世界保健機関(WHO)は11日、新型インフルエンザの感染者数が30ヵ国4700人に達したと発表した。発表によると、高血圧、糖尿病などの慢性疾患や心臓疾患、肥満や喫煙などの健康不安を抱える人で重症化したケースが多いという。
糖尿病の人ではインフルエンザなど感染症に対する抵抗力が弱くなっている場合があり、特に注意が必要となる。
インフルエンザなどの感染症は体にとって大変なストレスになる。感染するとウイルスを退治する働きが起こる。血糖を上げる作用のあるホルモン(インスリン拮抗ホルモン)や炎症性サイトカインが増加し、血糖を下げるホルモンであるインスリンの作用が低下し血糖が上昇する。
米国疾病管理・予防センター(CDC)は糖尿病患者に、季節性インフルエンザの予防接種を毎年受けることを勧めている。糖尿病患者がインフルエンザや風邪などの病気のときの対策として、次のことを挙げてい
る。
- 主治医に連絡し指示を受ける。医師はインスリン注射を行っている患者が病気のときに、インスリン注射量を調整するようアドバイスすることがある。
- インスリン注射で治療をしている人は、食事をとれない場合でも注射を中断しない。
- 少なくとも4時間ごとに血糖自己測定を行い、血糖の変動を記録し医師に伝える。
- 水分を十分にとり脱水を防ぐ。通常の食事を続けるか、それができない場合は消化の良い食物をとる。なるべく炭水化物を通常量通りとるようにする。
- 体重を毎日はかる。体重が減っている場合は高血糖が疑われる。
- 朝晩に体温をはかる。発熱している場合は感染症が疑われる。
感染した人の咳やくしゃみを介して他の人に感染する。咳やくしゃみが出たらうつさないためにマスクを着用することが勧められているが、マスクを着用しているからといって、ウイルスの吸入を完全に予防できるわけではない。インフルエンザが疑われる場合は、大規模な感染を
予防するために、人が大勢集まっている場所を避け家にいることを勧めている。
糖尿病のような慢性病のある人は、次のような症状が起こった場合に風邪やインフルエンザが疑われる。我慢しないですぐに主治医に連絡するか、医療機関に行くことを勧めている。
- 摂氏38度(華氏101度)以上の高熱がある。
- 気分が悪く、通常通り食事をとれない。食後6時間たっても消化不良や嘔吐がある。
- ひどい下痢がある。
- 体重が2.3キログラム(約5ポンド)以上減った。
- 血糖自己測定値が60mg/dL未満か、300mg/dLよりも高い。
- 呼吸が苦しい。
- 眠気を感じ、思考ができない。
- ケトン体検査で陽性が出る。ケトン体はインスリン作用が不足しブドウ糖を利用できない状態で、脂肪がエネルギー源として使われたときに発生する物質。尿検査や血液検査で検出される。
新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)
糖尿病と感染症(糖尿病セミナー)
インフルエンザ情報(CDC:米国疾病管理・予防センター)(英語)
糖尿患者さん向けのインフルエンザ対策啓発ポスター(A4サイズのPDF)
[ Terahata ]