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2026年10月09日

同じ「糖尿病予備群」でも発症のしやすさに大差 日本人男性を分析

 「糖尿病予備群」は、まだ糖尿病ではないものの、将来2型糖尿病を発症する可能性が高まっている状態である。本記事で紹介する分析では、同じ糖尿病予備群(論文では「前糖尿病」)でも、その発症のしやすさに大きな差があることが分かった。
 国立病院機構京都医療センターの坂根直樹氏らは、日本人男性2,172人のデータを用い、体格や血液検査の特徴をもとに3つのグループに分類したうえで、5年間における2型糖尿病の発症状況を比較した。その結果、最も2型糖尿病を発症しやすかったグループでは、最も発症しにくかったグループと比べて、発症しやすさが約9.8倍であることが明らかになった。

4つの身近な指標から3つのグループに分類

 分析対象は、糖尿病の予防を目的とした研究「J-DOIT1」に参加した男性のうち、空腹時血糖値が100~125mg/dLだった2,172人。論文では、この範囲に該当する人を「前糖尿病」と定義している。一般にいう「糖尿病予備群」と考えるとわかりやすい(※対象には日本糖尿病学会が「正常高値」とする100~109mg/dLの人も含まれる)。

 分類に用いたのは、「BMI」「空腹時血糖値」「ALT」「non-HDLコレステロール」の4項目。「BMI」は肥満の程度、「ALT」は主に肝臓の状態、「non-HDLコレステロール」は、LDLコレステロールなど動脈硬化を促すコレステロールをまとめて示す指標である。いずれも健康診断などで確認できる身近な指標だ。

 坂根氏らは、この4つの指標の組み合わせが似た人たちを統計的にまとめる「クラスター分析」を行い、参加者を3群に分類した。それぞれの特徴は次の通り。

【第1群】4つの指標の平均値が、ほかの2群より低かったグループ(1,149人)。

【第2群】BMIが高く、ALTやnon-HDLコレステロールも高い傾向がみられ、研究者らが「肥満・インスリン抵抗性型(インスリンが効きにくい型)」と位置づけたグループ(581人)。

【第3群】第2群ほど肥満ではない一方、空腹時血糖値が最も高いグループ(442人)。

発症率が最も高かったのは「非肥満・高血糖型」

 各群について、追跡開始から5年間の2型糖尿病の発症状況を比較したところ、年間発症率は第1群が0.70%、第2群が2.73%、第3群が6.73%だった。同じ「糖尿病予備群(前糖尿病)」に該当する男性でも、どのグループに属するかによって、その後の発症率に大きな違いがみられた。

 第1群と比べると、追跡期間中の2型糖尿病の発症しやすさは、第2群で3.95倍、第3群で9.81倍だった(統計的な調整後のハザード比に基づく比較)。

 つまり、最も発症率が高かったのは、肥満・インスリン抵抗性型の第2群ではなく、非肥満・高血糖型の第3群という結果であった。

「肥満・インスリン抵抗性型」は電話支援の追加で発症リスクが有意に低下

 坂根氏らはさらに、電話による生活習慣改善支援の効果についても分析した。

 もとになった糖尿病予防研究「J-DOIT1」では、参加者は「通常支援群」と「電話支援群」の2つに分けられていた。両群には体重計と歩数計が提供され、糖尿病予防に関する情報が定期的に届けられた。電話支援群にはこれらに加えて1年間、電話などを通じて食事や運動に関する支援が行われていた。

 この分析では、前述と同じ2,172人について、第1~第3群ごとに電話支援群と通常支援群の2型糖尿病の発症状況を比較した。5年間の追跡結果を比べると、第2群では電話支援群の2型糖尿病の発症しやすさが通常支援群より41%低く(ハザード比0.59)、その差は統計学的に有意だった。

 一方、第1群と第3群では、通常の支援に加えて電話支援も受けた人々と、通常の支援だけを受けた人々との間に、統計学的に有意な差はみられなかった。これは、第1群と第3群では電話支援に効果がないという意味ではなく、今回の分析では明確な差として示されなかったということである。

 坂根氏らは、肥満や脂質異常に関連するインスリン抵抗性がみられる人に対しては、こうした生活習慣改善支援が特に有効な可能性があるとしている。

 今回の分析は対象が日本人男性に限られており、女性やほかの集団にも同じ分類が当てはまるかは分からない。それでも今回の結果は、「糖尿病予備群」をひとくくりにするのではなく、一人ひとりの体格や検査値の特徴を踏まえて、2型糖尿病の発症しやすさや適切な支援を考えることの重要性を示したといえる。

■参考

[ 糖尿病ネットワーク編集部 ]
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