学校時代に運動部(クラブ)活動でスポーツを行った経験のある中高年は、成人してからもスポーツ・運動を続けている傾向があるが、体力や運動能力を落とさないためには、過去に部活動をした経験より、運動を現在行っている頻度の方が重要であることが分かった。文部科学省が公表した「平成23年度体力・運動能力調査」であきらかになった。
調査では全国の6〜79歳の男女を対象に、昨年5〜10月に実施した。「握力」、「立ち幅跳び」、「上体起こし(腹筋)」など6種目をテストし、各10点満点で採点。「現在、運動をしているか」、「中学から大学までの学生時代に部活動をしていたか」などを聞いた。
テストの記録をポイント化したところ、もっともポイントが高かったのは、運動をほとんど毎日し部活動の経験もあった男性で、「経験なし+毎日運動」という男性と、「経験あり+運動しない」という男性を上回った。
一方、男性では「経験あり+運動しない」と「経験なし+ほとんど毎日する」を比較すると、「ほとんど毎日する」人が「運動しない」人を2点上回った。女性でも「経験なし+毎日運動」群が「経験あり+運動しない」群がほぼ同点で、体力を向上するためには「毎日運動する」という条件が必要であることを裏付ける結果になった。
調査結果について、「スポーツ振興に関する特別委員会」の専門委員を務める内藤久士・順天堂大教授(運動生理学)は、「年齢が上昇すると、運動をしないと体力はどんどん衰えていく。日常生活の中で体を動かす機会をつくり、運動を習慣化することが大切だ」と述べている。
調査では働き盛りの世代の女性で運動の頻度が低下していることもあきらかになった。「週1回以上、運動をする」と答えた20〜30代女性は、前年度と同じ39.4%で過去25年で最低だった。20年前の1991年度に比べると6.1ポイント、10年前の2001年度比で1.2ポイント、それぞれ減少した。40代でも41.9%で、いずれも10年前の調査を下回った。
50歳以降になると運動する女性は増えており、50〜54歳は50.7%で1991年度から14.6ポイント増、2001年度比でも2.9ポイント増えた。55〜59歳でも53.9%で、2001年度から4.6ポイント増えた。子育てが一段落したところで、運動する時間が増えているとみられる。
平成23年度体力・運動能力調査(文部科学省)
[ Terahata ]