている。
1日に外出する機会の多い人は、歩数が増える傾向が高いことも分かった。また、歩数計を身につけると、歩数を増やす意欲が高まることも示された。
研究者らは、体を活発に動かす習慣のない閉経後の女性に次のことをアドバイスしている。
・スーパーマーケットや職場へ車で移動するときは、駐車場の遠くに車を停めましょう。
・なるべくエレベーターやエスカレーターを使わないようにし、階段を上り下りしましょう。
・空いた時間を利用しウォーキングをしましょう。
・夕食後のひとときを家族や友人といっしょにウォーキングをしましょう。
この研究は、ブラジル科学技術開発局の助成を得て行われたもので、北米閉経学会が発行する医学誌に発表された。
Daily steps add up for midlife women's health(北米閉経学会 2012年11月21日)
[ Terahata ]