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2026年10月23日

糖尿病予防の落とし穴 〜血糖値だけ気にするのは危険〜

 糖尿病は国民の約10人に1人が発症するといわれ、目や腎臓、神経などに重大な障害を及ぼす恐れがある病気だ。予防のために、検査の血糖値を気にする人は多いが、専門医は「そこに落とし穴がある」と警鐘を鳴らす。血糖値より重視すべきは、「ヘモグロビンA1c」という数値だ。ただ残念なことには、一般の認知度は高くない。

 ◇認知度低いヘモグロビンA1c

 日本生活習慣病予防協会は2026年9月、医師331人、一般の生活者310人を対象に意識調査を実施した。この結果は興味深い。医師の87.0%が「健康診断で、患者により見てほしい」のはヘモグロビンA1cと答えたのに対し、一般生活者の68.7%は「血糖値を重視する」と答えた。一般生活者では、その40.3%がヘモグロビンA1cを知らなかった。

 ヘモグロビンは、赤血球のタンパク質で糖と結合する。糖と結合したヘモグロビンは、赤血球が死ぬまで蓄積される。それがどれだけの割合で存在しているかを示すのが、ヘモグロビンA1cだ。血糖値が短期的な指標であるのに対し、ヘモグロビンA1cは検査時の過去1〜2カ月の血糖の平均値を反映した数字だ。

鳴戸部屋での食事。鳴戸親方と伊藤大介医師

鳴戸部屋での食事。鳴戸親方と伊藤大介医師

 ◇血糖値は「瞬間風速」

 同協会は10月8日の「糖をはかる日」に合わせ、東京都内でイベントを開催した。一之江駅前ひまわり医院の伊藤大介医師と大相撲の鳴戸親方(元大関・琴欧洲)が対談した。

 血糖値は食事をすると上昇し、空腹時には低下する。糖分の多い飲食物を摂取すれば一時的に急上昇し、1日のうちで変動する。伊藤医師は「血糖値はいわば『瞬間風速』だ。健診前に頑張って血糖値を下げたとしても、極めて短期的な指標にすぎない」とし、「血糖値が悪くないからと安心するのは、落とし穴だ」と指摘した。

 ◇弟子の食べ方にも気配り

 鳴戸親方は身長202センチで、体重120キロ。ブルガリア出身で19歳の時に来日した。来日前は体重別に闘うレスリングをしていた。「体重を絞ることが大変だったが、相撲界に入って逆になった」。たくさん食べて体重を増やさなければ、勝てないからだ。そこに苦労したと言う。

 「部屋から大関、横綱を誕生させることが夢」と言う鳴戸親方は、弟子たちの健康管理に気を使う。力士の食事は日に2回のちゃんこ鍋。伊藤医師は鳴戸部屋を訪問し、力士たちと一緒にちゃんこを食べた。「事前のイメージとは違い、バランスが良い食事だった」。鳴戸親方は、肉より先に野菜の方から食べるように注意しているという。

 日本相撲協会は現役力士に対し年に2回の健診が義務付けられ、結果が親方に届けられる。「注意すべき項目とどう改善すべきかが分かる。これを基に弟子にアドバイスしている」と話す。対談を通じ、「私も血糖値を重視してきたが、ヘモグロビンA1cがより大事だと分かった」と話す。

弟子の健康に気を配る鳴戸親方

弟子の健康に気を配る鳴戸親方


 ◇鳴戸親方の血糖管理「優秀」

 ヘモグロビンA1cは5.6未満が正常、5.6〜5.9が正常高値、6.0〜6.4が糖尿病が疑われる境界型、6.5以上は糖尿病型と診断される。

 鳴戸親方は9月と10月の2回、ヘモグロビンA1cを測った。数値はいずれも「5.2」だった。伊藤医師は「食事はじめ生活習慣に大変気を付けている。血糖コントロールの上で優秀だ」と太鼓判を押した。

 部屋の支援者との会食や相撲協会の仕事など、外食の機会が増えた。現役時代のようにハードなトレーニングをするわけではない。「電車に乗る時は1駅前で降りて歩く。ホームではエスカレーターやエレベーターを使わず、階段を使うようにしている」。力士が強くなるためには日々の稽古が欠かせない。糖尿病を予防するのも同じで、継続した日々の行動が大切だ。(鈴木豊)

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[ 糖尿病ネットワーク編集部 ]
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